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第24話
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エリカとミリカとデートをした次の日、僕は村に戻るための馬車に乗っていた。
この馬車は、僕が王都に来る時にも乗った、御者が二人いる馬車で、たまたまエストブルに向かうと言うので、乗せてもらっている。
来る時は盗賊に襲われたりといろいろあったけど、今回は僕しか乗っていない。
ちなみに僕が壊してしまった場所は修理されていた。
乗車料は前回助けてもらったからと、少し安くしてくれて、本来なら六千ペリのところ五千ペリにしてくれた。
僕は迷わず銀貨を五枚渡して乗った。
一人は慣れたものだと思ってたけど、シャルやエリカ、ミリカと一人でいる時間がすくなかったからか、少し心細く感じる。
「マーレンにはだいたい二時間ほどで到着しますが、途中で休憩などは挟みますか?」
「いえ、僕は大丈夫なので問題ないようならそのまま行ってもらってもいいですよ」
マーレンというのは、エストブルと王都の間にある街の名前らしい。
前は、エストブルからマーレンまでは戦闘訓練をするために歩きで行ったし、街の名前を聞く機会もなかったので知らなかったが、ここに来て初めて分かった。
僕はそのまま馬車に揺られて、マーレンに向かうのだった。
***
あれから約三時間ほど経ってマーレンの入口にたどり着いた。
最初の予定では二時間ほどという話だったのがなんで一時間も遅くなったのかと言うと、ここに来るまでの途中、モンスターの群れに襲われたからだ。
前はモンスターと遭遇しなかったから、ここら辺は余りでないのかと思っていたけど、出る時は割と出ると言う。
出てきたモンスターはゴブリンとウルフと、僕がエストブルからマーレンに行くまでに倒した魔物たちだった。
一体だけ、他のゴブリンと色と大きさの違う個体がいたが、御者の男性の話だと、そいつはオーガというゴブリンの上位種との事だった。
ゴブリンを小鬼ということがあるが、オーガは大鬼と呼ばれ、繁殖力以外の全てにおいてゴブリンの上位互換だと。
さすがに数も多く、僕一人だとまずいかと思ったら、なんと御者の男性も戦っていた。
男性は主に風の魔法である【エアカッター】を使って敵を切り裂いたり、【ウィンドプレス】という空気の塊を上から叩きつける魔法で圧殺したりしていた。
戦闘終了後に聞いた話だけど、通常の馬車は護衛なんかを雇わないといけないところ、この馬車は御者の男性が戦えるので、護衛が必要ないとの事。
一応僕も戦闘には参加していたけど、正直僕は要らなかったんじゃないかと思えるほど、圧倒的な戦いだった。
「それでは、私たちは物資の補給などがあるので、一時間後にエストブルに出発します。それまでに馬車停に来てください」
マーレンにたどり着いて、休憩ということで一旦馬車を降りた。
馬車は僕を降ろしてから、どこかに走り去ってしまった。
「とりあえず、昼食でもかるくつまもうかな……」
そういえば、前に食べたハンバーガーとやらの屋台はどこだったっけ……
なんかあのハンバーガーって中毒性があるよね。
毎日はいらないけど、週に一回は食べたくなるような。
前回を思い出しながら道を歩き、色々な屋台を見て回る。
「あっ、あった! おじさん!」
「ん? おぉ! いつぞやの兄ちゃんじゃねぇか!」
すると、そう時間も掛からずにハンバーガーのおじさんを見つけることが出来た。
「お久しぶりです、また食べたくなって来ちゃいました」
「嬉しいこといってくれるじゃねぇの! そいじゃ、いくつ買ってくよ?」
「二つください」
「あいよ、そんなら四百ペリだ」
前回も二つ食べたっけ……
気がついたら食べ終わってたから、今回はゆっくり味わって食べないと。
なんて考えつつ、僕はポケットから銅貨を四枚取り出しておじさんに渡す。
「ちょうどね、もうすぐできるから少々お待ちィ!」
それから五分程でハンバーガー二つを渡された。
僕はまた、歩きつつハンバーガーを食べる。
このシャキシャキのレタスと肉、パンと相性のいいソースがたまらないんだよなぁ……
そして、気づけばまたしてもハンバーガーは二つとも無くなっていた。
あれ? 味わって食べるのでは……?
味わうどころか気づいたら無くなってるとか前回と同じなんだけど。
……いや、まぁ、あのハンバーガーがそれくらい美味しいってことで。別に僕が学習しないとかそういうことじゃないから……
その後は、色々な屋台を見て回りつつ、時間を潰して、だいたい一時間経たないくらいで僕は馬車停に戻った。
すると、もう馬車がいて、待たせてしまったかと思い急いで謝ると、まだ時間になってないから大丈夫だと言われた。
マーレンを出発してからは何事も無く、無事にエストブルにたどり着けた。
「ここまでありがとうございました。また機会があったらお願いします」
マーレンからエストブルまでは馬車だと二時間くらいだった。
まぁ、徒歩五時間を二時間で移動出来るとは、やはり文明の利器に頼った方が楽だよなぁ……
御者の男性が馬車を進ませ、女性が僕にお辞儀をして去っていった。
さて、ここまで戻ってきた訳だが、これからどうしようか……
時間はないことも無いけど、今から村に戻って色々やって戻ってくるってなると時間が足りないような気もする。
今日は一日ここで泊まって明日の朝イチで村に向かおうかな。
そうとなったら宿を探さないといけないわけだが、歩いてたら見つかるかな……?
フォーサイス家にお世話になることも考えたけど、シャルに次会うときは堂々と「僕達付き合ってます」と宣言できるような立場になってからがいいと思ってる。
だからできるだけ早く爵位を手に入れないと……
僕は、短期間で爵位を手に入れる方法を考えながら、宿を探した。
この馬車は、僕が王都に来る時にも乗った、御者が二人いる馬車で、たまたまエストブルに向かうと言うので、乗せてもらっている。
来る時は盗賊に襲われたりといろいろあったけど、今回は僕しか乗っていない。
ちなみに僕が壊してしまった場所は修理されていた。
乗車料は前回助けてもらったからと、少し安くしてくれて、本来なら六千ペリのところ五千ペリにしてくれた。
僕は迷わず銀貨を五枚渡して乗った。
一人は慣れたものだと思ってたけど、シャルやエリカ、ミリカと一人でいる時間がすくなかったからか、少し心細く感じる。
「マーレンにはだいたい二時間ほどで到着しますが、途中で休憩などは挟みますか?」
「いえ、僕は大丈夫なので問題ないようならそのまま行ってもらってもいいですよ」
マーレンというのは、エストブルと王都の間にある街の名前らしい。
前は、エストブルからマーレンまでは戦闘訓練をするために歩きで行ったし、街の名前を聞く機会もなかったので知らなかったが、ここに来て初めて分かった。
僕はそのまま馬車に揺られて、マーレンに向かうのだった。
***
あれから約三時間ほど経ってマーレンの入口にたどり着いた。
最初の予定では二時間ほどという話だったのがなんで一時間も遅くなったのかと言うと、ここに来るまでの途中、モンスターの群れに襲われたからだ。
前はモンスターと遭遇しなかったから、ここら辺は余りでないのかと思っていたけど、出る時は割と出ると言う。
出てきたモンスターはゴブリンとウルフと、僕がエストブルからマーレンに行くまでに倒した魔物たちだった。
一体だけ、他のゴブリンと色と大きさの違う個体がいたが、御者の男性の話だと、そいつはオーガというゴブリンの上位種との事だった。
ゴブリンを小鬼ということがあるが、オーガは大鬼と呼ばれ、繁殖力以外の全てにおいてゴブリンの上位互換だと。
さすがに数も多く、僕一人だとまずいかと思ったら、なんと御者の男性も戦っていた。
男性は主に風の魔法である【エアカッター】を使って敵を切り裂いたり、【ウィンドプレス】という空気の塊を上から叩きつける魔法で圧殺したりしていた。
戦闘終了後に聞いた話だけど、通常の馬車は護衛なんかを雇わないといけないところ、この馬車は御者の男性が戦えるので、護衛が必要ないとの事。
一応僕も戦闘には参加していたけど、正直僕は要らなかったんじゃないかと思えるほど、圧倒的な戦いだった。
「それでは、私たちは物資の補給などがあるので、一時間後にエストブルに出発します。それまでに馬車停に来てください」
マーレンにたどり着いて、休憩ということで一旦馬車を降りた。
馬車は僕を降ろしてから、どこかに走り去ってしまった。
「とりあえず、昼食でもかるくつまもうかな……」
そういえば、前に食べたハンバーガーとやらの屋台はどこだったっけ……
なんかあのハンバーガーって中毒性があるよね。
毎日はいらないけど、週に一回は食べたくなるような。
前回を思い出しながら道を歩き、色々な屋台を見て回る。
「あっ、あった! おじさん!」
「ん? おぉ! いつぞやの兄ちゃんじゃねぇか!」
すると、そう時間も掛からずにハンバーガーのおじさんを見つけることが出来た。
「お久しぶりです、また食べたくなって来ちゃいました」
「嬉しいこといってくれるじゃねぇの! そいじゃ、いくつ買ってくよ?」
「二つください」
「あいよ、そんなら四百ペリだ」
前回も二つ食べたっけ……
気がついたら食べ終わってたから、今回はゆっくり味わって食べないと。
なんて考えつつ、僕はポケットから銅貨を四枚取り出しておじさんに渡す。
「ちょうどね、もうすぐできるから少々お待ちィ!」
それから五分程でハンバーガー二つを渡された。
僕はまた、歩きつつハンバーガーを食べる。
このシャキシャキのレタスと肉、パンと相性のいいソースがたまらないんだよなぁ……
そして、気づけばまたしてもハンバーガーは二つとも無くなっていた。
あれ? 味わって食べるのでは……?
味わうどころか気づいたら無くなってるとか前回と同じなんだけど。
……いや、まぁ、あのハンバーガーがそれくらい美味しいってことで。別に僕が学習しないとかそういうことじゃないから……
その後は、色々な屋台を見て回りつつ、時間を潰して、だいたい一時間経たないくらいで僕は馬車停に戻った。
すると、もう馬車がいて、待たせてしまったかと思い急いで謝ると、まだ時間になってないから大丈夫だと言われた。
マーレンを出発してからは何事も無く、無事にエストブルにたどり着けた。
「ここまでありがとうございました。また機会があったらお願いします」
マーレンからエストブルまでは馬車だと二時間くらいだった。
まぁ、徒歩五時間を二時間で移動出来るとは、やはり文明の利器に頼った方が楽だよなぁ……
御者の男性が馬車を進ませ、女性が僕にお辞儀をして去っていった。
さて、ここまで戻ってきた訳だが、これからどうしようか……
時間はないことも無いけど、今から村に戻って色々やって戻ってくるってなると時間が足りないような気もする。
今日は一日ここで泊まって明日の朝イチで村に向かおうかな。
そうとなったら宿を探さないといけないわけだが、歩いてたら見つかるかな……?
フォーサイス家にお世話になることも考えたけど、シャルに次会うときは堂々と「僕達付き合ってます」と宣言できるような立場になってからがいいと思ってる。
だからできるだけ早く爵位を手に入れないと……
僕は、短期間で爵位を手に入れる方法を考えながら、宿を探した。
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