黒王子の溺愛

epilogue

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その日、美桜は夢を見た。

どこまでも青い空でとても良い天気の日のことだ。

着せてもらった綺麗な振袖。可愛くセットしてもらった髪にはお気に入りの髪飾りを付けてもらっている。
着物はとても綺麗で気に入っていたけれど、つまらないのは大人達の会合だ。

美桜は親の目を盗んで、こっそりと会場を抜け出した。
会合を抜け出した美桜の手を、そっと繋いでくれた男の子がいたのだ。

「退屈しちゃうね。一緒に抜け出しちゃおうか？」
彼はとても整った顔で、くすくすと笑いながら美桜にそう言った。

「うん」
こくん、と美桜は彼に向かって頷く。
「君、お人形さんみたいだ。すごく可愛いね。なんて言うの？」 

彼は美桜に向かってにっこり笑う。
彼こそ、王子様のように素敵なのに。

「藤堂美桜とうどうみおう」
「美桜、可愛い名前だね。僕は黒澤柾樹くろさわまさきだよ」

「柾樹くん……」
「うん」

柾樹は美桜に向かって微笑んで、優しく手を繋いでくれた。

手を繋いだまま二人は外に向かう。
そこは柾樹にとっては庭のようなものだ。

──美桜ちゃんは、何が好きなの？
お花！　お花が、好きなの。

──じゃあ、向こうにお花がたくさん咲いているから、連れて行ってあげるね。
うん！　柾樹くん、大好き！

大好き……！

柔らかい日差しが、手を繋いだ2人を優しく照らして、どこまでも青い空が、2人を包み込んでいた。



　　　♪。.:＊・~END~♪。.:＊・゜




🐤お読み頂き、ありがとうございました。
続きのお話『黒王子の溺愛は続く』を書いています。
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