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「どうしてこうなったんだっけ」と、リシェルは考える。
見かけよりずっとずっと逞しいルイーズの腕に抱えられ、ふかふかのベッドに寝かされたまでは何とか理解できた。
しかしそのふかふかベッドにあがったのは自分だけでなく、もれなくついてきた美丈夫二人にリシェルは思考が追いつかなくなった。
その上、自分の身体の至る所をさわさわと撫でるように触れてくる大きな手がリシェルの思考回路を停止させた。
くすぐったさと今まで感じたことのない新たな熱で、気がどうかなりそうだ。
これまでに何度か会ったことのあるあの優しそうな医者は「これに効く特別な薬はないのですが・・・ああ、リシェル様どうぞご無事で・・・」と頭を抱えつつ、何故か頬を赤らめていた。
あれは一体、どういう意味だったのだろう。
「・・・おや?リシェル。いけない子だな、こんな時に考え事なんて。」
「んやっ、くすぐった、い・・・っ、」
「はぁ~・・・それにしても良い匂いだな。早く噛みたい。」
「噛んだら本当に殺してやる。」
「そういうお前も絶対今日は噛むなよ。」
「・・・・・・・・・・・・」
「黙んな!!」
ルイーズは怪訝な顔をハザックに向け小さな溜息をつくと、再び自分の膝上に座らせたリシェルの首筋に鼻を擦り付ける。
甘い、甘い香りがルイーズの鼻腔に広がった。
本当であればこのままこの白く細い首元を噛みたい・・・、が、国の後継のことや突然現れた邪魔者の事を考えると・・・番にするのは今ではない、とグッと下唇を噛んだ。
一方ハザックはルイーズに抱えられたリシェルの前で向かい合わせになり胡座をかくと、リシェルの小さなつま先に唇を寄せた。
華奢な足首にも優しくキスを落とすと、そのくすぐったさにリシェルは小さな声をあげる。
それがたまらなく、愛おしい。
しばらくそうして過ごしているとリシェルの思考はいよいよ蕩けてきた。
自分を愛でるように触れてくる男二人、という何とも非現実的な光景を目の前にし、『ああ、これはきっと夢なんだ』と、リシェルなりの結論に至った。
「ゆ、めなら・・・いいよね・・・、えへへ・・・」
そう独り言をこぼしたリシェルはまずルイーズの方を振り返り、微笑んだ。
リシェルの屈託のない可愛らしい笑顔につられてルイーズも思わず顔が緩む。
こんな顔をリシェルが見せるのは珍しい。
「どうしたのかい?リシェル。」
「へへ、るいーずにいさまは、今日も、きれいですねぇ、へへ、」
「・・・っ、そ、そうか。ありがとう・・・っ、」
「いつもやさしくしてくれるにいさまのこと・・・ぼく、だいすきです、えへへ。ほんものには恥ずかしい、から、ないしょ、ですよ。」
「・・・・・・っ、」
ぐっと、歯に力が入り、ルイーズの口の中に血の味が広がる。
そうでもしないと、我慢できそうになかったからだ。
可愛い。
愛くるしい。
・・・噛みたい。
そう言った類の言葉しかルイーズの脳内に浮かんでこなかった。
どこか遠慮がちで緊張した面持ちのリシェルもたまらなく愛おしいが、素直に笑うリシェルの破壊力たるや、凄まじいものがあった。
天を仰ぎ、ルイーズはふぅー・・・と息を吐くとリシェルのにこにこ、ふわふわした顔に目線を戻した。
すぐ近くにいるハザックの面白くなさそうな顔が視界に入ったが、それは完全に無視だった。
「今のは本当?」
「んえ?ほんとうですよぉ。るいーずにいさまのことだぁいすきです。ぼく、うそはつきません!」
「私もリシェルが、リシェルだけが、好きだよ。・・・愛している。」
