72 / 87
16.絆を深めること
絆を深めること④
しおりを挟む
こく……と浅緋は赤くなって頷く。
「もうちょっと頑張って」
片倉は浅緋のネグリジェをたくし上げ、上からすっぽりと脱がせてしまった。
が、頑張って⁉︎それが答えなんですか⁉︎
片倉が治してくれるものと思っていた浅緋は、軽いショックを受ける。
一気に肌が外気に晒されたことと誰にも見られたことがない姿を見られて、浅緋は慌てて両手で身体を隠した。
それを見た片倉もシャツのボタンを外して、服を脱いでいく。
アンダーウエアも脱いだ時、初めて片倉のその体を見た浅緋はどきんとした。
なめらかで綺麗な肌に、適度に鍛えられた胸板と、引き締まった腹筋。
そういえば、毎朝ランニングしてたわ。
休日もジムにいくことがあることは知っていたけれど。
作り上げられたもののように綺麗な片倉の体を見たら、浅緋はなんだか自分がとても恥ずかしい。
「隠して、恥ずかしがっているのも可愛いね」
抱きしめられてお互いの肌が擦れあって、触れ合う。
それだけで、ひどく感じてしまうのだ。
浅緋が胸元をぎゅうっとしてしまっているのを、片倉は無理に解くことはしないで、浅緋の肩にそっとキスをした。
隠れていない背中側の脇とか、隠しきれない腹部とか、そんなところにもどんどんキスを落としていく。
「……っふ……慎也、さぁん……」
「んー、隠しても無駄って分かった?」
つい声の漏れてしまう浅緋を楽しそうに片倉は見ているから。
「いじわる……してます?」
真っ赤になってしまっているだろう顔を、浅緋は片倉に向けた。
とっても責めたい気分だったので、いつになく、むううっとしていたかもしれない。
「なんて顔で見るの。可愛すぎ……」
片倉は髪をかきあげ、ため息をついてうっとりと浅緋を見る。
──あのっ、少しだけ怒ってますよ?
「そんな本音の顔、僕に見せてくれるとか幸せすぎるから」
その浅緋の何もかもを好きなのだと表現されると、浅緋もどうしたらいいか分からない。
「いじわるじゃないですよ。どこもかしこも、全部可愛くて全部僕のものなんだと確信したくて、キスしてます。いや? 浅緋? いやならやめる。それにさっきも言ったでしょう? どんな浅緋も全部見たくて欲しいんだ」
そう言っている間にも、耳にも首にも肩にも、あちこちにキスをされてしまうのだ。
「あのっ、肌……が、」
「肌? ああ、触れるよね? 気持ちよくない?」
「そういうのが……分からなくて」
「そうだね。今までは抱き合っても服越しだったからね」
ふふっと笑った片倉がきゅうっと浅緋を抱きしめる。
知らなかった。
こんな風にして抱き合ったら、それだけでも肌が擦れあってしまって、それだけでもドキドキしてしまうこと。
「それに……慎也さん、とても綺麗なんです。ずるいわ……」
抱きしめられたその腕の中でそう言って、片倉を見る。
眼鏡を外した顔すら端正で、身体まで綺麗。
浅緋を抱いている片倉が、浅緋の背中から腰にかけて手を滑らせる。
ぴくん、とした浅緋は目の前の片倉の身体に抱きついてしまった。
「っ……んん……」
「何言ってるんだか。綺麗なのは浅緋だ。綺麗な背中、肌も白くてすごく滑らかだ。腰も細くて、こんなに華奢なあなたにこれから行為をしても大丈夫なのかって思うくらい」
抱きついてしまった浅緋を片倉はそっと抱きしめてくれる。
知らなかったけれど、この肌さえ触れる近さがお互いの愛情を確かめ合う、ということなのだろう、と浅緋は納得した。
戸惑っても、ドキドキしても、いじわるだとにらんでも、片倉は全部全部うけとめてしまうから。
「もうちょっと頑張って」
片倉は浅緋のネグリジェをたくし上げ、上からすっぽりと脱がせてしまった。
が、頑張って⁉︎それが答えなんですか⁉︎
片倉が治してくれるものと思っていた浅緋は、軽いショックを受ける。
一気に肌が外気に晒されたことと誰にも見られたことがない姿を見られて、浅緋は慌てて両手で身体を隠した。
それを見た片倉もシャツのボタンを外して、服を脱いでいく。
アンダーウエアも脱いだ時、初めて片倉のその体を見た浅緋はどきんとした。
なめらかで綺麗な肌に、適度に鍛えられた胸板と、引き締まった腹筋。
そういえば、毎朝ランニングしてたわ。
休日もジムにいくことがあることは知っていたけれど。
作り上げられたもののように綺麗な片倉の体を見たら、浅緋はなんだか自分がとても恥ずかしい。
「隠して、恥ずかしがっているのも可愛いね」
抱きしめられてお互いの肌が擦れあって、触れ合う。
それだけで、ひどく感じてしまうのだ。
浅緋が胸元をぎゅうっとしてしまっているのを、片倉は無理に解くことはしないで、浅緋の肩にそっとキスをした。
隠れていない背中側の脇とか、隠しきれない腹部とか、そんなところにもどんどんキスを落としていく。
「……っふ……慎也、さぁん……」
「んー、隠しても無駄って分かった?」
つい声の漏れてしまう浅緋を楽しそうに片倉は見ているから。
「いじわる……してます?」
真っ赤になってしまっているだろう顔を、浅緋は片倉に向けた。
とっても責めたい気分だったので、いつになく、むううっとしていたかもしれない。
「なんて顔で見るの。可愛すぎ……」
片倉は髪をかきあげ、ため息をついてうっとりと浅緋を見る。
──あのっ、少しだけ怒ってますよ?
