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大魔王の兵糧庫を食い尽くすのにゃ! の巻

念願の大魔王の座を手に入れた!

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 ――勇者一行、魔都襲来から ?時間後。

 ――魔都カナベラ中枢。
 ――大魔王城。
 ――謁見の間。


 大魔王城の謁見の間に、男が一人……。

「先ほドは、勇者どモの邪魔ガ入りソうでアっタが、無事に式典は終えたのダ。……ハァ。」

 辺りに誰もいない事をいいことに、思わず溜息を漏らした彼は、先代から大魔王のくらいを継承し、《第八銀鋼》の二つ名の拝命したばかりであった。

(アァ……やっト! ここまデ昇り詰めタ……!! ……思えバここまデ……長かっタナぁ……!!)

 彼は天井に描かれているフレスコ画……荘厳なる、歴代の大魔王の肖像を見上げる。

 目を細め……彼はゆっくりと目を閉じた。

 そして、その瞼の裏に……古く懐かしい……700年前の遠い昔のことを……。先代が大魔王として君臨していた、昔の謁見の間の姿を深く、思い出しては、 自らが兵士になった時のことを懐かしむかのように。

 ……脳裏に浮かべていた。


 彼は魔国の廃都スラムで育った。
 しかしながら、幼子が生きて行くには、殊更……酷な環境であった。

 魔族長命種第三位に位置する幽鎧ゆうがい族の孤児として生を受けた彼は、いつ終わるかもしれぬ地獄の飢えに、絶えず苛まれる毎日に恐怖すら抱き、誰かの温もりなど与えられる事もなく、自らの体に感じる暇もない孤独と寒さに耐えて生きてきた。

 しかし彼は、どれだけ飢えても、他者から奪いもせず。
 そのうち、手も足も目もおぼつかず、その場に倒れてしまった。
 そうして彼は、今にも息を吹きかければ、彼のわずかな命の灯など儚くも消えてしまいそうであった所を、先代の大魔王……《第七漆獄》に運良く拾われた。

 当時はまだ、魔王ですらなく。一介の魔軍司令であった先代の気紛れによって、奇跡的に命をつないだ、幼き頃の彼は、先代の口添えもあり、魔軍第七小隊に預かられることになった。

 ――それから7年が経ち。

 彼は、先代に受けた恩に報いるべく、魔国軍の一兵卒として配属されるやいなや、魔国への侵攻を繰り返し続ける国と隣り合う国との戦いに赴く。

 激しい戦場へ転戦に次ぐ転戦……。

 彼の勇猛果敢な戦い振りをその目にやきつけた同僚の魔国兵たちから……「まさにあれが魔王の申し子か」と。口々に羨まれるほどの戦果を魅せ、多大な功績を上げ続けた。
 
 竜種ドラゴン族の邪竜皇を討伐。
 西大陸の人種族の大公国を殲滅。
 果ての極大陸の最前線に基地兵站を構築。
 聖王朝に光臨した天使の堕落作戦などなど。

 彼が成し遂げた偉業は、数え上げればきりがない。

(フフフフフ……こうやっテいルと、先代の大魔王様にお仕えしテいタ時のことガ目の前に甦るようデはなイか……)

 中でも――戦場で傷ついた仲間の兵の命を助けるために、彼が一夜にして相手方の国を一人で滅ぼしたという〖ソドンペイの一夜殲滅戦〗は、若かりし頃の大魔王の凄まじさを物語っていた。

 数々の戦場を乗り越えて武功を立てて行く活躍ぶりは、ただの一兵卒から大魔王にまで成った新しき大魔王の逸話として……。

 今でも多くの魔国領民に語り継がれられている。

「我が……いや、余が……か? クッッククク」

 彼は、しばし大魔王即位の余韻に浸っていた。


 ――ドッドッドッドッ


 遠くから何やら……物音が聞こえて来る。その音は次第に早くなり、謁見の間の前でピタッと、止まった。

(……なにやラ表が騒がしイナ)

 大魔王がそう思ったとき。
 ギィ……と。
 謁見の間と外を隔てた大扉を押し開き、その隙間から姿を現したのは、背丈の低い若い蛙人であった。

「た……たたた、大変でございます、大魔王様! 一大事でございますぞ!!」

 若蛙人は左手で書類を大事に抱え、ドタドタドタと紫色の絨毯の上を歩き。開いている右手でずれた眼鏡を直し、息を切らして身体を前のめりにしている。

「ハァ……っ、ハァ……っ」

 額から流れ出る汗を片手で拭い、一息ついて、魔王の御前で跪いた。

「大魔王様!」

「我が参謀ヨ、狼狽えルのでハなイ……。ずいぶンと騒がしイでハなイカ。」

 大魔王は(威厳のある立ち振る舞いとは、このような感じだったかな?)と頭の中で思案し、先代の所作を見て覚えている限り思い出そうとしていた。

「も、申し訳ございませぬ……大魔王様の御前で……どうか、お許しを!」

「許ス。ナに、先代サマに共に仕えタ我ト貴様の仲でハなイカ」

 大魔王は魔軍司令として、若蛙人は副参謀として、ともに今は魔神となった先代大魔王に仕えていたが、若蛙人は、彼の父君でである先代参謀フロッグマンの跡を継ぎ、大魔王参謀に昇格を果たした。

「もしヤ、まタ。勇者どもが懲りズにやっテ来タのカ?」
 
「いえ、勇者では御座いませぬ、そうであればこうまで慌てはしませぬ!」

「勇者でハなイとすルのデあレば、何ダと言ウのダ? 我が参謀ヨ。」

「恐れながら申し上げます。大魔王さま……実は現在、魔都カナベラの周辺に軍勢があらわれ、魔都を守る四方の防壁門のみならず、魔都カナベラをぐるりと大軍で取り囲まれております!!」

「フッ、ケロッグよ。何を言っているのだ……。先の勇者撃退ヲ見レバ、我が居城と魔都カナベラを守ル防壁門が、誰にモ破られヌ、堅牢なもノであル事実ヲ、誰よリも知っテいルのハ貴様であろウ?」

「……えぇ。存じておりますとも、大魔王様。このケロッグめはよぉ~おく! 存じております!」

「だからこその由々しき事態! ワタクシにはもう! きゃつらに対抗する術が……お、思いつかないのでございます!! お……お許しぅぉおぉんぅおぉんぅおぉんぅおん!」 

 大魔王は若蛙人がここまで取り乱す姿を、目の当たりにしたのは、これが初めてであった。

「泣クではナいケロッグよ……貴様ヲそこマで怯エさせテいル、きゃつラとは……、一体、何者なのダ?」

「……そ、それが……」

「そレが?」

 若蛙人は、決心したかのように大魔王に言葉を吐き出した。

「恐れながら申し上げます……!きゃつらとは、我らと同じ魔族の同胞……《猫魔族》にございます……!

「……何ィ!? キャ……! 猫奴キャッツらだとォォッツ?」

「左様でございます! 大魔王さま! 猫奴キャッツらでございますぅうぅ……!!」

「……対人族用に備えてあった防壁門のシステムも我らと同じ魔族相手とあっては、作動致しませぬ……!」 

(ううむムムム、マズい、こレは不味いデはなイカ……!) 

 これまで、魔都を守る防壁門の防衛システムは、永らく争ってきた人族以外の種族に攻め込まれた経験が一度もなかった。

 それがために、……この魔都カナベラの防壁を取り囲み、今にも襲い掛からんとする不届きな《猫魔族》の進撃に対しては全くの無防備。全くの想定外であった。


「魔国デモンカントが興こって早、5500千年……。まさか……人族以外に攻め込まれるなどとは……夢にも思わなかった由々しき事態でございます!」」

 若蛙人は、大魔王の御前にて心底……罪悪感を覚えて……頭を地にこすりつける。

「大魔王さまぁあぁあぁっ! も……申し訳ございませぬぅうぅ!」

(くっ、何か、何か良い手立ては無いものか)

 しばし考えたのちに大魔王は……若蛙人に向けて言葉を発した。

「我ガ参謀、ケロッグよ」

「……ぐすっ……。はっ! 大魔王さま!」

「今、猫奴キャッツらハ、何ヲしていルのダ?」

「それが、そのぉ……大魔王さま。猫奴キャッツらは何もしておりませぬ」

「何モだトぉぉ……!? どういウ事ダ!」

「言葉通りでございます大魔王さま。猫奴キャッツらの軍勢は……いまだ攻撃をするでもなく破壊をするでもなく、我が魔都の防壁門の前にて、不気味な沈黙を保っております……!」

 大魔王は若蛙人から不可解な報告を受けて《猫魔族》の軍勢の狙いが何なのかわからずにいた。

 が、それは後回しにし、己の置かれた現在の状況を確認することを、先に急いだ。

「顕現せよ! 第二位階魔法ツヴァイマジック魔召喚画面ディスプレイモニター

 大魔王の声が虚しく……謁見の間に響き渡る。

(何故ダ……何故、魔召喚画面ディスプレイモニターガ出て来ヌのダ……)

「……あの、……大魔王さま?」

「何ダ! ケロッグよ! 我は今、忙しイのダっ!」

「いや、ですから大魔王さま。こちら謁見の間では、魔法保安対策魔導セキュリティシステムが働いて、一切、魔法は使えないではございませんか」

(し、しまっタァァァァ! そ、そうデアっタわ!!)

 大魔王城謁見の間には、魔法を使った監視や盗聴に備え。
 国家機密や個人情報を含めた、ありとあらゆる情報を漏洩しない様に厳重な対策が施されていた。

「ふ、ふム……な、なるほド? ……何、我モ、少し心配になって魔法保安対策魔導セキュリティシステムが作動しテいるカどうか……確認しただけダっ!」

「さ、さようでございますか、大魔王さま」

 苦し紛れの言い訳で、窮地を乗り切った大魔王は、話題を変えようとする。

「……と、時二……我が参謀ヨ!」

「はっ! 大魔王さま」

「つかヌことヲ聞クガ、数時間前に勇者どモに破らレた魔結界の修復ハ、進んデおるのカ?」

「大魔王さま。魔軍の魔導師団全ての魔導師総動員で復旧作業に当たっております。が、どれ程、急がせたとしても、復旧までに2日ほどは……時がかかりまする」

「ほう……それでは……防壁門に備エ付けテあル《聖属性殲滅魔導撃》の兵器補充についテは……どウナのダ?」

「……そのぉ。兵器発注部門も、補充部隊も、本日は大魔王継承の儀によって祝日で休みとなっておりまして……」

「クっ! なんたル事ダっ!?」

「しかも、本日は兵器補充発注日ではない次第でして……。しかし、お言葉ですが……大魔王様。《聖属性殲滅魔導撃》は猫奴キャッツらには全く効き目が無いことは……大魔王様もよくご存じかと……」

 大魔王は 姿や態度には全く表に出してはいなかったが、心の奥底では猛烈に慌てていた。

(ぬ、抜かっタぁーっっツ!! 我、どなイシょ~っ?!)

「う、うム。 万が一にだナ、人族どモ、いヤ勇者らガだナぁ!? こノ混乱二乗じテ懲りズニ襲っテくルやモしれヌだろウ!?」

「……そもそモ、猫奴キャッツら……猫どモの襲撃さエ、予見は出来テいなかっタくらイなのダ! いつ何時、どのようナ事態が起きルかハ解らヌ……その可能性がなイとハ言い切れヌ……」

「で、あれバ……。その為の用心としテ、出来うルことハすべテ確かめテ起きたかっタのダ!! 分かるナ? ケロッグよッ! 備えを持って憂いを断つのダ!!」

「おぉ! 左様でございましたか! 流石は大魔王さま! そこまで、この魔国の事を考えておいでだったとはっ! このケロッグめは感無量でございます!」

「それに比べて……ワタクシと来たら……ぐすっ。大魔王様のお考えに至らぬこのワタクシを! どうかお許しくださいぃいぃぅぉおぉんぅおぉんぅおぉんぅおん!」

「えエぇイ! 泣クでなイと申しテおルであろウ!」

 大魔王は若蛙人【状態異常:号泣】をなだめている。そうしながらも、今、自分が置かれている立場を考え、次なる一手を打つ為に若蛙人に向けて号令をかける。

「我が参謀ケロッグよ!」

「ははぁあっ……! 大魔王様!」

「今すグここに、炎嵐氷岩の四魔将を呼ベい!」

「はっ! しかと、受け給わりました!」

猫奴キャッツらが動かヌならバ……こちラカら動けバよイのダ!)

 「ククククク! 我が魔軍の全兵力ヲ上げテ! 猫奴キャッツらの目にモのヲ見せテくれルわ!!!!」
 
 大魔王は激しく、参謀に言い放った。

 と、その時

 ダダダダダダダダダッと、伝令兵aが駆け抜けてやってきた。

「恐れながら、申し上げます! 大魔王様!」

「うム、 我が前にテ言葉を発すルコとを許ス。 申しテみヨ。」

 大魔王は伝令兵aの姿を、玉座から見下ろしてそう言った。

「ハッ! 申し上げます! 巨猫の軍勢が防壁門を飛び越えて魔都カナベラに侵入! 猫奴キャッツらは次々と我が軍の兵糧庫を目指し、怒涛の如く向かっております!!」

「な、なんダとォおぉ!?」

 伝令兵aは、大魔王に伝令を逐えると、謁見の間を去って行った。

「クッ、やりおルでハないカ。猫どモめ……。あノ壁を飛び越エルとは……!?」

 するとダダダダダダダダダッと、先ほどとは別の伝令兵bが駆け抜けてやってきた。

「申し上げます! 魔都の防壁門、中央、東方、西方、北方の四方全て、開門!!」

「だ……大魔王様ぁあぁあぁあぁ!」

「な……ナんだと……? なんト……いうコとダ。」

 若蛙人よりも、泣きたい気持ちであるのは大魔王の方であった。
 後からやってくる伝令兵がやまない……。

「申し上げます! 四魔将が一人、獄炎魔将ノォホさま討死! 巨猫の軍勢第二師団長ハチワレの黄失光殺法おしっこビームにやられました……!」

「な、なニぃイ!? 四魔将最強と言われタ、あの……ノォホがカ!?」

 あまりの驚きに思わず、玉座から立ち上がる大魔王。

「申し上げます! 狂嵐魔将ラシーアーさま討死! 巨猫の軍勢第五師団長ポチの若駄振流剣術にゃんだふるにやられました……!」

「クっ! 四魔将一のイケメン。ラシーアーまデ……」

「申し上げます! 極氷魔将リコォさま討死! 巨猫の軍勢第七師団長ブチの猛封猛封印術もふもふにやられました……!」

「なぜダ……四魔将一の美姫。リコォもナのカ……??」

「申し上げます! 溶岩魔将ママグさま討死! 巨猫の軍勢第九師団長マッチョの突込魅張手ぷっしゅぷっしゅにやられました……!」

「はハ……四魔将のブレーン、ママグまデも……カ……!!」

 申し上げます! 猫奴キャッツらによって戦意を喪失する魔軍兵たちが続出し、巨猫の軍勢の勢いは増すばかりであった……大魔王に報告に来る伝令兵の勢いも止まりません!!

(うわあああぁあぁああぁああ!! 揃いも揃って! 全員死亡とはぁぁ!)

「クックックッ、ハァーッハッハッハッハッハァーッ!! ぐぎゃがあああああっっっ!!! 猫奴キャッツらめぇ! 小賢しい真似をしやがってぇえぇ!」

「ヒィッ!…… お気を確かに! 大魔王様!!」

 威厳を失った大魔王は混乱している!

(何が、何ガあっタというのダ……え? どうシタのだ。どウシたといウノだ!?)

 これまでの余りの出来事に気が動転していたであろうか……。大魔王はしばし考えると若蛙人に声を投げ掛ける。

「おイ! 我が参謀、ケロッグよ!」

 不意に名を呼ばれた若蛙人は、気が抜けた返事を大魔王に返した。

「ふぁい!?」

「この場で魔召喚画面ディスプレイモニターが仕えヌ以上、この我の目で確認ヲせねバなるまイ……」

「……だ! 大魔王さまッ!!」

 大魔王は両手を空に掲げると、高らかに声を張り上げる。

「顕現せよ! 漆灰黒色外套グラファイトマント!!」

 大魔王の呼びかけに答えるかのように、漆灰黒色の外套がどこからともなく現れた、大魔王の身を包み込むように纏わりつく。

「……こうなれば 我が打ってデる! 我が参謀ケロッグよ! 我の後を付イて参レっ!! ……猫奴キャッツらなド、……蹴散らしテくれるワっ!」

「ははーッ!! お供いたしますぞーッ!!」

 大魔王を迎え撃つのは、巨猫の軍勢。
 彼は、怒りで肩を揺らしながら大魔王城の外へと向った。

「フっ……あのくソ猫があぁあァアぁあっっっっっ!!!!」

 彼を待っているのは……地獄か、修羅か、それとも煉獄か。
 猫たちによって、惨劇と化した大魔王城下を見渡せる……城門バルコニーにたどり着いた時。

 彼のその目に映るものとは一体……何であろうか?
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