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14.このままでは済まさない
このままでは済まさない③
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「はい」
偶然触れたと言われたらそれまでだ。
しかし、指紋、DNA、また今後出てくるであろう様々な証拠を重ね合わせれば、おそらく令状の請求ができる。
鷹條は直接の関係者となる上に部署も違うため、直接的に捜査に関わることはできないが、久木もまた警備局の局長も、そして組織も、このままで済ますことはないだろう。
◇◇◇
「え? そんなことがあったの?」
期間限定発売のフラペチーノを一口飲んで、亜由美はこくりと頷いた。
仕事が終わったあと、姫宮商事ビルの一階にあるカフェで奥村に話を聞いてもらっていたのだ。
鷹條から周りで信頼できる人には打ち明けておいた方が良いと言われて、奥村には話しておくことにした亜由美だ。
「鷹條さんも一緒のときで良かったね」
本当にそれだけが救いだった。
「じゃあ、私も亜由美ちゃんの周りに不審な人を見かけたら声をかけるようにするからね! 全く……どんな奴なんだろ……」
「まだ、分からないんです。でも捜査はするそうなので」
うんうんと奥村は頷いた。
「今は捜査も進んでいると聞くものね。早く見つかって安心できるといいね」
「ええ」
「なるべく帰る時間を一緒にして、一人にならないようにしましょう。私も心配だから」
テキパキと奥村は提案した。亜由美は驚く。
「いいんですか?」
「うーん、むしろ駅までで申し訳ないけど。一緒にいた方が安心だもの」
「ありがとうございます!」
そこまでしてくれるとは思わなかったが、亜由美はとても嬉しかった。
今回は素直に鷹條に頼らなかったことで悲しい思いをさせてしまった。自分の遠慮で周りの人を悲しませてしまうのは本意ではない。
素直に頼ることも相手への信頼の証でもあるのだと学んだ。
──良かった。打ち明けて正解だったんだわ。
カフェで過ごしたあと、二人で駅まで歩く。
「そんなに綺麗な人だったの?」
「はい。とても警察官には見えなかったです」
てくてくと歩きながら所轄署での話になった。広見のことを話すと奥村は首を傾げている。
「ふーん。キャリアって言うんだっけ? いわゆるエリートなんでしょ? 私は警察官ならこうもっといかにも! って感じの人が好き」
「いかにも……」
それを言うなら鷹條も違うような気がする。
「そうねぇ……鷹條さんも素敵だけど、もっとゴツくてもいいかも」
「鷹條さんの上司の方はそんな感じです」
「え? そこ詳しく!」
あら? 思ったよりも食いつきがいいわ?
「一度しかお会いしてないですけど……とても丁寧で……」
一度しか会っていない久木のことを亜由美は一生懸命に思い出す。
「えーと、丁寧で……」
なんかすごく怖いことを一条に言っていたのではなかっただろうか。
「怖いです」
ん? なんか違うような……?
「いかにも警察官で、丁寧で、怖い??」
「ごめんなさい! 私の表現が悪いような気がします。怖いことを言っていたけどそれは一条さんに対してで、私には優しかったです」
「ううん。なんか分かる」
(今度はもっとうまく奥村さんに話せるように千智さんにきちんと聞いておこう!)
ふんすっと亜由美は心の拳を固めたのだった。
駅で奥村と別れて、電車に乗る。
最寄りの駅に着いた亜由美はいつものように駅の近くのスーパーマーケットで買い物をした。
今日からは鷹條が亜由美のマンションに泊まってくれることになっている。
先日の休みの日に着替えなどの荷物を取りに行っていた。浮かれている場合ではないと分かっているのに、気持ちが少しふわふわしてしまう。
(千智さんは朝はパン派かなぁ? ご飯派かな?)
一応、両方準備できるように買い物を進めていく。
その時カバンの中からスマートフォンの着信音がした。亜由美は取り出して確認する。
『今、どこ?』
偶然触れたと言われたらそれまでだ。
しかし、指紋、DNA、また今後出てくるであろう様々な証拠を重ね合わせれば、おそらく令状の請求ができる。
鷹條は直接の関係者となる上に部署も違うため、直接的に捜査に関わることはできないが、久木もまた警備局の局長も、そして組織も、このままで済ますことはないだろう。
◇◇◇
「え? そんなことがあったの?」
期間限定発売のフラペチーノを一口飲んで、亜由美はこくりと頷いた。
仕事が終わったあと、姫宮商事ビルの一階にあるカフェで奥村に話を聞いてもらっていたのだ。
鷹條から周りで信頼できる人には打ち明けておいた方が良いと言われて、奥村には話しておくことにした亜由美だ。
「鷹條さんも一緒のときで良かったね」
本当にそれだけが救いだった。
「じゃあ、私も亜由美ちゃんの周りに不審な人を見かけたら声をかけるようにするからね! 全く……どんな奴なんだろ……」
「まだ、分からないんです。でも捜査はするそうなので」
うんうんと奥村は頷いた。
「今は捜査も進んでいると聞くものね。早く見つかって安心できるといいね」
「ええ」
「なるべく帰る時間を一緒にして、一人にならないようにしましょう。私も心配だから」
テキパキと奥村は提案した。亜由美は驚く。
「いいんですか?」
「うーん、むしろ駅までで申し訳ないけど。一緒にいた方が安心だもの」
「ありがとうございます!」
そこまでしてくれるとは思わなかったが、亜由美はとても嬉しかった。
今回は素直に鷹條に頼らなかったことで悲しい思いをさせてしまった。自分の遠慮で周りの人を悲しませてしまうのは本意ではない。
素直に頼ることも相手への信頼の証でもあるのだと学んだ。
──良かった。打ち明けて正解だったんだわ。
カフェで過ごしたあと、二人で駅まで歩く。
「そんなに綺麗な人だったの?」
「はい。とても警察官には見えなかったです」
てくてくと歩きながら所轄署での話になった。広見のことを話すと奥村は首を傾げている。
「ふーん。キャリアって言うんだっけ? いわゆるエリートなんでしょ? 私は警察官ならこうもっといかにも! って感じの人が好き」
「いかにも……」
それを言うなら鷹條も違うような気がする。
「そうねぇ……鷹條さんも素敵だけど、もっとゴツくてもいいかも」
「鷹條さんの上司の方はそんな感じです」
「え? そこ詳しく!」
あら? 思ったよりも食いつきがいいわ?
「一度しかお会いしてないですけど……とても丁寧で……」
一度しか会っていない久木のことを亜由美は一生懸命に思い出す。
「えーと、丁寧で……」
なんかすごく怖いことを一条に言っていたのではなかっただろうか。
「怖いです」
ん? なんか違うような……?
「いかにも警察官で、丁寧で、怖い??」
「ごめんなさい! 私の表現が悪いような気がします。怖いことを言っていたけどそれは一条さんに対してで、私には優しかったです」
「ううん。なんか分かる」
(今度はもっとうまく奥村さんに話せるように千智さんにきちんと聞いておこう!)
ふんすっと亜由美は心の拳を固めたのだった。
駅で奥村と別れて、電車に乗る。
最寄りの駅に着いた亜由美はいつものように駅の近くのスーパーマーケットで買い物をした。
今日からは鷹條が亜由美のマンションに泊まってくれることになっている。
先日の休みの日に着替えなどの荷物を取りに行っていた。浮かれている場合ではないと分かっているのに、気持ちが少しふわふわしてしまう。
(千智さんは朝はパン派かなぁ? ご飯派かな?)
一応、両方準備できるように買い物を進めていく。
その時カバンの中からスマートフォンの着信音がした。亜由美は取り出して確認する。
『今、どこ?』
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