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16.絆を深めること
絆を深めること④
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こく……と浅緋は赤くなって頷く。
「もうちょっと頑張って」
片倉は浅緋のネグリジェをたくし上げ、上からすっぽりと脱がせてしまった。
が、頑張って⁉︎それが答えなんですか⁉︎
片倉が治してくれるものと思っていた浅緋は、軽いショックを受ける。
一気に肌が外気に晒されたことと誰にも見られたことがない姿を見られて、浅緋は慌てて両手で身体を隠した。
それを見た片倉もシャツのボタンを外して、服を脱いでいく。
アンダーウエアも脱いだ時、初めて片倉のその体を見た浅緋はどきんとした。
なめらかで綺麗な肌に、適度に鍛えられた胸板と、引き締まった腹筋。
そういえば、毎朝ランニングしてたわ。
休日もジムにいくことがあることは知っていたけれど。
作り上げられたもののように綺麗な片倉の体を見たら、浅緋はなんだか自分がとても恥ずかしい。
「隠して、恥ずかしがっているのも可愛いね」
抱きしめられてお互いの肌が擦れあって、触れ合う。
それだけで、ひどく感じてしまうのだ。
浅緋が胸元をぎゅうっとしてしまっているのを、片倉は無理に解くことはしないで、浅緋の肩にそっとキスをした。
隠れていない背中側の脇とか、隠しきれない腹部とか、そんなところにもどんどんキスを落としていく。
「……っふ……慎也、さぁん……」
「んー、隠しても無駄って分かった?」
つい声の漏れてしまう浅緋を楽しそうに片倉は見ているから。
「いじわる……してます?」
真っ赤になってしまっているだろう顔を、浅緋は片倉に向けた。
とっても責めたい気分だったので、いつになく、むううっとしていたかもしれない。
「なんて顔で見るの。可愛すぎ……」
片倉は髪をかきあげ、ため息をついてうっとりと浅緋を見る。
──あのっ、少しだけ怒ってますよ?
「そんな本音の顔、僕に見せてくれるとか幸せすぎるから」
その浅緋の何もかもを好きなのだと表現されると、浅緋もどうしたらいいか分からない。
「いじわるじゃないですよ。どこもかしこも、全部可愛くて全部僕のものなんだと確信したくて、キスしてます。いや? 浅緋? いやならやめる。それにさっきも言ったでしょう? どんな浅緋も全部見たくて欲しいんだ」
そう言っている間にも、耳にも首にも肩にも、あちこちにキスをされてしまうのだ。
「あのっ、肌……が、」
「肌? ああ、触れるよね? 気持ちよくない?」
「そういうのが……分からなくて」
「そうだね。今までは抱き合っても服越しだったからね」
ふふっと笑った片倉がきゅうっと浅緋を抱きしめる。
知らなかった。
こんな風にして抱き合ったら、それだけでも肌が擦れあってしまって、それだけでもドキドキしてしまうこと。
「それに……慎也さん、とても綺麗なんです。ずるいわ……」
抱きしめられたその腕の中でそう言って、片倉を見る。
眼鏡を外した顔すら端正で、身体まで綺麗。
浅緋を抱いている片倉が、浅緋の背中から腰にかけて手を滑らせる。
ぴくん、とした浅緋は目の前の片倉の身体に抱きついてしまった。
「っ……んん……」
「何言ってるんだか。綺麗なのは浅緋だ。綺麗な背中、肌も白くてすごく滑らかだ。腰も細くて、こんなに華奢なあなたにこれから行為をしても大丈夫なのかって思うくらい」
抱きついてしまった浅緋を片倉はそっと抱きしめてくれる。
知らなかったけれど、この肌さえ触れる近さがお互いの愛情を確かめ合う、ということなのだろう、と浅緋は納得した。
戸惑っても、ドキドキしても、いじわるだとにらんでも、片倉は全部全部うけとめてしまうから。
「もうちょっと頑張って」
片倉は浅緋のネグリジェをたくし上げ、上からすっぽりと脱がせてしまった。
が、頑張って⁉︎それが答えなんですか⁉︎
片倉が治してくれるものと思っていた浅緋は、軽いショックを受ける。
一気に肌が外気に晒されたことと誰にも見られたことがない姿を見られて、浅緋は慌てて両手で身体を隠した。
それを見た片倉もシャツのボタンを外して、服を脱いでいく。
アンダーウエアも脱いだ時、初めて片倉のその体を見た浅緋はどきんとした。
なめらかで綺麗な肌に、適度に鍛えられた胸板と、引き締まった腹筋。
そういえば、毎朝ランニングしてたわ。
休日もジムにいくことがあることは知っていたけれど。
作り上げられたもののように綺麗な片倉の体を見たら、浅緋はなんだか自分がとても恥ずかしい。
「隠して、恥ずかしがっているのも可愛いね」
抱きしめられてお互いの肌が擦れあって、触れ合う。
それだけで、ひどく感じてしまうのだ。
浅緋が胸元をぎゅうっとしてしまっているのを、片倉は無理に解くことはしないで、浅緋の肩にそっとキスをした。
隠れていない背中側の脇とか、隠しきれない腹部とか、そんなところにもどんどんキスを落としていく。
「……っふ……慎也、さぁん……」
「んー、隠しても無駄って分かった?」
つい声の漏れてしまう浅緋を楽しそうに片倉は見ているから。
「いじわる……してます?」
真っ赤になってしまっているだろう顔を、浅緋は片倉に向けた。
とっても責めたい気分だったので、いつになく、むううっとしていたかもしれない。
「なんて顔で見るの。可愛すぎ……」
片倉は髪をかきあげ、ため息をついてうっとりと浅緋を見る。
──あのっ、少しだけ怒ってますよ?
「そんな本音の顔、僕に見せてくれるとか幸せすぎるから」
その浅緋の何もかもを好きなのだと表現されると、浅緋もどうしたらいいか分からない。
「いじわるじゃないですよ。どこもかしこも、全部可愛くて全部僕のものなんだと確信したくて、キスしてます。いや? 浅緋? いやならやめる。それにさっきも言ったでしょう? どんな浅緋も全部見たくて欲しいんだ」
そう言っている間にも、耳にも首にも肩にも、あちこちにキスをされてしまうのだ。
「あのっ、肌……が、」
「肌? ああ、触れるよね? 気持ちよくない?」
「そういうのが……分からなくて」
「そうだね。今までは抱き合っても服越しだったからね」
ふふっと笑った片倉がきゅうっと浅緋を抱きしめる。
知らなかった。
こんな風にして抱き合ったら、それだけでも肌が擦れあってしまって、それだけでもドキドキしてしまうこと。
「それに……慎也さん、とても綺麗なんです。ずるいわ……」
抱きしめられたその腕の中でそう言って、片倉を見る。
眼鏡を外した顔すら端正で、身体まで綺麗。
浅緋を抱いている片倉が、浅緋の背中から腰にかけて手を滑らせる。
ぴくん、とした浅緋は目の前の片倉の身体に抱きついてしまった。
「っ……んん……」
「何言ってるんだか。綺麗なのは浅緋だ。綺麗な背中、肌も白くてすごく滑らかだ。腰も細くて、こんなに華奢なあなたにこれから行為をしても大丈夫なのかって思うくらい」
抱きついてしまった浅緋を片倉はそっと抱きしめてくれる。
知らなかったけれど、この肌さえ触れる近さがお互いの愛情を確かめ合う、ということなのだろう、と浅緋は納得した。
戸惑っても、ドキドキしても、いじわるだとにらんでも、片倉は全部全部うけとめてしまうから。
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