異世界に来ちゃったよ!?

いがむり

文字の大きさ
上 下
48 / 74
第2章

(42)まさかのお客様!?

しおりを挟む
あの豚貴族が起こした事件から1ヶ月が過ぎて、私は未だにギルドに行けず街にも出歩けず…で、リーリエさんに来てもらったの。

「ソフィアちゃん、今日は何を勉強しましょうか?」

う~ん、この1年で魔法学のリーリエが知るほぼ全てを学んだのだった。リーリエもソフィアの吸収力の高さには驚いたが、教えがいがあると張り切ってしまったのもその原因の1つ。

「あ、そういえば先日の地理学での、国外についての続きが聞きたいです!」

「ああ、あのときの話ね?」

このベイフロー公国の周りには2つの国が隣接しており、昔から国同士の交流がある。 

「2国のうちの1つが獣人族がほとんどを占める“ザリシア国”っていうのは、前に言ったわよね」

「はい!」

後で調べたけど、ザリシア国は内陸国なのに水産物がいっぱいある不思議な国なんだって!

「残りの1つは、“ウドブァ国”よ。ほとんどが私達と同じ、人間なの。私もギルド職員になる前に何度か行ったことあるわ」

「そうなんですね!どんなところなんですか?」

「そうね……治安も良くて、人柄もいい人がたくさんにたわ。商工業も発展してて……そういえば、ウドブっていう御神木があってその枯葉や折れた枝、花や木の蜜などの使った作り物やアクセサリー、食べ物に飲み物といったものの職人が色んなところにいたわ」

「ウドブが有名な国なんですね!」

私も行ってみたいな。でもあの事件からエリックさんは外に出させてくれないし、ここにある本も全部読破しちゃったし……せめて図書館くらい行けたらいいのに。

「なんだか外に出られなくて、暇を持て余してしまいます……」

「そうよね…庭くらい出てもいいような気がするけど」

「ですが、もしものことがあれば……と思うとまだ外に出られるのは早いかもしれません」

「マイルさん……」

あれ以来、エリックやマイルはソフィアの傍にいる頻度が高くなった。始めはソフィアも嬉しかったが、最近は風呂場やお手洗いにまで付いてくることが度々あり、過保護さが増していた。

「ベラです。失礼します」

「はーい!」

ベラさんが中に入ってきた。私専属のメイドさんになってから、シェラさんに色んなことを手取り足取り教えてもらってるみたい。姿もボロボロのメイド服からきっちりとした黒のロングワンピースに白いフリルのついたエプロンのメイド服に変わってから張り切ってるみたい。

「ソフィア様にお客様がいらしてます」

え、お客様?

「それじゃ、私はこれで」

「はい、ありがとうございました!リーリエさん」

ベラさんが扉を開けてリーリエさんが部屋を出る。その去り際にお客様?の方を見て驚いてたけど、誰かな?王家の方々ではなさそうだけど……

「どうぞ、お入り下さい」























部屋に入ったのは本来ならここにいるはずのない───アーノルド・レイブン、その人だった。

「は、初めまして。ようこそいらっしゃいました」

ソフィアは一瞬驚いたがすぐ表情を戻して他人行儀な挨拶をする。


「初めまして……ではありませんよね?」

「なんの事でしょうか?」

「(やはり、誕生祭のときに感じたあの感覚は──)髪や瞳の色は違っても、ハンネと同じ顔をしている……」

き、気づいてた…?分からないと思ったのに!

