峰打ち攻撃兵の英雄伝

マサ

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First Season

〜11話€名残と兆し〜

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あれから1ヶ月が経った
ミサイル被害の回収や状況整理などでミネトとミズナはエンドウと共に動いていた

あの戦闘が終結したすぐ後に駆けつけた第1小隊のナギサ隊長によってエンドウは起こった全てを聞かされ、当時は自分の不甲斐なさと未熟さによって起きたことだと悲しみと怒りが頭を埋めつくし、何も考えられない状態で部屋にこもっていたが
1ヶ月たった今では未来へ進むしかないと切り替えて新第2小隊を引っ張っていた

エンドウ「そう言えばマモルくんの調子はどうだい?」

ミズナ「まだダメみたいです。やっぱり普通の生活に戻りたいみたいで…」

マモルは死と隣り合わせの戦場を直に目の当たりにして、完全に怯えきってしまっていた

エンドウ「とりあえず今日はマモルくんを宿泊施設に送り届けるとしよう」
 
デノールの今回の奇襲によって負った被害は隊員の気力や国民の不安など、たくさんの爪痕を残していた

エンドウたち3人が宿泊施設に向かう途中で国民全員へのテレビ中継がゲンブによって行われた

ゲンブ「国民の皆様、プードル国家総司令部総長のソウマ・ゲンブだ。あのミサイル被害から今日でちょうど1ヶ月が経った。生き残っている国民の皆様にはセントラルシティの民家や宿泊施設に詰め詰めで生活してもらっている。だが、セントラルシティにいる限りは皆様の安全を私が保証する」

国民「そんな言葉信用できるか!!」

国民「こっちは2回もミサイルの被害にあってるんだぞ!!」

民家や宿泊施設内から、大勢の国民たちがゲンブへの罵声や怒りを叫んでいる
外にいるエンドウ達にもそれが聞こえてきた

ゲンブ「皆は信じられないと思うが、私はセントラルシティ1帯を外からの干渉から守る能力を持っているのだ」

国民「能力!?コイツ頭おかしくなっちまったぞ?」

国民「実は俺…人殺せる能力持ってんだ!なんてな?」

国民がさらに罵詈雑言を並べる中、ミネトたちは衝撃を受けた 
まず、能力のことを国民全員に知らせて良いのかということも驚いたが1番は1回目も2回目も、敵はミサイルをなぜ国の中央にあるセントラルシティに打たずに同じような中央から離れた位置に打ってくるのかミネトはずっと気になっていた

だが、真実はミサイルもあのワープ使いのワープホールも最初からセントラルシティを狙っていたのだ
しかし、ちゃんと座標入力をしてもゲンブの能力でセントラルシティ一帯から外れた位置に設定されてしまっていたのだ

ミネト「最初のミサイルのあの日からまだ約2ヶ月…いろんなことがあったな」

ミズナ「そうね、でも私たちはもっと訓練して強くなってあの敵を絶対に倒さなきゃいけないわ」

エンドウ「2人とも良い心構えだが、気負いすぎてはダメだぞ?」

そう言うエンドウの後ろ姿には、まだ3人の死の名残が残っている気がした
宿泊施設のロビーにミネトとミズナを待たせ、エンドウはマモルを連れて部屋に向かう

エンドウ「ここがマモルくんの部屋だな!」

そう言うとエンドウはドアを叩き、マモルを連れてきたことをドア越しに言うと

マモル兄「マモル!!どうしたんだ!?」

部屋の中から走ってくる音がして、ドアを勢い良く開けたマモル兄はエンドウに連れられたマモルを見て駆け寄って喋りかけた
何かがあったことを悟ったマモル兄はマモルを部屋の中に入れ、部屋の外でエンドウから先日の本物の戦闘にマモルが巻き込まれたこと、そしてそれを目の当たりにして怯えきってしまったことを聞かされ
その上で今までの、突然ゲーラーへ参加させたことや、まだ能力も精神も未熟な状態で戦闘に巻き込んでしまったことを謝罪された

マモル兄「いえ、あなたが謝ることはありません。元々コイツが望んで進んで行った道だ。それでこうなってしまったのならそれがこいつの運命だと俺は思います」

エンドウ「暖かい心遣い感謝します」

そう言ってエンドウはマモル兄に深く頭を下げた

マモル兄「あの、1個頼みがあるんですけど…良いッスか?」

エンドウ「はい、なんでしょう?」

マモル兄「俺をそのゲーラーとか言うのに入れてくれませんか?」

エンドウ「!!?マモルくんをこんな姿にしてしまったのにか?」

マモル兄「俺はこいつより頭も良くねぇし、身長も見ての通り同じ歳のやつより低いからちゃんと戦えるか分からねぇけど、弟が…マモルが勇気を出して進んだ道を俺が続けてやりてぇと思ったんです。ダメですか?」

エンドウ「・・・訓練はとても厳しく、戦場では死ぬかもしれないですよ?」

エンドウにそう言われたマモル兄は部屋に戻ってマモルに別れの挨拶をしてドアを開け、エンドウの隣を通過する時に

マモル兄「カメイ・シロウ、それが俺の名前です。行きましょう」

そしてロビーで待っていたミネトとミズナは帰ってきたエンドウの隣に身長はマモルより小さく、前髪を上げ、目付きがとても鋭い人がいることにすぐ気づいた

ミズナ「エンドウさん、その人ってもしかして…」

エンドウ「あぁ、マモルくんのお兄さんだ!今からゲーラーに入れるかテストをしに行く!」

ミズナ「え!?お兄さん?」

シロウ「おい、お前!今俺のことマモルの弟だと思ったろ!ぶっ殺すぞ!?」

ミズナ(うわぁ口わっる…)

そうしてエンドウに連れられ、ミネトたちと同じようにオフィスでコアを渡されたシロウがそれを装着すると

シロウ「おぉ、水色か!俺の好きな色だぜ!」

その後もミネトたちと同じようにエンドウが1ヶ月シロウを見ることになり、その間ミネトとミズナはバトルタワーの右隣にあるトレーニングジムで訓練することになった

そして1ヶ月後、ミネトとミズナはエンドウにバトルフィールドの観客席に呼ばれた

ミズナ「エンドウさん?今日は何の用で私たちをここに?」

エンドウ「・・・よし、シロウくん!始めてくれ!」

ミネトとミズナがエンドウの隣の席に座ったことを確認して、バトルフィールドにいるシロウにマイクを通して指示をだした

シロウ「能力を全力で発揮すりゃ良いんだろ!やってやるぜ!!能力発揮!氷壁裂破ひょうへきれっぱ!!」

その光景を見たミネトとミズナは驚きを隠せなかった
その様子を嬉しそうに見ていたエンドウは

エンドウ「こりゃ新しい第2小隊も安泰だぞ!!なぁ…テツオ、カズマ、タツヤ…」

敵の攻撃で生まれたのは深い爪痕や被害の名残だけではなく、新たな希望の兆しも同時に生んでいた・・・
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