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1章の閑話
一服しましょ!
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色々あったからのどが渇いちゃったみたいなのよ。
こちらの宿ではどんなものが飲めるのかしら。
ポケットには、もうお茶になるものがないのよ……
でも、王都と違ってここはとても自然豊かなようですし畑も立派でしたわ。
文化のあまり発達していない世界と思っていたのですが、畝の作り方、支柱の立て方、棚の作り方。どれをとっても私の知っている世界とあまり違いないように思えたの。
しかも、作物の実を熟成させてソースにするなんて。
王都のご飯は塩味のみでしたから、そんなものがあるとは思ってもみませんでした。
そういえば、イリスが貴族の人達の食堂は匂いが違うと言っていたような……
なんとなく、今まで思ってたような世界とは違うのかもしれませんね。もっとこの世界を知らなくてはね。ふふふっ。
どんな料理があるのかしら。とっても楽しみですわ。
ふぅ。
「ただいま戻りましたわ」
宿に戻ってすぐの食堂にいたご主人に声をかけました。
すると奥から女将さんらしき人が出てきて、聞いてこられたの。
「外はいい陽気でしょう? どこへ行かれました?」って。
「先ほど教えて頂いた礼拝所と畑をみてきました。たっくさん実がなってて美味しそうでしたわ。あのお野菜を夕食にいただけるのかしら?」
「この村自慢の畑なんです。他所ではあまり見かけないでしょう?」
「初めて見ました」
ちょっと興奮気味です。あ、喉が渇いたのでした……
「あの、お茶とかあります?」
「茶葉ではないんですが、香草茶ならありますよ? 飲まれます?」
「あ、いただきたいですわ。ちょっと喉が渇いてしまって……」
「どちらで飲まれます?」
ん? 部屋まで持ってきていただけるのかしら? でも、部屋だとイリスだけになっちゃうわね。この食堂を使わせていただけるならその方がいいわ。イーヴァだってお茶を楽しみにしているはず。
「こちらでいただいてもいいかしら?」
「いいですよ~。じゃあちょっと用意しますね」
「あ、あとでお湯を頂いてもいいかしら?」
「ええ、えっとそれはいつがいいですか? 夕食の前? それとも後かしら?」
「お茶のあと、夕食の前でお願いします」
ふう、これでクリーン以外の方法で身体を綺麗にできるわ。本当はお風呂に入りたいのだけど……
程なくして女将さんがお茶を持ってきてくれました。
木のカップではなく陶器のカップで。
こちらに来て陶器のカップは初めて。持ち手つきの…… どちらかといえばジョッキに近いかしら。
つい最近、旅商人から購入したのですって。
この辺りで買えるのなら欲しかったのだけど…… いつか見つけて買いたいわね…… いつか……
「ばあちゃん、このいっぷく、いつものみたい」
「そうね、いつものみたいな香りがするわね……」
香草茶って、大葉のお茶でした…… 大葉があるのね……
この世界のお茶って…… いったいどんなお茶なのかしら? 煎茶みたいなの? 紅茶みたいなの?
いつか飲めるといいわね……
ふぅ。お茶がおいしゅうございました。
まったりのんびり…… そう、こういう生活を目指したいのよ!
まあ、とりあえずは部屋に戻りましょうか。
お湯を使いたいです。女将さんに声をかけて……
あら、持ってきていただけるのね。では、用意をして待っていましょう。
コンコンコン……
部屋のドアをノックする音…… こちらでも三回なのね? ふぅん…… 同じようで同じじゃないとこ、同じとこ、色々あるのね。覚えていかないと。ただでさえこちらの常識にうといのだから。
「はい、どうぞ」
イリスがドアを開けたらそこには二人の男の子が。あら、ここの子かしら。
「お湯持ってきました」
「重かったでしょう? ありがとうね」
「「はいっ」」
ふふっ。重かったみたいね。
「あなた達はここの子かしら? 年はおいくつ?」
「うん。僕は8才になった。弟は5才だよ」
ではかなり重かったのでは?
木のバケツ? ちょっと深めの盥? にたっぷりお湯を二杯持ってきてくれました。
「お家のお手伝いなの? 偉いわね」
「ううん。お手伝いじゃなくてお仕事だよ」
「まあ、そうなの! いつも働いているのね」
「畑にも行くよ」
「先程見てきましたわ。とっても豊かな畑なのね」
「いっぱい働いたらいっぱい食べられるんだ」
「そうね。キチンと働いたから食べられるのね」
「そうだよー」
こんな小さな子でも働かないと食べられないのね。
でも、あの畑はかなりの収穫があるはず。村人だけでは消費できないと思うのだけれども……
後で聞いてみましょう。
子供たちが部屋をでたあと、久しぶりにお湯を使います。キャリーに入っていたフェイスタオルで身体を拭きます。温かいお湯がうれしいですね。イリスが背中を拭いてくれました。手が届かないところもさっぱりです。ふぅ。
一杯は私のために、残りはイリスに。
「イリスも拭いてしまいなさいな。ほらタオルはもう一枚あるわ」
「な、なにを……」
「だって気持ちいいわよ? イリスだって女性なんだから機会があるなら拭いてしまいなさい」
「で、でもそれはコーユさまのために用意をされたものです」
「何いってるの? イリスの分もあるにきまってるじゃない」
「え? でも……」
「私の身体は一つだけ。もう一杯あるんだからイリスが使えばいいのよ。だいたいこのまま捨てたら持ってきてもらたのに勿体ないじゃない」
「そうですけど……」
「お湯が冷めちゃうじゃない。早く早く。ほら脱いで、背中を拭いてあげるわ」
まだ温かい湯にタオルを浸けてギュッと絞ります。そしてまだちょっと抵抗しているイリスのシャツを脱がすと絞ったタオルを渡します。あら、イリスの背中ってとっても白いのね。今まではクリーンだけで綺麗にしていたから気が付かなかったわ。
「あったかいタオルで拭くと気持ちいいでしょう?」
「ソウデスネ」
あら、イリスがカタコトに。ちょっと無理矢理だったかしら? でも一人だけ気持ち良くなるのもねぇ……
そうして綺麗になったら服を替えて…… あら、イリスはまたその服を着るの? クリーンを掛けているとはいえまた同じ服なのね…… ん? そういえば…… 私、イリスの他の服を知らないわ…… まさか?!
「ねぇ……イリス、他の服は?」
「持っていません」
「は?」
「服ごとクリーンを掛けているので大丈夫です」
いやいやいや……大丈夫じゃないから!
どこかで服を購入しましょう。私のためにも。
☆☆☆ イリスのつぶやき ☆☆☆
コーユさまったらなんてことを、するんですっ!!
は、初めて人前で裸になってしまいました。無理矢理シャツをはぎ取られて、布を渡されて……
そりゃあ、温かい布で、身体を拭くのはとても気持ちが良かったのですが…… 布もとても柔らかくて…… コーユさまがいつも使われている『タオル』という布は柔らかくて、乾いている時はふかふかで…… 肌触りがとても良くて……
でも、無理矢理はぎ取るのはダメだと思います。嫌だったら抵抗すればいいって? 無理に決まっているじゃない。
だってコーユさまですよ? 口でも魔法でも負けると思います。いざとなったら何か分からない魔法が飛んできそうじゃないっ。
それに嫌な予感もしているのよね。
コーユさまが他の服を持っていないのかと聞いてきたの。
クリーンをすれば汚れは取れるから、破れたりしない限り一枚で何とかやっているのだけど。あ、もちろん予備はあるのよ? いざという時、たとえば旅の途中で破れたり焼けたりしたときのために。
でも、こちらも同じようなものなの。買い換える前に着ていた服だから。破れたところは何とか縫ってあるわ。うん、あまり裁縫は得意じゃないから、縫ってあるだけ。
あ、今着ているのは破れたりはしてないからね。
コーユさまみたいに無限収納があるわけじゃ無いから荷物はなるべく少ない方がいいっていうのもあるし。
うーん、そうねこの依頼が終わったら新しい服でも買おうかな。一枚くらいは。
こちらの宿ではどんなものが飲めるのかしら。
ポケットには、もうお茶になるものがないのよ……
でも、王都と違ってここはとても自然豊かなようですし畑も立派でしたわ。
文化のあまり発達していない世界と思っていたのですが、畝の作り方、支柱の立て方、棚の作り方。どれをとっても私の知っている世界とあまり違いないように思えたの。
しかも、作物の実を熟成させてソースにするなんて。
王都のご飯は塩味のみでしたから、そんなものがあるとは思ってもみませんでした。
そういえば、イリスが貴族の人達の食堂は匂いが違うと言っていたような……
なんとなく、今まで思ってたような世界とは違うのかもしれませんね。もっとこの世界を知らなくてはね。ふふふっ。
どんな料理があるのかしら。とっても楽しみですわ。
ふぅ。
「ただいま戻りましたわ」
宿に戻ってすぐの食堂にいたご主人に声をかけました。
すると奥から女将さんらしき人が出てきて、聞いてこられたの。
「外はいい陽気でしょう? どこへ行かれました?」って。
「先ほど教えて頂いた礼拝所と畑をみてきました。たっくさん実がなってて美味しそうでしたわ。あのお野菜を夕食にいただけるのかしら?」
「この村自慢の畑なんです。他所ではあまり見かけないでしょう?」
「初めて見ました」
ちょっと興奮気味です。あ、喉が渇いたのでした……
「あの、お茶とかあります?」
「茶葉ではないんですが、香草茶ならありますよ? 飲まれます?」
「あ、いただきたいですわ。ちょっと喉が渇いてしまって……」
「どちらで飲まれます?」
ん? 部屋まで持ってきていただけるのかしら? でも、部屋だとイリスだけになっちゃうわね。この食堂を使わせていただけるならその方がいいわ。イーヴァだってお茶を楽しみにしているはず。
「こちらでいただいてもいいかしら?」
「いいですよ~。じゃあちょっと用意しますね」
「あ、あとでお湯を頂いてもいいかしら?」
「ええ、えっとそれはいつがいいですか? 夕食の前? それとも後かしら?」
「お茶のあと、夕食の前でお願いします」
ふう、これでクリーン以外の方法で身体を綺麗にできるわ。本当はお風呂に入りたいのだけど……
程なくして女将さんがお茶を持ってきてくれました。
木のカップではなく陶器のカップで。
こちらに来て陶器のカップは初めて。持ち手つきの…… どちらかといえばジョッキに近いかしら。
つい最近、旅商人から購入したのですって。
この辺りで買えるのなら欲しかったのだけど…… いつか見つけて買いたいわね…… いつか……
「ばあちゃん、このいっぷく、いつものみたい」
「そうね、いつものみたいな香りがするわね……」
香草茶って、大葉のお茶でした…… 大葉があるのね……
この世界のお茶って…… いったいどんなお茶なのかしら? 煎茶みたいなの? 紅茶みたいなの?
いつか飲めるといいわね……
ふぅ。お茶がおいしゅうございました。
まったりのんびり…… そう、こういう生活を目指したいのよ!
まあ、とりあえずは部屋に戻りましょうか。
お湯を使いたいです。女将さんに声をかけて……
あら、持ってきていただけるのね。では、用意をして待っていましょう。
コンコンコン……
部屋のドアをノックする音…… こちらでも三回なのね? ふぅん…… 同じようで同じじゃないとこ、同じとこ、色々あるのね。覚えていかないと。ただでさえこちらの常識にうといのだから。
「はい、どうぞ」
イリスがドアを開けたらそこには二人の男の子が。あら、ここの子かしら。
「お湯持ってきました」
「重かったでしょう? ありがとうね」
「「はいっ」」
ふふっ。重かったみたいね。
「あなた達はここの子かしら? 年はおいくつ?」
「うん。僕は8才になった。弟は5才だよ」
ではかなり重かったのでは?
木のバケツ? ちょっと深めの盥? にたっぷりお湯を二杯持ってきてくれました。
「お家のお手伝いなの? 偉いわね」
「ううん。お手伝いじゃなくてお仕事だよ」
「まあ、そうなの! いつも働いているのね」
「畑にも行くよ」
「先程見てきましたわ。とっても豊かな畑なのね」
「いっぱい働いたらいっぱい食べられるんだ」
「そうね。キチンと働いたから食べられるのね」
「そうだよー」
こんな小さな子でも働かないと食べられないのね。
でも、あの畑はかなりの収穫があるはず。村人だけでは消費できないと思うのだけれども……
後で聞いてみましょう。
子供たちが部屋をでたあと、久しぶりにお湯を使います。キャリーに入っていたフェイスタオルで身体を拭きます。温かいお湯がうれしいですね。イリスが背中を拭いてくれました。手が届かないところもさっぱりです。ふぅ。
一杯は私のために、残りはイリスに。
「イリスも拭いてしまいなさいな。ほらタオルはもう一枚あるわ」
「な、なにを……」
「だって気持ちいいわよ? イリスだって女性なんだから機会があるなら拭いてしまいなさい」
「で、でもそれはコーユさまのために用意をされたものです」
「何いってるの? イリスの分もあるにきまってるじゃない」
「え? でも……」
「私の身体は一つだけ。もう一杯あるんだからイリスが使えばいいのよ。だいたいこのまま捨てたら持ってきてもらたのに勿体ないじゃない」
「そうですけど……」
「お湯が冷めちゃうじゃない。早く早く。ほら脱いで、背中を拭いてあげるわ」
まだ温かい湯にタオルを浸けてギュッと絞ります。そしてまだちょっと抵抗しているイリスのシャツを脱がすと絞ったタオルを渡します。あら、イリスの背中ってとっても白いのね。今まではクリーンだけで綺麗にしていたから気が付かなかったわ。
「あったかいタオルで拭くと気持ちいいでしょう?」
「ソウデスネ」
あら、イリスがカタコトに。ちょっと無理矢理だったかしら? でも一人だけ気持ち良くなるのもねぇ……
そうして綺麗になったら服を替えて…… あら、イリスはまたその服を着るの? クリーンを掛けているとはいえまた同じ服なのね…… ん? そういえば…… 私、イリスの他の服を知らないわ…… まさか?!
「ねぇ……イリス、他の服は?」
「持っていません」
「は?」
「服ごとクリーンを掛けているので大丈夫です」
いやいやいや……大丈夫じゃないから!
どこかで服を購入しましょう。私のためにも。
☆☆☆ イリスのつぶやき ☆☆☆
コーユさまったらなんてことを、するんですっ!!
は、初めて人前で裸になってしまいました。無理矢理シャツをはぎ取られて、布を渡されて……
そりゃあ、温かい布で、身体を拭くのはとても気持ちが良かったのですが…… 布もとても柔らかくて…… コーユさまがいつも使われている『タオル』という布は柔らかくて、乾いている時はふかふかで…… 肌触りがとても良くて……
でも、無理矢理はぎ取るのはダメだと思います。嫌だったら抵抗すればいいって? 無理に決まっているじゃない。
だってコーユさまですよ? 口でも魔法でも負けると思います。いざとなったら何か分からない魔法が飛んできそうじゃないっ。
それに嫌な予感もしているのよね。
コーユさまが他の服を持っていないのかと聞いてきたの。
クリーンをすれば汚れは取れるから、破れたりしない限り一枚で何とかやっているのだけど。あ、もちろん予備はあるのよ? いざという時、たとえば旅の途中で破れたり焼けたりしたときのために。
でも、こちらも同じようなものなの。買い換える前に着ていた服だから。破れたところは何とか縫ってあるわ。うん、あまり裁縫は得意じゃないから、縫ってあるだけ。
あ、今着ているのは破れたりはしてないからね。
コーユさまみたいに無限収納があるわけじゃ無いから荷物はなるべく少ない方がいいっていうのもあるし。
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