「ハンネとは、あの誘拐された……?」

できるだけ、しらばっくれておこう。レイブンさんには悪いけど、バレると不味いことになっちゃうかもしれない。

「貴方のことは誰にも言うつもりはありません。俺はただ真実が知りたいだけです」

「………………」

もう……隠せないかも。

「((もう…………話す?))」

私は後ろにいるスピーレをの方を見る。スピーレはため息をついて頷く。もう言っちゃうしかないみたい。

「はい、私がハンネ・フラーデです。今まで騙しててごめんなさい」

「いえ、大丈夫です…その姿なら隠さなきゃいけないのにも、物怖じしないのにも合点がいきました」

レイブンさんはうんうんって頷く。

「あっ、レイブンさんにはまだ家族全員紹介してませんでした!」

私はレイブンさんにスピーレ、エルブ、アズルを包み隠さず紹介する。みんなはレイブンさんに軽く会釈をする。

「(上位精霊達に精霊王、グリフォンそしてフェンリル……オリハルコンランクでさえ敵わないな)」

「((レイブンさんに会ったらギルドに行きたくなってきちゃったな~))」

《((エリック達が許してくれるかのお?))》

「((……無理そう))」

〈((ソフィア、諦めが肝心だぞ))〉

「ええ~、そんなあ!」

「ぶっ!…っはははは!!」

ソフィア達の表情を見て、アーノルドが笑った。ソフィアは目をぱちくり。

「あーやっぱり、ハンネはハンネだな!」

「レイブンさんはそっちの方がいいですよ。敬語使うレイブンさんはちょっと違うかも?」

ソフィアにそう言われると、アーノルドはニヤッと笑って、

「ハンネ……いや、ソフィアにそう言われたら仕方ないな!敬語はなしだ、なーし!」

「良いのですか?ソフィア様」

ベラさんはじろっとレイブンさんを睨む。

「全然いいですよ~!ベラさんも、私に様付けしなくてもいいんですよ?」

「いえ!私はメイドですので」

「マイルさんだって敬語じゃなくても大丈夫ですよ?」

「俺も今のままで大丈夫です」

「そうなんですか……?」

「「はい!」」

2人に断言されちゃった。2人がいいなら…まあ、いっか!

「慕われてるな。あっ、そうだ。マシューからのお見舞いだって貰ってきたぞ?」

「マシューさんが…………えっ、私がソフィアってこと知ってるんですか!?」

「いやいや、俺ハンネの家に行くとしか言ってないぞ?!」

「そうですか………ってあれ?私、レイブンさんに家の場所言いましたっけ?」

「あーそれは、ギルマスから聞いたんだ」

「はい」ってレイブンさんに貰ったのは2冊の本。1冊は紐で綴っただけの本。もう1冊は題のない緑色の本。何だろう……?

「何でも、ソフィアの役にたつものらしいが……何にも書いてないな」

ソフィアは始めに緑色の本をパラパラと捲る。記されていたのは植物と魔物の説明とその挿絵。

「この本は図鑑ですね。植物と魔物の挿絵付きで分かりやすいです!」

「採取の依頼のときに役立つな。マシューめ……中々分かってやがるなぁ」

「ふふっ!それからこれは……?」

もう1冊の本を捲ってみるが、見るとこ全て白紙。この本、間違ってレイブンさんに渡したのかな?

「何にもな……あれ?この印は何だろう?」

うねうねした印が本の表紙の裏に書いてあった。

「あれ、この印どこかで……あっ、あの本の!」

ソフィアは本棚にぎっしり入った中から1つ手に取る。その本は「カリバスの手記」。ソフィアはこのシリーズに何故か惹き付けられ、図書館にあるシリーズの本を全て読破していたのだ。更には図書館に無かった部分は本屋で探して買っていた。現在39章まで読み切って以降は、その後の本が見つからずにいた。

「これカリバスの手記の印にそっくり!ほら」

ソフィアはアーノルドに2冊を見比べさせる。どちらにも表紙の裏にあった。

「これって、もしかして───わっ!」

すると突然、白紙の本が輝き出した──。












◇◆◇◆◇

やっと投稿出来た…!!

いつも見て下さっている方もちょっとだけの方も閲覧ありがとうございます(*´罒`*)

ちょっと見てない間に登録者数120を超えていて驚いちゃいましたΣ(⊙ω⊙)

投稿が遅れることが度々あると思いますが、これからもよろしくお願いします。
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

【完結】転生少女は異世界でお店を始めたい

梅丸
ファンタジー
せっかく40代目前にして夢だった喫茶店オープンに漕ぎ着けたと言うのに事故に遭い呆気なく命を落としてしまった私。女神様が管理する異世界に転生させてもらい夢を実現するために奮闘するのだが、この世界には無いものが多すぎる! 創造魔法と言う女神様から授かった恩寵と前世の料理レシピを駆使して色々作りながら頑張る私だった。