「えへ、えへへ。うれし、い。だいすきです、るいーずに、んん、んむっ、」
「あああああああ!!ルイーズっ、てんめぇ・・・っ!!!」
喰らいつくようにリシェルの唇を奪ったルイーズにグルル・・・ッ、とハザックの怒りの喉が鳴った。
ルイーズはそんなハザックを気にも止めずリシェルの柔らかな唇を味わう。
何年も、何年も我慢した。
簡単に離してなるものか、といつもの余裕も、冷静さも感じられない程の勢いを感じる。
「・・・リシェル、口を開けてごらん?・・・そう、上手だね。」
「んむ、んん、るいー、ず、にいさま、ん、んん?!ひゃあっ、」
「・・・ハザック・・・っ、邪魔をするな・・・っ!」
「ハッ、お前も好きにしてんだろ。俺も好きにする。・・・な、リシェル。」
不敵に笑いをこぼしたハザックはリシェルの前から首元に唇を落とし始めた。
ちゅ、ちゅ、とわざと音を立て、ルイーズを下から睨みつけている。
・・・リシェルを見つめるときはもちろん蕩けた目だが。
ハザックが口付けたところには、もれなく赤い痕が残る。
それがまたリシェルの白肌を際立たせた。
「ん、あ。はざっ、くさま・・・、くすぐった・・・んむ、」
「リシェル、他の男の名を口にしなくていいんだよ。」
「・・・さすが狼。執念深さは折り紙付きだもんなぁ。でも、負けねぇ。」
「ひゃっ、ぼぼぼぼく、女のひとじゃ、ないからっ、胸さわっても、おもしろくな、ひゃあ!」
「噛み殺すぞ、ハザック。」
「発情期の過ごし方は知ってんだろ?オオカミサン。」
「・・・・・・クソッ!」
終始ずっと喧嘩状態の二人だったが、これも全ては疑似発情状態の愛する番のため。
互いに牽制し合いながらも、リシェルを熱から解放するために・・・・・・というのは建前で。
ただ、ただ、この愛おしい人間を愛でる手を止めたくないだけの、二人の男であった。
見かけよりずっとずっと逞しいルイーズの腕に抱えられ、ふかふかのベッドに寝かされたまでは何とか理解できた。
しかしそのふかふかベッドにあがったのは自分だけでなく、もれなくついてきた美丈夫二人にリシェルは思考が追いつかなくなった。
その上、自分の身体の至る所をさわさわと撫でるように触れてくる大きな手がリシェルの思考回路を停止させた。
くすぐったさと今まで感じたことのない新たな熱で、気がどうかなりそうだ。
これまでに何度か会ったことのあるあの優しそうな医者は「これに効く特別な薬はないのですが・・・ああ、リシェル様どうぞご無事で・・・」と頭を抱えつつ、何故か頬を赤らめていた。
あれは一体、どういう意味だったのだろう。
「・・・おや?リシェル。いけない子だな、こんな時に考え事なんて。」
「んやっ、くすぐった、い・・・っ、」
「はぁ~・・・それにしても良い匂いだな。早く噛みたい。」
「噛んだら本当に殺してやる。」
「そういうお前も絶対今日は噛むなよ。」
「・・・・・・・・・・・・」
「黙んな!!」
ルイーズは怪訝な顔をハザックに向け小さな溜息をつくと、再び自分の膝上に座らせたリシェルの首筋に鼻を擦り付ける。
甘い、甘い香りがルイーズの鼻腔に広がった。
本当であればこのままこの白く細い首元を噛みたい・・・、が、国の後継のことや突然現れた邪魔者の事を考えると・・・番にするのは今ではない、とグッと下唇を噛んだ。
一方ハザックはルイーズに抱えられたリシェルの前で向かい合わせになり胡座をかくと、リシェルの小さなつま先に唇を寄せた。
華奢な足首にも優しくキスを落とすと、そのくすぐったさにリシェルは小さな声をあげる。
それがたまらなく、愛おしい。
しばらくそうして過ごしているとリシェルの思考はいよいよ蕩けてきた。
