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 ネロとピノを見てくれていたはずの大裳の気配が消えた。
 あるじの情事を覗き見る趣味はない、と。そういうことだろう。
 円は流れるように瞳を抱き上げ、寝室へ向かう。
 いつもより慎重にベッドにおろされて、まだ離れたくなくて抱きついた。


「瞳、おさえが効かなくなるから離れて……」
「……怒ってないのか?」
「え?」


 ポツリ、と聞いた言葉に、円の方が戸惑ったようだった。


「オレは、気を付けるって言った矢先にあんなことになったから。円はオレに怒ってるんだと思ってた」


 違うのか、と身体を少しだけ離して改めて問えば、円は首を横に振って否定した。


「怒ってないよ。むしろ、自分自身に怒ってるんだ。瞳を守るはずなのに、瞳をおとりみたいに使った。最低だよ……」
「円……」
「それなのに、もう俺は瞳を手離してやれないんだ」
「……今さら放り出したら恨んでやるって言ったろ?」
「本当に俺でいいの?」
「何言ってる。もう既に運命共同体だろ?」
「そうだった」


 くすり、と円がやっと笑うから、瞳は安心する。


「なぁ。背中……」
「ん?」
「背中が、痛かったんだ。だから……」


 さわって、と瞳が囁けば、円がやっと瞳の身体に手を這わせる。


「あ……」


 ぴくりと震えながら、瞳は結界を貼り付けたメガネを外してサイドテーブルに置いた。
 せめて制服を脱ごうとするけれど、円によって阻まれた。


「だめ。脱がせるのも俺の楽しみなんだから。やらせて」
「う……」


 制服のネクタイを外して、シュルリと抜き取られ、ブレザーとシャツを脱がされれば、背徳感ばかりが増した。


「瞳。背中みせて」
「ん……」


 瞳がおずおずと背中を円に向けて座れば、そっと円の熱い手が這わされる。ビクリと身体が震えて、声がもれた。


「あ……っ」
「擦れたのかな。少し、赤くなってるね」


 見えないから次の動きの予想がつかない。円が赤くなっている場所にねろりと舌を這わせるから、瞳は思わず逃げを打つけれど、円の手がそれを許さない。


「ひぁ、あ……っ! んっ!」


 どさり、とうつ伏せに倒れ込むと、円が覆いかぶさってくる。
 背中に触れられるたび、身体が震えて声が上がる。そんなことを繰り返しているうちに、瞳はすっかり全裸にされていた。
 つま先から足裏を辿り、円の熱を孕んだ指が撫で上げてくる。ふくらはぎから膝裏、太ももを通って臀部へ。
 その熱さと緩やかな動きに、瞳は知らず喘ぎながら腰をモゾリと動かした。


「んぁ、ひ、あ、あ、ぁん、ん……くぅ、あぁっ!」
「瞳……。可愛いね。腰が揺れちゃってる。感じた?」


 そんなふうに耳元で囁かれ、瞳はふるりと震えた。


「や、みみ、いやぁ……」


 円に触られる場所は、全てが気持ちいい。それはいつも変わらない。
 けれど、今日は。全裸の瞳に対して、制服をきっちりと着ている円。対照的過ぎる二人の姿に、瞳は背徳感を強く感じている。円の手に感じてしまって、既に勃ち上がってふるふると震えている自分のモノすら浅ましく感じてしまう。


「少しツラいね? 一回イっておこう?」


 後ろからゆるりとペニスを撫でられ、扱かれてあっという間に達する。


「は、あ、ああぁぁぁっ!」


 くたり、とベッドに突っ伏せば、瞳が呼吸を整えている間に上半身裸になった円が身体を寄せてくる。
 背中に熱い肌を感じてふるりと震えれば、秘部にねとり、とした感触の指が触れてくる。


「あ……っ!」


 既にローションでぬめらせた指は、ゆるゆると蕾を撫で、ぬく、とナカに挿入されてくる。


「ん、ふぅ……っ!」


 びく、とのけぞれば、指先が擦れて更に喘がされる結果となる。


「あぁんっ!」


 女みたいな嬌声が上がるけれど、口を塞いでいる余裕もない。指を増やされ拡げられては、声などおさえられない。


「あ、んぁ、はぁ……んっ、ひぁ、あぁ……っ! や、も……、いれて、いれて……っ」
「……っ! 煽んないでってば!」


 挿入れてほしいとねだれば、余裕のない声を返され、制服のズボンをくつろげ取り出したソレにゴムを着けてずぷりと与えられる。一気に奥まで突き上げられて、瞳は白濁を迸らせた。


「あ、ああぁぁぁっ!」
「……んっ」


 瞳の収縮に持っていかれそうになった円が堪える声をもらす。


「あ、あぁ……、は、はぁ……」
「瞳、動くよ……」
「ぁ、……ん」


 こくりと頷けば、ゆっくりとした抽挿が始まる。
 圧迫感に喘ぐのは最初だけで、あとはもう、気持ちがよくてトロトロになるまで溶かされる。
 後ろからされるのは、瞳はまだ慣れていない。正直にいえば、やはり不安があるのだ。瞳を抱くのは円以外にはありえないのだけれど、本当に円なのか不安になる。


「あっ、ん、んぁ、は……ぁ、あぁ、んぅ」
「瞳。瞳、可愛い。大好き」
「あぁんっ! ひぁ、んっ! んく、ふ」


 だからこうして円が紡いでくれる言葉が、嬉しくてたまらない。


「ん、んぁう、あ、はぁ、んっ! あ、も……」
「ん、イく?」
「あ、あ、んぁ、イ……く、イく……っ」
「いい子。一緒にイこうね」


 耳元で囁かれ、抜き挿しもいっそう激しく更に奥まで突き上げられて、瞳は我慢が出来ずに嬌声を上げて達した。


「ひぁ、あぁ、んぁ、あ、ああぁぁぁっ!」
「瞳……好きだよ」
「……っ! あ、やぁんっ!」
「…………っ!」


 達した後で囁かれ、またイく。ビクビクと痙攣したような動きで円を締め付ければ、彼の迸りも感じてふるりと震えた。


「あ、はぁ……、あ、まどか……、きす……」
「……ん」


 ねだれば応じてくれる円に伸ばした手を引かれ、深いキスを交わす。捻った腰の奥で、瞳のナカを円の楔が擦る。


「んぅ、んっ! ん、はぁ、……ぁん、んく、ぅ」


 何度も深いキスを繰り返し、瞳はナカで円が再び熱を持つのを感じる。


「ぁ、まどか……っ、こんどは、かお……みて、シたい……っ!」
「うん、顔みながら、シようね」


 円はそう言うと、猛ったモノを一度ずるりと引き抜いた。


「んぁっ!」


 喪失感に思わず喘ぐ瞳に微笑み、新しいゴムに着けかえると瞳の身体を反転させ、ずぷりと蕾に挿入した。


「ああぁんっ!」


 瞳がのけぞり、無防備な首元をさらすから、円は噛み付くようなキスをする。


「ひぁんっ!」


 痛みでさえも、円が与えるものなら甘やかな快感にしかならない。瞳はもうどうしていいか分からず、円の身体に縋り付く。
 行為は、陽が落ち、瞳が気を失うまで続けられた。
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