11 / 44
10:結局懲りてないです
しおりを挟む
お母様の反応は思っていたのと真逆で、わたしの顔を見るなり大泣きされてしまった。
それから街に行くときは騎士一人と、上兄様か下兄様かレオの誰かを連れて行くことが条件でなら良いと。…一人の方が動きやすいんだけどなぁとは思ったが、よその子なのにこれ以上心配かけるのもとも思って…少しの間くらいは大人しくすることにしよう…。
綺麗なドレスに着替えて窓の外を見てみる。窓にはしっかりと開けられないような工夫がされていて、この部屋からは脱走できないようになっている。
もうアリスは村に帰っちゃったんだろうか。お母様と同じピンク色の髪を思い出す。ちなみにわたしは水色の髪で、お父様は金色。上兄様と下兄様も金髪なのでわたしだけ色が違う。
髪の色が違うからよその子なんだ!というのは記憶が戻る前に散々泣き喚いていた記憶はある。なんて宥められたか覚えてないけど、おばあ様だかひいおばあ様がこの色で先祖帰りしたとかだったけ?
「失礼します」
コンコンと数回のノックがした後にドーラが入ってくる。城に戻って一番最初に駆けつけて抱きしめてくれたのがドーラだったな。思った以上にたくさんの人に心配をかけてしまった。
「来週のお茶会ですが」
「お茶会?え?何の話?」
「姫様のお茶会デビューの話です」
……忘れてた。
わたしは七歳。しかも一応今は王女。お母様もお父様もかなり不安に思っているようだが王女という立場が引き籠らせているわけにもいかないので、レオをはじめとした近しい家の者を呼ぶという。
一応七年間は王女としてやってきたのだ。ちょっとくらいはマナーくらい…………あれ、マナーとか勉強した覚えがないぞ。食事のマナーなんてナイフとフォークは外側からってことくらいしか知らない。これも前世の記憶だけど。
お勉強の時間の事を考える。とりあえず椅子に座っていたような覚えはあるけど内容はさっぱり思い出せない。ていうか家庭教師も寝ていたような気がする。
……うん。お茶会で大失敗する未来しか見えないわ。
どう思われようといろんな家の人と関わったら入れ替わったとき顔が違うとか髪の色が違うとか言われちゃうよね?それなら――
「欠席させるなと王妃様より言いつけられていますので」
「う……はぁい」
お母様はわたしのことをよくわかっていらっしゃる。七年間も一緒に居ればそうなるよね……。でもわたしにはもう一つ手がある。
表面上大人しくしておいて、わたしは陰でこっそりとほくそ笑むのだった――!
それから街に行くときは騎士一人と、上兄様か下兄様かレオの誰かを連れて行くことが条件でなら良いと。…一人の方が動きやすいんだけどなぁとは思ったが、よその子なのにこれ以上心配かけるのもとも思って…少しの間くらいは大人しくすることにしよう…。
綺麗なドレスに着替えて窓の外を見てみる。窓にはしっかりと開けられないような工夫がされていて、この部屋からは脱走できないようになっている。
もうアリスは村に帰っちゃったんだろうか。お母様と同じピンク色の髪を思い出す。ちなみにわたしは水色の髪で、お父様は金色。上兄様と下兄様も金髪なのでわたしだけ色が違う。
髪の色が違うからよその子なんだ!というのは記憶が戻る前に散々泣き喚いていた記憶はある。なんて宥められたか覚えてないけど、おばあ様だかひいおばあ様がこの色で先祖帰りしたとかだったけ?