夫婦で異世界に召喚されました。夫とすぐに離婚して、私は人生をやり直します

もぐすけ
ファンタジー
 私はサトウエリカ。中学生の息子を持つアラフォーママだ。  子育てがひと段落ついて、結婚生活に嫌気がさしていたところ、夫婦揃って異世界に召喚されてしまった。  私はすぐに夫と離婚し、異世界で第二の人生を楽しむことにした。  

30代社畜の私が1ヶ月後に異世界転生するらしい。

ひさまま
ファンタジー
 前世で搾取されまくりだった私。  魂の休養のため、地球に転生したが、地球でも今世も搾取されまくりのため魂の消滅の危機らしい。  とある理由から元の世界に戻るように言われ、マジックバックを自称神様から頂いたよ。  これで地球で買ったものを持ち込めるとのこと。やっぱり夢ではないらしい。  取り敢えず、明日は退職届けを出そう。  目指せ、快適異世界生活。  ぽちぽち更新します。  作者、うっかりなのでこれも買わないと!というのがあれば教えて下さい。  脳内の空想を、つらつら書いているのでお目汚しな際はごめんなさい。

神獣に転生!?人を助けて死んだら異世界に転生する事になりました

Miki
ファンタジー
学校が終わりバイトに行く途中、子供を助けて代わりに死んでしまった。 実は、助けた子供は別の世界の神様でお詫びに自分の世界に転生させてくれると言う。 何か欲しい能力があるか聞かれたので希望をいい、いよいよ異世界に転生すると・・・・・・ 何故か神獣に転生していた! 始めて書いた小説なので、文章がおかしかったり誤字などあるかもしてませんがよろしくお願いいたします。 更新は、話が思いついたらするので早く更新できる時としばらく更新てきない時があります。ご了承ください。 人との接し方などコミュニケーションが苦手なので感想等は返信できる時とできない時があります。返信できなかった時はごめんなさいm(_ _)m なるべく返信できるように努力します。

冷宮の人形姫

りーさん
ファンタジー
冷宮に閉じ込められて育てられた姫がいた。父親である皇帝には関心を持たれず、少しの使用人と母親と共に育ってきた。 幼少の頃からの虐待により、感情を表に出せなくなった姫は、5歳になった時に母親が亡くなった。そんな時、皇帝が姫を迎えに来た。 ※すみません、完全にファンタジーになりそうなので、ファンタジーにしますね。 ※皇帝のミドルネームを、イント→レントに変えます。(第一皇妃のミドルネームと被りそうなので) そして、レンド→レクトに変えます。(皇帝のミドルネームと似てしまうため)変わってないよというところがあれば教えてください。

全能で楽しく公爵家!!

山椒
ファンタジー
平凡な人生であることを自負し、それを受け入れていた二十四歳の男性が交通事故で若くして死んでしまった。 未練はあれど死を受け入れた男性は、転生できるのであれば二度目の人生も平凡でモブキャラのような人生を送りたいと思ったところ、魔神によって全能の力を与えられてしまう! 転生した先は望んだ地位とは程遠い公爵家の長男、アーサー・ランスロットとして生まれてしまった。 スローライフをしようにも公爵家でできるかどうかも怪しいが、のんびりと全能の力を発揮していく転生者の物語。 ※少しだけ設定を変えているため、書き直し、設定を加えているリメイク版になっています。 ※リメイク前まで投稿しているところまで書き直せたので、二章はかなりの速度で投稿していきます。

転生少女は欲深い

白波ハクア
ファンタジー
 南條鏡は死んだ。母親には捨てられ、父親からは虐待を受け、誰の助けも受けられずに呆気なく死んだ。  ──欲しかった。幸せな家庭、元気な体、お金、食料、力、何もかもが欲しかった。  鏡は死ぬ直前にそれを望み、脳内に謎の声が響いた。 【異界渡りを開始します】  何の因果か二度目の人生を手に入れた鏡は、意外とすぐに順応してしまう。  次こそは己の幸せを掴むため、己のスキルを駆使して剣と魔法の異世界を放浪する。そんな少女の物語。

転生した体のスペックがチート

モカ・ナト
ファンタジー
とある高校生が不注意でトラックに轢かれ死んでしまう。 目覚めたら自称神様がいてどうやら異世界に転生させてくれるらしい このサイトでは10話まで投稿しています。 続きは小説投稿サイト「小説家になろう」で連載していますので、是非見に来てください!

処理中です...