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ダメって燃えるの?
ダメって燃えるの?②
しおりを挟む別に激しく突かれている訳でもないのに、ナカが収縮して、ぞくぞくんっと気持ちよくなる。
「んっ……結衣さん……今のもしかしてイった?持っていかれるかと思いました。ヤバ……僕、動いていいですか?」
待って、と言う声はもちろん聞こえていないし、仮に聞こえていても、今の熱く上擦った声の涼真には、きっと聞いてもらえない。
「は……あっ、すご、結衣さん、ナカ……イッたせいかな。すごく濡れていてぐちゃぐちゃだし柔らかいのに、包み込まれるみたいでダメだ。結衣さん、もっと……もっとしたい」
結衣はシーツを引っかくようにして、ぎゅっと掴む。
涼真がそれに気づいて、上から手を握ってくれた。
容赦なく追い上げても、決して結衣を一人にはしない。
酷くしているようで、本当に嫌なことは絶対しない。
大事に、されている……。
「涼真さん……」
「ん?」
涼真の熱に浮かされたような顔は、決して普段、誰にも見せない顔だ。
結衣に、結衣だけに見せる顔。
「腰が蕩けちゃいそう……です」
一瞬目をみはった涼真は、優しく笑って結衣を仰向けにする。
「可愛いこと言いますね。やっぱり、最後は顔見てしたいかな」
「でも……声、や……」
「僕も結衣さんの声は独り占めしたいから。じゃあ、キスで封じてあげますよ。それなら、いいでしょう?」
結衣の甘い声は全部、涼真に吸い取られて、好きな人とひとつになる幸せを噛み締めつつ、二人は甘くて幸せな時間を過ごしたのだった。
「……はよ」
結衣が洗面所で洗濯の準備をしていると、楓真がふらりと現れた。
「あ! おはようございます。洗濯物、洗濯機の中に入れておいて下さいね。朝食はパンですけど大丈夫ですか?」
「ん……すいません」
頭が鳥の巣のようになって、少しぼうっとしている楓真を見て、結衣がくすくす笑いながら案内する。
「眠れました?」
「あ、まあ……」
寝ぼけたような様子なので、そう尋ねてみたわけなのだが。
「寝れたんだけど、ちょっと……」
ん?
「寝付き……が……」
ふんふん?
「えっと、涼真兄の声が少し聞こえて。ごめんなさい。聞くつもりはなかったんだけど……」
がたっ……と結衣は手に持っていた洗濯用のカゴを落とす。
「大丈夫です。結衣さんの声はほとんど聞こえていないし。ここ、ちゃんと壁は厚いんで。大丈夫です! 結衣さんの声は聞こえていないんで!」
「お前は、朝から何を結衣さんを困らせているんだ?」
結衣が真っ赤になって立ち尽くしているのを見て、涼真が後ろから声を掛け、片手で結衣をきゅっと抱く。
「こちらこそすみません。その……お聞き苦しいものを」
消え入りそうな声で結衣が答える。
「結衣さん、それは僕の声が聞くに耐えないってこと? 僕の声も好きって言ってましたよね」
はう……あー……。
「困らせてんのは涼真兄でしょ。てか、困ってる結衣さん、むっちゃ可愛いね」
「結衣さんは、僕のだ」
「だから分かっているから。もー、褒めただけじゃん。結衣さん、ホントいいの? こんな独占欲強い人で」
兄弟して、朝からなんなのー?
「えっと……とりあえず、ご飯にしませんか?」
ここはひとつ!食べ物で誤魔化すしかない!!
ダイニングに移動した三人は、結衣が準備した朝食を揃って食べる。
「なんなの! もう、激うまなんだけど!」
「残り物ですって……」
朝はパンがあるので、オムレツにしようと昨日のビーフストロガノフのソースを少し残しておいた結衣である。
オムレツにそのソースをかけたものを出したところ、物凄く喜ばれてしまったのだ。
「涼真兄いいなー。可愛くてお料理上手でしかも自分のこと理解してくれるなんて、こんな人なかなかいないよ?」
「分かっている」
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(執筆期間:2022/05/03〜05/24)
✼••┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈••✼
2022/05/30、エタニティブックスにて一位、本当に有難うございます!
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○表紙絵は市瀬雪さまに依頼しました。
(作品シェア以外での無断転載など固くお断りします)
○雪さま
(Twitter)https://twitter.com/yukiyukisnow7?s=21
(pixiv)https://www.pixiv.net/users/2362274
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