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1章
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執事がファイの部屋へと、ナイを運んで世話をしている間、ファイとファイの父親が話し合っていた。
「まったく、お前は本当にろくなことをしないな。面倒なのを連れてきて。」
口では悪く言うものの、表情は柔らかく笑っていた。
「俺は、楽しいよ。あの子に何があったか詳しくはわからないけど、あの子と、ナイと共に生きたいと思ったんだ。それに父さんも楽しんでるんだろ?」
ファイは父親と一緒に笑った。
「ナイというのか?あいつは。」
「・・・前の名前は捨てたんだ。俺が名付けた。」
父親は驚いた顔をして、ふっと笑った。
「まるで本当の父親みたいだな、ファイ。」
「俺からあんな可愛い子生まれるか?」
冗談まじりにファイが言う。ファイの父親はそういえば、と呟いた。
「あの子が男だっていうのには驚いたな。」
ファイの目が点になる。
「はっ⁈男⁈」
ファイは父親から呆れたような顔をされた。
「知らなかったのか?まさかお前、女だと思ったから連れてきたんじゃないだろうな?」
ファイはたじたじになり、顔が引きつった。まさか女だと思ったから、裸を見ないように着替えさせていたなんて言えない。それに後々手籠めにしようと計画していた、なんて言えるはずもない。
「あ~、いや~、その・・・」
父親から目をそらした。さすがにこんなことを考えていたなんて口が裂けても言えないし、目を合わせるのすら怖い。
「・・・あいつに出ていけと言うか?」
「言うわけない!」
すぐに反応した。どうして出ていけと言うんだ。本当に一人になったら死にに行きそうな奴だぞ。ファイは父親をにらんだ。
「なら、いいんじゃないか。別に男でも。」
「あ、あ~・・・ああ。」
それとこれとは話が違うなどとも言えるはずがない。父親がぽつりと言葉を零した。
「・・・男でも可愛い顔してるから、いけそうだしな」
「あいつを汚すな。」
ファイはもう一度父親をにらみつけた。すると父親は興味を削がれたようで、書類に目を通し始めた。
そろそろファイもナイの様子を見に行こうと、書斎から出て行った。
「まったく、お前は本当にろくなことをしないな。面倒なのを連れてきて。」
口では悪く言うものの、表情は柔らかく笑っていた。
「俺は、楽しいよ。あの子に何があったか詳しくはわからないけど、あの子と、ナイと共に生きたいと思ったんだ。それに父さんも楽しんでるんだろ?」
ファイは父親と一緒に笑った。
「ナイというのか?あいつは。」
「・・・前の名前は捨てたんだ。俺が名付けた。」
父親は驚いた顔をして、ふっと笑った。
「まるで本当の父親みたいだな、ファイ。」
「俺からあんな可愛い子生まれるか?」
冗談まじりにファイが言う。ファイの父親はそういえば、と呟いた。
「あの子が男だっていうのには驚いたな。」
ファイの目が点になる。
「はっ⁈男⁈」
ファイは父親から呆れたような顔をされた。
「知らなかったのか?まさかお前、女だと思ったから連れてきたんじゃないだろうな?」
ファイはたじたじになり、顔が引きつった。まさか女だと思ったから、裸を見ないように着替えさせていたなんて言えない。それに後々手籠めにしようと計画していた、なんて言えるはずもない。
「あ~、いや~、その・・・」
父親から目をそらした。さすがにこんなことを考えていたなんて口が裂けても言えないし、目を合わせるのすら怖い。
「・・・あいつに出ていけと言うか?」
「言うわけない!」
すぐに反応した。どうして出ていけと言うんだ。本当に一人になったら死にに行きそうな奴だぞ。ファイは父親をにらんだ。
「なら、いいんじゃないか。別に男でも。」
「あ、あ~・・・ああ。」
それとこれとは話が違うなどとも言えるはずがない。父親がぽつりと言葉を零した。
「・・・男でも可愛い顔してるから、いけそうだしな」
「あいつを汚すな。」
ファイはもう一度父親をにらみつけた。すると父親は興味を削がれたようで、書類に目を通し始めた。
そろそろファイもナイの様子を見に行こうと、書斎から出て行った。
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