「失礼します」
コンコンと数回のノックがした後にドーラが入ってくる。城に戻って一番最初に駆けつけて抱きしめてくれたのがドーラだったな。思った以上にたくさんの人に心配をかけてしまった。
「来週のお茶会ですが」
「お茶会?え?何の話?」
「姫様のお茶会デビューの話です」
……忘れてた。
わたしは七歳。しかも一応今は王女。お母様もお父様もかなり不安に思っているようだが王女という立場が引き籠らせているわけにもいかないので、レオをはじめとした近しい家の者を呼ぶという。
一応七年間は王女としてやってきたのだ。ちょっとくらいはマナーくらい…………あれ、マナーとか勉強した覚えがないぞ。食事のマナーなんてナイフとフォークは外側からってことくらいしか知らない。これも前世の記憶だけど。
お勉強の時間の事を考える。とりあえず椅子に座っていたような覚えはあるけど内容はさっぱり思い出せない。ていうか家庭教師も寝ていたような気がする。
……うん。お茶会で大失敗する未来しか見えないわ。
どう思われようといろんな家の人と関わったら入れ替わったとき顔が違うとか髪の色が違うとか言われちゃうよね?それなら――
「欠席させるなと王妃様より言いつけられていますので」
「う……はぁい」
お母様はわたしのことをよくわかっていらっしゃる。七年間も一緒に居ればそうなるよね……。でもわたしにはもう一つ手がある。
表面上大人しくしておいて、わたしは陰でこっそりとほくそ笑むのだった――!
0
お気に入りに追加
3,214
あなたにおすすめの小説
婚約破棄されたら魔法が解けました
かな
恋愛
「クロエ・ベネット。お前との婚約は破棄する。」
それは学園の卒業パーティーでの出来事だった。……やっぱり、ダメだったんだ。周りがザワザワと騒ぎ出す中、ただ1人『クロエ・ベネット』だけは冷静に事実を受け止めていた。乙女ゲームの世界に転生してから10年。国外追放を回避する為に、そして后妃となる為に努力し続けて来たその時間が無駄になった瞬間だった。そんな彼女に追い打ちをかけるかのように、王太子であるエドワード・ホワイトは聖女を新たな婚約者とすることを発表した。その後はトントン拍子にことが運び、冤罪をかけられ、ゲームのシナリオ通り国外追放になった。そして、魔物に襲われて死ぬ。……そんな運命を辿るはずだった。
「こんなことなら、転生なんてしたくなかった。元の世界に戻りたい……」
あろうことか、最後の願いとしてそう思った瞬間に、全身が光り出したのだ。そして気がつくと、なんと前世の姿に戻っていた!しかもそれを第二王子であるアルベルトに見られていて……。
「……まさかこんなことになるなんてね。……それでどうする?あの2人復讐でもしちゃう?今の君なら、それができるよ。」
死を覚悟した絶望から転生特典を得た主人公の大逆転溺愛ラブストーリー!
※最初の5話は毎日18時に投稿、それ以降は毎週土曜日の18時に投稿する予定です
夫に離縁が切り出せません
えんどう
恋愛
初めて会った時から無口で無愛想な上に、夫婦となってからもまともな会話は無く身体を重ねてもそれは変わらない。挙げ句の果てに外に女までいるらしい。
妊娠した日にお腹の子供が産まれたら離縁して好きなことをしようと思っていたのだが──。
女官になるはずだった妃
夜空 筒
恋愛
女官になる。
そう聞いていたはずなのに。
あれよあれよという間に、着飾られた私は自国の皇帝の妃の一人になっていた。
しかし、皇帝のお迎えもなく
「忙しいから、もう後宮に入っていいよ」
そんなノリの言葉を彼の側近から賜って後宮入りした私。
秘書省監のならびに本の虫である父を持つ、そんな私も無類の読書好き。
朝議が始まる早朝に、私は父が働く文徳楼に通っている。
そこで好きな著者の本を借りては、殿舎に籠る毎日。
皇帝のお渡りもないし、既に皇后に一番近い妃もいる。
縁付くには程遠い私が、ある日を境に平穏だった日常を壊される羽目になる。
誰とも褥を共にしない皇帝と、女官になるつもりで入ってきた本の虫妃の話。
更新はまばらですが、完結させたいとは思っています。
多分…
敗戦して嫁ぎましたが、存在を忘れ去られてしまったので自給自足で頑張ります!
