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4.悪魔?小悪魔?
悪魔?小悪魔?⑤
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一緒に食事をしながら、簡単な日程の打ち合わせをした。
それで美冬は分かったことがいくつかある。
まず、槙野はとんでもなく忙しい。
平日に予定を合わせるのはかなり困難だということが分かった。
美冬の家への挨拶は、再来週の日曜日に予定を組む。
祖父への挨拶には、平日病院の面会時間中に仕事を抜けてくれるという。
「槙野さんのところにも行かなきゃ」
「そうだな……」
「私、結婚式は必ずしたいの」
「ああ、アパレルだものな。もしかしてドレスは自社製か?」
「もちろんよ。それが夢だもの」
「そうか。ではそれは必須だな」
話しながら食事をしていくのだが、食べる速さが速い槙野ではあるけれど、意外と仕草やカトラリーの扱いも含めて綺麗な食べ方なのである。
美冬は食事については両親にかなり厳しく躾けられた。その分他人の食事の仕方についてもつい目がいってしまう。
いくら身に着けているものが高級であっても食べ方に品がないことには美冬は興ざめするのだが、そういった意味では槙野に対して醒めることはなかった。
美冬の夢にも付き合ってくれて、一蹴することはなく優先してくれて美冬の都合に合わせてくれるという。
仕事が忙しくて、思いやりもあって、一緒に食事をすることも苦痛はなく、都合を合わせてくれる。
悪くないんではないかと美冬は思い始めていた。
「ああ、そういえば、今は一人暮らしか?」
「ええ」
「じゃあ、早いうちに引っ越してこい。手配はするから。とは言ってもどんなところか分からないか。今日見に来るか?」
「それ、そんなに急がなきゃいけない事ですか?」
「いろんな家庭があるだろうが、俺は夫婦は一緒に過ごすべきだと思う」
言っていることは分かるけれど、心の準備の問題だ。
そんな急に来るかといわれて、行けるわけもない。
まだ会って数回の……それは結婚するとかは決めた人なんだけど、それでも初対面に近い男性の家に上がり込むなんて、美冬にはできない。
──さっきのは撤回。マイペースだし俺様だわ。
「それ、さっきの契約書に入ってました?」
にっこり笑って美冬は言い返す。
「家賃負担について記載があったろうが」
「でも一緒に住む時期までは記載されてなかったわ」
槙野のこめかみが一瞬揺らいだ気がした。
怒ったのかと思えば、美冬は震えるような笑顔を向けられたのだ。
悪魔だ!悪魔がここにいるっ!
笑顔だけど目が笑ってないっ!
「確かにな。では時期を記載したものを改めて用意しよう」
怖っ!肝が冷えるよ……。
「え? じゃあ、さっきの契約書は無効ですか?」
「なわけあるか。差し替えで十分だ。言っておくが、お前がサインした時点でさっきのは有効」
あっさりとそう言って、槙野は食後のコーヒーを口に運んでいた。
それで美冬は分かったことがいくつかある。
まず、槙野はとんでもなく忙しい。
平日に予定を合わせるのはかなり困難だということが分かった。
美冬の家への挨拶は、再来週の日曜日に予定を組む。
祖父への挨拶には、平日病院の面会時間中に仕事を抜けてくれるという。
「槙野さんのところにも行かなきゃ」
「そうだな……」
「私、結婚式は必ずしたいの」
「ああ、アパレルだものな。もしかしてドレスは自社製か?」
「もちろんよ。それが夢だもの」
「そうか。ではそれは必須だな」
話しながら食事をしていくのだが、食べる速さが速い槙野ではあるけれど、意外と仕草やカトラリーの扱いも含めて綺麗な食べ方なのである。
美冬は食事については両親にかなり厳しく躾けられた。その分他人の食事の仕方についてもつい目がいってしまう。
いくら身に着けているものが高級であっても食べ方に品がないことには美冬は興ざめするのだが、そういった意味では槙野に対して醒めることはなかった。
美冬の夢にも付き合ってくれて、一蹴することはなく優先してくれて美冬の都合に合わせてくれるという。
仕事が忙しくて、思いやりもあって、一緒に食事をすることも苦痛はなく、都合を合わせてくれる。
悪くないんではないかと美冬は思い始めていた。
「ああ、そういえば、今は一人暮らしか?」
「ええ」
「じゃあ、早いうちに引っ越してこい。手配はするから。とは言ってもどんなところか分からないか。今日見に来るか?」
「それ、そんなに急がなきゃいけない事ですか?」
「いろんな家庭があるだろうが、俺は夫婦は一緒に過ごすべきだと思う」
言っていることは分かるけれど、心の準備の問題だ。
そんな急に来るかといわれて、行けるわけもない。
まだ会って数回の……それは結婚するとかは決めた人なんだけど、それでも初対面に近い男性の家に上がり込むなんて、美冬にはできない。
──さっきのは撤回。マイペースだし俺様だわ。
「それ、さっきの契約書に入ってました?」
にっこり笑って美冬は言い返す。
「家賃負担について記載があったろうが」
「でも一緒に住む時期までは記載されてなかったわ」
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怒ったのかと思えば、美冬は震えるような笑顔を向けられたのだ。
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「確かにな。では時期を記載したものを改めて用意しよう」
怖っ!肝が冷えるよ……。
「え? じゃあ、さっきの契約書は無効ですか?」
「なわけあるか。差し替えで十分だ。言っておくが、お前がサインした時点でさっきのは有効」
あっさりとそう言って、槙野は食後のコーヒーを口に運んでいた。
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