「そんな本音の顔、僕に見せてくれるとか幸せすぎるから」
その浅緋の何もかもを好きなのだと表現されると、浅緋もどうしたらいいか分からない。
「いじわるじゃないですよ。どこもかしこも、全部可愛くて全部僕のものなんだと確信したくて、キスしてます。いや? 浅緋? いやならやめる。それにさっきも言ったでしょう? どんな浅緋も全部見たくて欲しいんだ」
そう言っている間にも、耳にも首にも肩にも、あちこちにキスをされてしまうのだ。
「あのっ、肌……が、」
「肌? ああ、触れるよね? 気持ちよくない?」
「そういうのが……分からなくて」
「そうだね。今までは抱き合っても服越しだったからね」
ふふっと笑った片倉がきゅうっと浅緋を抱きしめる。
知らなかった。
こんな風にして抱き合ったら、それだけでも肌が擦れあってしまって、それだけでもドキドキしてしまうこと。
「それに……慎也さん、とても綺麗なんです。ずるいわ……」
抱きしめられたその腕の中でそう言って、片倉を見る。
眼鏡を外した顔すら端正で、身体まで綺麗。
浅緋を抱いている片倉が、浅緋の背中から腰にかけて手を滑らせる。
ぴくん、とした浅緋は目の前の片倉の身体に抱きついてしまった。
「っ……んん……」
「何言ってるんだか。綺麗なのは浅緋だ。綺麗な背中、肌も白くてすごく滑らかだ。腰も細くて、こんなに華奢なあなたにこれから行為をしても大丈夫なのかって思うくらい」
抱きついてしまった浅緋を片倉はそっと抱きしめてくれる。
知らなかったけれど、この肌さえ触れる近さがお互いの愛情を確かめ合う、ということなのだろう、と浅緋は納得した。
戸惑っても、ドキドキしても、いじわるだとにらんでも、片倉は全部全部うけとめてしまうから。
2
お気に入りに追加
459
あなたにおすすめの小説
社長室の蜜月
ゆる
恋愛
内容紹介:
若き社長・西園寺蓮の秘書に抜擢された相沢結衣は、突然の異動に戸惑いながらも、彼の完璧主義に応えるため懸命に働く日々を送る。冷徹で近寄りがたい蓮のもとで奮闘する中、結衣は彼の意外な一面や、秘められた孤独を知り、次第に特別な絆を築いていく。
一方で、同期の嫉妬や社内の噂、さらには会社を揺るがす陰謀に巻き込まれる結衣。それでも、蓮との信頼関係を深めながら、二人は困難を乗り越えようとする。
仕事のパートナーから始まる二人の関係は、やがて揺るぎない愛情へと発展していく――。オフィスラブならではの緊張感と温かさ、そして心揺さぶるロマンティックな展開が詰まった、大人の純愛ストーリー。
二人の甘い夜は終わらない
藤谷藍
恋愛
*この作品の書籍化がアルファポリス社で現在進んでおります。正式に決定しますと6月13日にこの作品をウェブから引き下げとなりますので、よろしくご了承下さい*
年齢=恋人いない歴28年。多忙な花乃は、昔キッパリ振られているのに、初恋の彼がずっと忘れられない。いまだに彼を想い続けているそんな誕生日の夜、彼に面影がそっくりな男性と出会い、夢心地のまま酔った勢いで幸せな一夜を共に––––、なのに、初めての朝チュンでパニックになり、逃げ出してしまった。甘酸っぱい思い出のファーストラブ。幻の夢のようなセカンドラブ。優しい彼には逢うたびに心を持っていかれる。今も昔も、過剰なほど甘やかされるけど、この歳になって相変わらずな子供扱いも! そして極甘で強引な彼のペースに、花乃はみるみる絡め取られて……⁈ ちょっぴり個性派、花乃の初恋胸キュンラブです。
身分差婚~あなたの妻になれないはずだった~
椿蛍
恋愛
「息子と別れていただけないかしら?」
私を脅して、別れを決断させた彼の両親。
彼は高級住宅地『都久山』で王子様と呼ばれる存在。
私とは住む世界が違った……
別れを命じられ、私の恋が終わった。
叶わない身分差の恋だったはずが――
※R-15くらいなので※マークはありません。
※視点切り替えあり。
※2日間は1日3回更新、3日目から1日2回更新となります。
同級生がCEO―クールな彼は夢見るように愛に溺れたい【完結済】
光月海愛(コミカライズ配信中★書籍発売中
恋愛
「二度となつみ以外の女を抱けないと思ったら虚しくて」
なつみは、二年前婚約破棄してから派遣社員として働く三十歳。
女として自信を失ったまま、新しい派遣先の職場見学に。
そこで同じ中学だった神城と再会。
CEOである神城は、地味な自分とは正反対。秀才&冷淡な印象であまり昔から話をしたこともなかった。
それなのに、就くはずだった事務ではなく、神城の秘書に抜擢されてしまう。
✜✜目標ポイントに達成しましたら、ショートストーリーを追加致します。ぜひお気に入り登録&しおりをお願いします✜✜
上司は初恋の幼馴染です~社内での秘め事は控えめに~
けもこ
恋愛
高辻綾香はホテルグループの秘書課で働いている。先輩の退職に伴って、その後の仕事を引き継ぎ、専務秘書となったが、その専務は自分の幼馴染だった。
秘めた思いを抱えながら、オフィスで毎日ドキドキしながら過ごしていると、彼がアメリカ時代に一緒に暮らしていたという女性が現れ、心中は穏やかではない。
グイグイと距離を縮めようとする幼馴染に自分の思いをどうしていいかわからない日々。
初恋こじらせオフィスラブ
隠れオタクの女子社員は若社長に溺愛される
永久保セツナ
恋愛
【最終話まで毎日20時更新】
「少女趣味」ならぬ「少年趣味」(プラモデルやカードゲームなど男性的な趣味)を隠して暮らしていた女子社員・能登原こずえは、ある日勤めている会社のイケメン若社長・藤井スバルに趣味がバレてしまう。
しかしそこから二人は意気投合し、やがて恋愛関係に発展する――?
肝心のターゲット層である女性に理解できるか分からない異色の女性向け恋愛小説!
【完結】俺様御曹司の隠された溺愛野望 〜花嫁は蜜愛から逃れられない〜
雪井しい
恋愛
「こはる、俺の妻になれ」その日、大女優を母に持つ2世女優の花宮こはるは自分の所属していた劇団の解散に絶望していた。そんなこはるに救いの手を差し伸べたのは年上の幼馴染で大企業の御曹司、月ノ島玲二だった。けれど代わりに妻になることを強要してきて──。花嫁となったこはるに対し、俺様な玲二は独占欲を露わにし始める。
【幼馴染の俺様御曹司×大物女優を母に持つ2世女優】
☆☆☆ベリーズカフェで日間4位いただきました☆☆☆
※ベリーズカフェでも掲載中
※推敲、校正前のものです。ご注意下さい
ウブな政略妻は、ケダモノ御曹司の執愛に堕とされる
Adria
恋愛
旧題:紳士だと思っていた初恋の人は私への恋心を拗らせた執着系ドSなケダモノでした
ある日、父から持ちかけられた政略結婚の相手は、学生時代からずっと好きだった初恋の人だった。
でも彼は来る縁談の全てを断っている。初恋を実らせたい私は副社長である彼の秘書として働くことを決めた。けれど、何の進展もない日々が過ぎていく。だが、ある日会社に忘れ物をして、それを取りに会社に戻ったことから私たちの関係は急速に変わっていった。
彼を知れば知るほどに、彼が私への恋心を拗らせていることを知って戸惑う反面嬉しさもあり、私への執着を隠さない彼のペースに翻弄されていく……。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる