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思いついてしまった可能性を消すため、入念な見回りをしてから屋敷に帰ると、夕食の時間をとうに過ぎていた。
「アイン様、お帰りなさいませ……」
夕食は残っているだろうか?と食堂に向かうためにエントランスの階段の下を通りかかった所で声をかけられ、階段を見上げれば姫様が階段を下りてくるところだった。
まさか、待っていてくれたとか?
「ただいま……あ、腹ごしらえしてまた出るから、姫様はちゃんと寝てくださいね」
嬉しくないと言ったら大ウソになるんだけど、変則的な俺の生活に合わせてたら多分体を壊すと思うから、そこはしっかりと夜寝て朝起きて欲しいかなって。
「どちらに?」
どちらにって……あ、説明してなかったわ。
「森だよ。魔物は夜行性のが多いから見回り」
大きな魔物は強くて厄介だから退治するのも一苦労なんだけど、単体で行動していることが多いから対処のしようがある。
だけど、ちょっと弱めで群れで行動するタイプは本当に大変……なんて姫様に愚痴ってる場合じゃないな。
「森とは俺っ……私達が捨て置かれた場所ですか?」
一人称俺だったんだ。
でも、それだけで男だと決めつけるのは良くないよな、うん……股間にアレはついてたけど、まだほら、両性具有者の可能性もあるし。
ついてる時点で半分は男か。
いやいや、本人が王女って言ってる訳だし?父さんも姫って言ってたし、島の王だって貿易強化のための政略結婚で子息に対して王子は送ってこないだろうし……。
多分ね!
「姫達がいた所も森だけど、あそこはあまり魔物が出ないから大丈夫……あ、馬と御者は?もしかして魔物に襲われた?捨て置かれたってどういう意味?あー、馬車にかかってた防御魔法は誰がかけたんだ?後、誰に拘束された?」
この辺りのことは父さんに聞かれたんだろうし、なんなら騎士とかにも説明したのかも知れないんだけど、俺に話しが回ってこないんだから自分で聞くしかないよなって。
「くっくっく……一気に聞き過ぎです」
わー、凄い男前な感じで笑われたー。
「えっと、御者と馬だけでも教えて欲しい」
姿が見えないってことは、もしかしたら魔物に襲われた可能性がある。
「御者も敵の一味だった。と言えばわかりますか?」
あー……なるほどね。
「完璧に理解した。じゃあ見回り行くから……えっと、おやすみ」
食堂行ってなにもなかったら、一旦街に出て腹ごしらえするかな。この時間帯じゃあ酒場しか開いてなさそうだけど、パンとスープ位ならどこにでもあるし問題ないかな。
「アイン様は、毎日夜の見回りをされているのですか?」
ゆっくりと階段を下りてくる姫様は、自分も食堂に用があるんだとでもいうように、当然のように俺の隣を歩き、気になっていたのかなんなのか質問をしてきた。
「俺はこっち専門なんだ。夜でも昼でも朝でも時間が許す限り森にいるかな。最近は色々あって屋敷にいたけど」
侯爵家の次男だけど、後継者教育を受けたことすらないからな……お前は魔物を倒してるだけで良いからなーって言葉に甘えてここまできた感じだ。
それに、本当にそれだけしか求められてこなかったし。
まさか兄さんがこんな長期間姿を隠すして、俺に政略結婚の話しが回ってくるとか思わないじゃん。
本当に事故に巻き込まれたり誘拐された可能性が僅かながらにある中でも、俺の扱いってのは“手伝わないことが最大の手伝い”だけどさ。
「交代はされないのですか?」
え?
もしかして俺が1人で森を見張っていると思われてる?
こっち専門とはいえ、流石に24時間見張るのは無理だからね?
それとも見張りのない時間帯があるかも知れないと考えて不安に感じているとか?
それは安心してくれていい!
「騎士は第一部隊と第二部隊と第三部隊まであって、8時間の3交代制だから常に森の見張りはいるから安心して。魔物から領地民を守ることが俺の務めだからな!」
父さんの代では12時間の2交代制だったみたいだけど、見張りってなにもなければじっと立ってるだけになるから、12時間もじっとしてるのはもったいないし、時々起こる魔物の大量発生があった時は長時間の見張りで草臥れてる騎士達が戦うことになってて、そうなると殲滅スピードにやや問題ありだったんだ。
そこで、この俺が!2部隊だった騎士団を3部隊に分けて8時間交代にしたって訳!
後、昼勤と夜筋を何日か交代でーってのも止めた。
夜を固定メンバーにしておくことで、寝ぼけ眼をこすりながら見張りをするなんて馬鹿げた現象は起きない。
完全無欠の夜行性メンバー!
「騎士ではなく、私はアイン様のことを聞きました」
あ、俺の話?
俺は朝でも昼でも夜でも魔物が出れば戦うのが仕事だけど、流石に寝る時は寝てるぞ?
