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その次の日。
私とシュエはまた散歩に出ていた。
するとシュエが森の奥を向いて、急に立ち止まった。
いつもの優しく、ふわふわとした雰囲気と違う。
騎士たちが魔物と対敵した時のようなピリッとした緊張感を纏ったシュエが、そこにはいた。
「リューナさん、僕、ちょっと用事ができて・・・一人で小屋に戻って欲しい、です。」
「?ならば、私も行こう。」
「・・・・・・ダメ、です。」
「何故だ?もう傷も治ったし、」
「ダメです!!!」
シュエの突然の大声に私は思わず動きを止めた。
その声の主、シュエは両手を口元にあて、微かに震えている。
「ご、ごめんなさい・・・ぼ、僕、大きな声出し、て・・・」
「いや、私が悪かった。一人で戻っておく。・・・気をつけるんだぞ、シュエ。」
「・・・・・・ごめんなさい。」
「何故謝る?」
「・・・・・・い、ってきます・・・」
シュエは唇をぎゅっと噛み、私の問いには答えなかった。
そして、これがシュエとの最後の会話になったのだった。
私とシュエはまた散歩に出ていた。
するとシュエが森の奥を向いて、急に立ち止まった。
いつもの優しく、ふわふわとした雰囲気と違う。
騎士たちが魔物と対敵した時のようなピリッとした緊張感を纏ったシュエが、そこにはいた。
「リューナさん、僕、ちょっと用事ができて・・・一人で小屋に戻って欲しい、です。」
「?ならば、私も行こう。」
「・・・・・・ダメ、です。」
「何故だ?もう傷も治ったし、」
「ダメです!!!」
シュエの突然の大声に私は思わず動きを止めた。
その声の主、シュエは両手を口元にあて、微かに震えている。
「ご、ごめんなさい・・・ぼ、僕、大きな声出し、て・・・」
「いや、私が悪かった。一人で戻っておく。・・・気をつけるんだぞ、シュエ。」
「・・・・・・ごめんなさい。」
「何故謝る?」
「・・・・・・い、ってきます・・・」
シュエは唇をぎゅっと噛み、私の問いには答えなかった。
そして、これがシュエとの最後の会話になったのだった。
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