桗梛葉 (たなは)
恋愛
タイトルを変更しました。
※※※※※※※※※※※※※
魔族 vs 人間。
冷戦を経ながらくすぶり続けた長い戦いは、人間側の敗戦に近い状況で、ついに終止符が打たれた。
名ばかりの王族リュシェラは、和平の証として、魔王イヴァシグスに第7王妃として嫁ぐ事になる。だけど、嫁いだ夫には魔人の妻との間に、すでに皇子も皇女も何人も居るのだ。
人間のリュシェラが、ここで王妃として求められる事は何もない。和平とは名ばかりの、敗戦国の隷妃として、リュシェラはただ静かに命が潰えていくのを待つばかり……なんて、殊勝な性格でもなく、与えられた宮でのんびり自給自足の生活を楽しんでいく。
そんなリュシェラには、実は誰にも言えない秘密があった。
※※※※※※※※※※※※※
短編は難しいな…と痛感したので、慣れた文字数、文体で書いてみました。
お付き合い頂けたら嬉しいです!
天才と呼ばれた彼女は無理矢理入れられた後宮で、怠惰な生活を極めようとする
カエデネコ
恋愛
※カクヨムの方にも載せてあります。サブストーリーなども書いていますので、よかったら、お越しくださいm(_ _)m
リアンは有名私塾に通い、天才と名高い少女であった。しかしある日突然、陛下の花嫁探しに白羽の矢が立ち、有無を言わさず後宮へ入れられてしまう。
王妃候補なんてなりたくない。やる気ゼロの彼女は後宮の部屋へ引きこもり、怠惰に暮らすためにその能力を使うことにした。
【完結】目が覚めて前世を思い出したら、ざまぁされた処刑寸前の悪役王女でした
Rohdea
恋愛
──前世を思い出したのは、ざまぁされた後でした。
我儘で傲慢、癇癪持ち……気に入らない人間は次々と首にしていく。
でも、誰も自分には逆らえない。
そんな生活が当たり前だった王女、フェリシティ。
フェリシティはとある男爵令嬢の事が気に入らず、姑息な虐めや嫌がらせを日々繰り返していた。
その悪事が暴かれ断罪されると、これまでの素行の悪さもあり、処刑が決定してしまう!
処刑の日を待つ為、牢屋に収監されたフェリシティは、
そこで倒れた後、自分の前世を思い出す。
この世界は乙女ゲームの世界、自分は処刑される運命の悪役王女──……
「今!? なんで今!? これ、もう詰んでる!」
これはもう、処刑待ったナシ!
とにもかくにもまずは逃げなくては! と決意する。
そんなフェリシティが出会ったのは.......
乙女ゲーのモブデブ令嬢に転生したので平和に過ごしたい
ゆの
恋愛
私は日比谷夏那、18歳。特に優れた所もなく平々凡々で、波風立てずに過ごしたかった私は、特に興味のない乙女ゲームを友人に強引に薦められるがままにプレイした。
だが、その乙女ゲームの各ルートをクリアした翌日に事故にあって亡くなってしまった。
気がつくと、乙女ゲームに1度だけ登場したモブデブ令嬢に転生していた!!特にゲームの影響がない人に転生したことに安堵した私は、ヒロインや攻略対象に関わらず平和に過ごしたいと思います。
だけど、肉やお菓子より断然大好きなフルーツばっかりを食べていたらいつの間にか痩せて、絶世の美女に…?!
平和に過ごしたい令嬢とそれを放って置かない攻略対象達の平和だったり平和じゃなかったりする日々が始まる。
運命の強制力が働いたと判断したので、即行で断捨離します
下菊みこと
恋愛
悲恋になるのかなぁ…ほぼお相手の男が出番がないですが、疑心暗鬼の末の誤解もあるとはいえ裏切られて傷ついて結果切り捨てて勝ちを拾いに行くお話です。
ご都合主義の多分これから未来は明るいはずのハッピーエンド?ビターエンド?
小説家になろう様でも投稿しています。
誤解ありきのアレコレだからあんまり読後感は良くないかも…でもよかったらご覧ください!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる