異世界に来ちゃったよ!?

いがむり

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第2章

(32)たたたっ、誕生祭だよ!④

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プリニティーバ様の石像はとっても綺麗な女性の姿。私は石像の前に立つと、本来ならもう読み始めるんだけど、聞いてくれる人達にも挨拶しなきゃって思ったの。私は真後ろを向いて、シスターから聞いたお姫様が挨拶するときみたいに、本を持ってない方の手でドレスの裾を持って礼をした。それから無愛想じゃダメだから、ちょっと笑っとこう!

「ソフィア様……!」

「私達にも…………なんとお優しい方なの!」

このとき、ソフィアへの信仰心が参加者にも生まれた瞬間だった。

「ソフィア様、宜しいでしょうか?」

私は頷いて返す。

「みんな、読むよ……!」

『読ム!』

『読ム!!』

ソフィアは透き通った声で、本を開いて記された通りの言葉と音階で歌う。記された内容は、自他ともに愛すること。そして自国だけでなく、国境を越えた全世界の平和の祈りを捧げること。そのような言葉が拙いながらもアビラスの想いを綴った優しく温かいものだった。ソフィアが歌うことで言霊として魔力がこもり、ソフィアの言霊を聴いた全てが癒されていった。それは、ソフィアを奪おうと企んでいた者も、国王の命を狙っていた者も、このときだけは全てから解放されたような感覚だった。

そして、ソフィア自身にも影響が。光の精霊達の魔力がソフィア自身にも取り込まれ、あの御柱達からも祝福と言わんばかりの光の魔力をもらったことで、無意識のうちにファクトリーの頃の姿と同じくらい成長していた。

「(なんとか歌いきったよ……あれ、なんか視線が高い?)」

…………まあ、今はこの場を終わらせた方がいいよね!ソフィアは参加者に振り返って一礼してそそくさと控えに戻る。

「あー良かった。何とか終わったよ!」

「その姿、本当にソフィアか?」

家族とマイルさん以外のみんなは私を見て目が点になっちゃった。

「私は私ですよ?」

みんなよく分からない反応をする。

『その姿を見るのは1年ぶりくらいだな』

「私、今…何か変?」

「気づいてないの?ソフィアちゃん」

王妃様まで……なんだろう?

「1度部屋に戻ろう。ソフィア、鏡で自分の姿を見てみろ」

「は、はい…」









「えっ!?」

部屋に戻って早々、私は鏡に直行して自分を見ると私本来の姿に戻ってた!

《気づいてなかったんじゃな…!》

「私!?(懐かしい……久しぶり~私)」

鏡に写るソフィアに手を振るソフィア。

『成長したソフィアね!』

『大人になっても可愛いわ!』

エルブとアズルは変わらず私を抱きしめる。

「ふふっ、ありがとう」

それにしても、グライとスピーレがなんか神々しい気がする~?

「グライ、スピーレ何か違うね?」

『プリニティーバ様の恩恵を賜ったのだ』

「恩恵?」

《ソフィアも恩恵を賜ったようじゃな。今日は光魔法の魔力が増幅するんじゃよ》

『逆を言えば、闇魔法は減少する』

「光と闇は対になってるんだね!」

「ソフィア、エリックだ。入っても良いか?」

エリックさん、いつもならすぐ「入るぞ」って言うのに、珍しい。

「いいですよ?」

扉を開けたエリックさん。その後ろにマイルさんと……ハンネス王子?

「ソフィア、調子はどうだ?」

「はい、元気ですよ?」

「ソフィア様、着替えのドレスをお持ちしました」

「えっ!?着替えって今の私には小さいと思いますが……」

「それは大丈夫、うちの母が持っていた予備のドレスだからね」

王妃様のドレス!?

「そ、そんな、いけませんよ!私なんかに…」

ハンネス王子は私の前に出て、

「ソフィアが母のドレスを着た姿が見たいんだ……私のお願い、駄目かな?」

ハンネス王子…それは職権乱用だと思います……

「分かりました……」

ソフィアが王妃様のドレスを受け取ると、エルブとアズルがエリックらを追い出した。ついでにグライにスピーレ、オーヴィまで追い出された。

『《〈(なぜだ(じゃ)……)〉》』

「エリックにマイル?ハンネス王子まで、なんでここにいるんだ?」

そこにアルフが現れた。

「ソフィアの様子を見に来たんだ」

「なんか、追い出されてなかったか?」

「まあ、そんなんだよね」

すると、扉の向こうから声が聞こえる。

「ん、なんだ?」

アルフは扉に耳をあてる。

「おい、アルフ。何やって──」

「しっ!聞こえねーだろ?」

エリックが、アルフをとめているとグライ達も耳をあてだした。

『ソーフィア!着替えましょ!』

「え、自分で出来るよ!?」

『いいのいいの~、私達にまっかせなさーい!』

「ははっ、エルブくすぐったいよ!」

『ちょっとソフィア、動かないでよ?今後ろのボタン取ってるから~!』

「はーい」

『ソフィア~、髪も結っておく?』

「王妃様にお礼言いに行くから、結ばなくても……」

『なら、尚更やらないといけないわ!』

『ボタン取れたわ!ほら脱いで脱いで!』

「はーい」

布の擦れる音とソフィア達の声がグライ達は羨ましさと、親目線での嬉しさもあった。

『ソフィア、ちょっと待ってて?』

「え?うん」

すると、アズルが扉から頭だけすり抜けて出てきた。

『ちょっと、そーこーのぉ?』

『《〈あ…〉》』

『レディの着替えを盗み聞きなんて、どうなのかしら?』

『《〈すみませんでした〉》』

『大人しく待ってて!!』

そう言うと、アズルは中に戻っていった。エリック達はアズルのすり抜けに驚いていたが、グライ達はアズルがソフィアに似ていたと思直感した瞬間だった。
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