自分を愛でるように触れてくる男二人、という何とも非現実的な光景を目の前にし、『ああ、これはきっと夢なんだ』と、リシェルなりの結論に至った。
「ゆ、めなら・・・いいよね・・・、えへへ・・・」
そう独り言をこぼしたリシェルはまずルイーズの方を振り返り、微笑んだ。
リシェルの屈託のない可愛らしい笑顔につられてルイーズも思わず顔が緩む。
こんな顔をリシェルが見せるのは珍しい。
「どうしたのかい?リシェル。」
「へへ、るいーずにいさまは、今日も、きれいですねぇ、へへ、」
「・・・っ、そ、そうか。ありがとう・・・っ、」
「いつもやさしくしてくれるにいさまのこと・・・ぼく、だいすきです、えへへ。ほんものには恥ずかしい、から、ないしょ、ですよ。」
「・・・・・・っ、」
ぐっと、歯に力が入り、ルイーズの口の中に血の味が広がる。
そうでもしないと、我慢できそうになかったからだ。
可愛い。
愛くるしい。
・・・噛みたい。
そう言った類の言葉しかルイーズの脳内に浮かんでこなかった。
どこか遠慮がちで緊張した面持ちのリシェルもたまらなく愛おしいが、素直に笑うリシェルの破壊力たるや、凄まじいものがあった。
天を仰ぎ、ルイーズはふぅー・・・と息を吐くとリシェルのにこにこ、ふわふわした顔に目線を戻した。
すぐ近くにいるハザックの面白くなさそうな顔が視界に入ったが、それは完全に無視だった。
「今のは本当?」
「んえ?ほんとうですよぉ。るいーずにいさまのことだぁいすきです。ぼく、うそはつきません!」
「私もリシェルが、リシェルだけが、好きだよ。・・・愛している。」
「えへ、えへへ。うれし、い。だいすきです、るいーずに、んん、んむっ、」
「あああああああ!!ルイーズっ、てんめぇ・・・っ!!!」
喰らいつくようにリシェルの唇を奪ったルイーズにグルル・・・ッ、とハザックの怒りの喉が鳴った。
ルイーズはそんなハザックを気にも止めずリシェルの柔らかな唇を味わう。
何年も、何年も我慢した。
簡単に離してなるものか、といつもの余裕も、冷静さも感じられない程の勢いを感じる。
「・・・リシェル、口を開けてごらん?・・・そう、上手だね。」
「んむ、んん、るいー、ず、にいさま、ん、んん?!ひゃあっ、」
「・・・ハザック・・・っ、邪魔をするな・・・っ!」
「ハッ、お前も好きにしてんだろ。俺も好きにする。・・・な、リシェル。」
不敵に笑いをこぼしたハザックはリシェルの前から首元に唇を落とし始めた。
ちゅ、ちゅ、とわざと音を立て、ルイーズを下から睨みつけている。
・・・リシェルを見つめるときはもちろん蕩けた目だが。
ハザックが口付けたところには、もれなく赤い痕が残る。
それがまたリシェルの白肌を際立たせた。
「ん、あ。はざっ、くさま・・・、くすぐった・・・んむ、」
「リシェル、他の男の名を口にしなくていいんだよ。」
「・・・さすが狼。執念深さは折り紙付きだもんなぁ。でも、負けねぇ。」
「ひゃっ、ぼぼぼぼく、女のひとじゃ、ないからっ、胸さわっても、おもしろくな、ひゃあ!」
「噛み殺すぞ、ハザック。」
「発情期の過ごし方は知ってんだろ?オオカミサン。」
「・・・・・・クソッ!」
終始ずっと喧嘩状態の二人だったが、これも全ては疑似発情状態の愛する番のため。
互いに牽制し合いながらも、リシェルを熱から解放するために・・・・・・というのは建前で。
ただ、ただ、この愛おしい人間を愛でる手を止めたくないだけの、二人の男であった。
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