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ハッとパウロの存在を思い出し、キョロキョロ辺りを探すと、僕たちの後ろの木のかげからニヤニヤこちらを見ている姿を見つけた。
そんな顔をしているけど、目には少し涙が浮かんでいるように見える。
「ラピ兄さん、良かったねぇ。寝言でジルさんの名前出すくらい好きだもんねぇ。ぐふふ。」
「なっ!!パ、パウロ!それは黙っててってお願いし」
「何故早く教えない!はぁ・・・可愛い、ラピはどうしてそんなに可愛さの底が知れないんだ・・・」
「うう・・・こうなっちゃうだろぉ・・・うう・・・」
「はぁ~~、いいなぁ。僕も早く番になりたいし、結婚したい。あと1年以上も待たないといけないじゃん・・・あーあ。兄さんとジルさんが羨ましいよぉ。」
「・・・ん?ぱ、パウロ?待つってどういうこと?あ、相手がもういるの?!」
「・・・・・・・・・まだ内緒。んふ。」
「え、えええええ!!兄さん聞いてないぞ!早く言いなさい!!!パウロ!!」
「さ、ジルさん!兄さんが朝ご飯焼いてたから早く食べに帰ろう。一緒に住む話も詳しくしなきゃ!ね?あ、じゃあ家まで競争だから!」
パウロはニヤニヤ、ニコニコして、先にダッと駆け出した。パウロの足の速さはよく知っている。あっという間に見えなくなった。僕の耳はペタンと下を向いている。
「ジ、ジルぅ・・・パウロがぁ!もうお嫁さん連れて来ようとしてるよぉ!ど、どうしよう!!」
「・・・さすがに気が早いんじゃないか?・・・あと・・・・・・・・・婿だ、ラピ。」
「・・・えっ!?む、婿!?ジル知ってるの???へっ!どういうこと!ねぇ?!」
僕はぶんぶんジルの肩を揺らしたけど「口止めされている」と頑なに口を開かなかった。森中に「誰なのーーーー!気になるーーーーーー!」と叫ぶ僕の声が響いたが、誰もその答えを教えてくれなかったのは言うまでもない。
ジルにしっかりと抱えられながら、頭を抱える僕の左手には、朝日を反射し、きらりと光る美しい指輪がはめられていた。
本編/おしまい
番外編はパウロの話を予定してます。
そんな顔をしているけど、目には少し涙が浮かんでいるように見える。
「ラピ兄さん、良かったねぇ。寝言でジルさんの名前出すくらい好きだもんねぇ。ぐふふ。」
「なっ!!パ、パウロ!それは黙っててってお願いし」
「何故早く教えない!はぁ・・・可愛い、ラピはどうしてそんなに可愛さの底が知れないんだ・・・」
「うう・・・こうなっちゃうだろぉ・・・うう・・・」
「はぁ~~、いいなぁ。僕も早く番になりたいし、結婚したい。あと1年以上も待たないといけないじゃん・・・あーあ。兄さんとジルさんが羨ましいよぉ。」
「・・・ん?ぱ、パウロ?待つってどういうこと?あ、相手がもういるの?!」
「・・・・・・・・・まだ内緒。んふ。」
「え、えええええ!!兄さん聞いてないぞ!早く言いなさい!!!パウロ!!」
「さ、ジルさん!兄さんが朝ご飯焼いてたから早く食べに帰ろう。一緒に住む話も詳しくしなきゃ!ね?あ、じゃあ家まで競争だから!」
パウロはニヤニヤ、ニコニコして、先にダッと駆け出した。パウロの足の速さはよく知っている。あっという間に見えなくなった。僕の耳はペタンと下を向いている。
「ジ、ジルぅ・・・パウロがぁ!もうお嫁さん連れて来ようとしてるよぉ!ど、どうしよう!!」
「・・・さすがに気が早いんじゃないか?・・・あと・・・・・・・・・婿だ、ラピ。」
「・・・えっ!?む、婿!?ジル知ってるの???へっ!どういうこと!ねぇ?!」
僕はぶんぶんジルの肩を揺らしたけど「口止めされている」と頑なに口を開かなかった。森中に「誰なのーーーー!気になるーーーーーー!」と叫ぶ僕の声が響いたが、誰もその答えを教えてくれなかったのは言うまでもない。
ジルにしっかりと抱えられながら、頭を抱える僕の左手には、朝日を反射し、きらりと光る美しい指輪がはめられていた。
本編/おしまい
番外編はパウロの話を予定してます。
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