「特に時間は決めてなくて、魔物が引いた隙にささっと寝て起きる感じ。魔物に攫われた人がいる時は、見つかるまで……」
今は兄さんが魔物にお持ち帰りされた可能性があるから、休んでる場合じゃなかったわ。
「アイン様、お帰りなさいませ……」
夕食は残っているだろうか?と食堂に向かうためにエントランスの階段の下を通りかかった所で声をかけられ、階段を見上げれば姫様が階段を下りてくるところだった。
まさか、待っていてくれたとか?
「ただいま……あ、腹ごしらえしてまた出るから、姫様はちゃんと寝てくださいね」
嬉しくないと言ったら大ウソになるんだけど、変則的な俺の生活に合わせてたら多分体を壊すと思うから、そこはしっかりと夜寝て朝起きて欲しいかなって。
「どちらに?」
どちらにって……あ、説明してなかったわ。
「森だよ。魔物は夜行性のが多いから見回り」
大きな魔物は強くて厄介だから退治するのも一苦労なんだけど、単体で行動していることが多いから対処のしようがある。
だけど、ちょっと弱めで群れで行動するタイプは本当に大変……なんて姫様に愚痴ってる場合じゃないな。
「森とは俺っ……私達が捨て置かれた場所ですか?」
一人称俺だったんだ。
でも、それだけで男だと決めつけるのは良くないよな、うん……股間にアレはついてたけど、まだほら、両性具有者の可能性もあるし。
ついてる時点で半分は男か。
いやいや、本人が王女って言ってる訳だし?父さんも姫って言ってたし、島の王だって貿易強化のための政略結婚で子息に対して王子は送ってこないだろうし……。
多分ね!
「姫達がいた所も森だけど、あそこはあまり魔物が出ないから大丈夫……あ、馬と御者は?もしかして魔物に襲われた?捨て置かれたってどういう意味?あー、馬車にかかってた防御魔法は誰がかけたんだ?後、誰に拘束された?」
この辺りのことは父さんに聞かれたんだろうし、なんなら騎士とかにも説明したのかも知れないんだけど、俺に話しが回ってこないんだから自分で聞くしかないよなって。
「くっくっく……一気に聞き過ぎです」
わー、凄い男前な感じで笑われたー。
「えっと、御者と馬だけでも教えて欲しい」
姿が見えないってことは、もしかしたら魔物に襲われた可能性がある。
「御者も敵の一味だった。と言えばわかりますか?」
あー……なるほどね。
「完璧に理解した。じゃあ見回り行くから……えっと、おやすみ」
食堂行ってなにもなかったら、一旦街に出て腹ごしらえするかな。この時間帯じゃあ酒場しか開いてなさそうだけど、パンとスープ位ならどこにでもあるし問題ないかな。
「アイン様は、毎日夜の見回りをされているのですか?」
ゆっくりと階段を下りてくる姫様は、自分も食堂に用があるんだとでもいうように、当然のように俺の隣を歩き、気になっていたのかなんなのか質問をしてきた。
「俺はこっち専門なんだ。夜でも昼でも朝でも時間が許す限り森にいるかな。最近は色々あって屋敷にいたけど」
侯爵家の次男だけど、後継者教育を受けたことすらないからな……お前は魔物を倒してるだけで良いからなーって言葉に甘えてここまできた感じだ。
それに、本当にそれだけしか求められてこなかったし。
まさか兄さんがこんな長期間姿を隠すして、俺に政略結婚の話しが回ってくるとか思わないじゃん。
本当に事故に巻き込まれたり誘拐された可能性が僅かながらにある中でも、俺の扱いってのは“手伝わないことが最大の手伝い”だけどさ。
「交代はされないのですか?」
え?
もしかして俺が1人で森を見張っていると思われてる?
こっち専門とはいえ、流石に24時間見張るのは無理だからね?
それとも見張りのない時間帯があるかも知れないと考えて不安に感じているとか?
それは安心してくれていい!
「騎士は第一部隊と第二部隊と第三部隊まであって、8時間の3交代制だから常に森の見張りはいるから安心して。魔物から領地民を守ることが俺の務めだからな!」
父さんの代では12時間の2交代制だったみたいだけど、見張りってなにもなければじっと立ってるだけになるから、12時間もじっとしてるのはもったいないし、時々起こる魔物の大量発生があった時は長時間の見張りで草臥れてる騎士達が戦うことになってて、そうなると殲滅スピードにやや問題ありだったんだ。
そこで、この俺が!2部隊だった騎士団を3部隊に分けて8時間交代にしたって訳!
後、昼勤と夜筋を何日か交代でーってのも止めた。
夜を固定メンバーにしておくことで、寝ぼけ眼をこすりながら見張りをするなんて馬鹿げた現象は起きない。
完全無欠の夜行性メンバー!
「騎士ではなく、私はアイン様のことを聞きました」
あ、俺の話?
俺は朝でも昼でも夜でも魔物が出れば戦うのが仕事だけど、流石に寝る時は寝てるぞ?
「特に時間は決めてなくて、魔物が引いた隙にささっと寝て起きる感じ。魔物に攫われた人がいる時は、見つかるまで……」
今は兄さんが魔物にお持ち帰りされた可能性があるから、休んでる場合じゃなかったわ。
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