峰打ち攻撃兵の英雄伝

マサ

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First Season

〜27話€カズヤの思い〜

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シンジは今までのこと、そして灰色の気のことを話し始めた

シンジ「15年前、ここにいる俺とシホとゲンブはデノールで防衛軍の隊員と職員として働いていた。そして、謎のコアを隊員1人1人に配り能力を使えるようにした後に上層部からの指令が俺らには理解できなかった。その内容は"灰色の気を持つ人間を全て捕らえろ"だった」

リツ「!!!」

シンジ「そうだ、君を見た瞬間すぐに分かったよ。君も灰色の気を持っているね」

リツ「君もってことは…」

シンジ「あぁ、俺も灰色の気の持ち主だ。だがなぜデノールのやつらが灰色の気を持つ人間を標的にしているのか、そして突然配られたコアの調達源も分からない。そんな怪しい連中が他の国を一方的に侵攻する様子を見て俺はこのままではいけないと思い、ゲンブと協力してそのコアのデータをコピーし、シホと息子のミネトを連れて4人でプードルにやってきたんだ」

シホがミネトに語っていたことを淡々とシンジも話していく

シンジ「プードルにやってきた俺らはコアのデータを防衛軍に渡してゲーラーを組織させた。俺らはそこの職員として働くようになった。その後コアの使い方が分かることから俺は指導者、シホは情報管理、ゲンブは責任者となった。そして3人でプードル初のコアを使いこなす隊員を育てるべく、アマリリスを建て、新人育成に取り掛かった。周りの国で何かあるごとに俺とゲンブは向かったが、その時にスプーンにもコアのデータを渡そうと思い、俺は1人でスプーンに向かった」

シホ「そこまでは私も知ってる話ね、問題はここからね」

シンジ「あぁ、みんなも知っての通りスプーンは大規模なデノールの国家侵攻の被害を受けた。その時に俺はスプーンにいたんだ。そしてデノールの侵攻が分かった瞬間ゲンブに応援を求め、俺は現地でデノール兵と交戦していたんだ」

シンジの話がいよいよ、みんなが知らない話になろうとしていたその時だった

ガタンッ!!

総長室のドアを勢いよく開け、入ってきたのは・・・

カズヤ「おい、アンタ!あの時の隊員だよな!?さっき少し顔が見えてもしかしてと思って聞いてたけど、今スプーンにいたと言ったな!」

シンジ「君はあの時の…」

カズヤ「家族の仇ー!!」

ゲンブ「能力発揮!干渉断絶!」

ゲンブの総長服に付いているペンダントが黒色に光り、シンジの前にシールドのような物が出現した

ゲンブ「シンジ、カズヤ隊員と何かあったのか?」

シンジ「あぁ、俺がデノールと交戦していた時に家族が危ないから助けて欲しいと言って1人の少年が近づいてきてな、そしたら目の前のデノール兵はその少年に向かって攻撃を仕掛けてきたんだ。それで俺は少年を抱き抱えながらそのデノール兵を倒したんだが…」

カズヤ「その後俺の家族の方に向かったけど、ちょうどその時だったよ…俺の家族は俺の目の前で殺されたんだ!あともう少し行くのが早かったら!アンタが俺の言葉を聞いてすぐに行ってくれてれば!アンタのせいで…」

ゲンブ「カズヤ隊員!家族を殺したのはデノール!敵だ!シンジじゃない!」

カズヤ「それでも俺は!!」

カズヤが目に涙を浮かべながら叫んでいると、リツがカズヤの目の前に立った

リツ「俺も…アイツらに家族を殺された、アイツらに弟を連れていかれた。俺も無力だった…そして俺はそのうち弟と殺し合いをしなければならないだろう…この辛さがお前には分かるか?」

カズヤ「っ!!!・・・俺だって最初からわかってるよ…本当に恨むべきはデノールだってことも、俺がその時強くなかったから家族が殺されたことも、俺を助けてくれたあの人には感謝しなきゃいけないことも…でも!それでも!俺はその灰色のコアを見る度にあの時の惨めさを思い出すし、見てるだけだった…助けを求めるだけだった自分が悔しくて仕方ないんだよ!!!」

カズヤの叫びが総長室に響き渡った…
カズヤの惨めさも、悔しさも、憎しみも全てみんながデノールへ抱く思いと同じだった

リツ「カズヤだったか、俺とアルはこれからフェイブルに向かうところなんだが一緒に来る気はあるか?現地の俺の仲間から今回の侵攻で敵は相当腕の経つ隊員が来る可能性があるとの連絡を受けた。つまり俺の、そしてお前の仲間が死ぬかもしれないんだ」

カズヤ「・・・気になっていたナギサ隊長もいなくなったし。ふぅ…そいじゃ!ゲーラー内2位の実力を見せる時が来ましたかね!」

カズヤは落ち着き、取り乱していたのが嘘のように元のノリの良さに戻っていった

リツ「カズヤ、俺もアルもみんな思いは一緒だ。その憎しみだって敵を倒す強さになる、すぐに出発するから準備してきてくれ」

カズヤ「了解だ。ゲンブさんそう言うことだから俺も行ってきますね!もしプードルに何かあれば直ぐに戻ってきますんで!」

ゲンブ「あぁ、今回のフェイブルでの戦いがデノールとの大きな戦いになることは間違いない。全力で行かねばだからな」

シンジ「おぉ、さすがゲンブ総司令部総長だな?貫禄が違うねぇ~」

ゲンブ「シンジふざけてる場合じゃないぞ、お前はどうするんだ?」

シンジ「俺が行くと灰色の気を持つ者が集まってしまう、それは余計に大きな戦闘になり被害も多大なものになるだろう。だから俺は少しの間プードルでシホと共に過ごすとするよ。いろいろ話したいことも向こうにはありそうだし…」

シンジの目線の先にはシンジのことを冷たい目で睨むシホがいた

マナト「なら僕も念の為プードルに残るとします。残っている隊員も少ないですし」

ゲンブ「なら今日の所はこのぐらいにしよう、解散してくれ」

こうして総長室を後にしたリツ、アルトはすぐに準備をしたカズヤと合流し飛行機に乗ってフェイブルに向かった
デノールの国家侵攻まであと5日・・・
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