転生少女は溺愛に気付かない

たぬ

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授業参観 拓海side

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☆今話は登場人物が多いため、簡単に説明

  父  :立花拓海
 長男  :立花浩成
 次男  :立花界人
 執事  :近藤康次郎こうじろう
 家政婦 :青木真紀
 料理人 :佐藤るい米花べいか良夫よしお
 庭師  :芝崎向陽こうよう
鈴奈専属護衛兼運転手:高橋守
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ジメジメと日々が続く今日

父親として1年で最も重要な日が明日へと迫っている。そう明日は授業参観日。

娘から学校便りを渡されない父親ならずに済み、授業参観へ私が参加することを鈴菜から嫌がられてもいないが、今一番恐ろしいのは、娘に彼氏を紹介されることである。
それがなぜ授業参観と関係かあるかって?

大ありだ!

ほんの1ヶ月前、ゴールデンウィークを家族で過ごす我が家にて、『鈴菜好きな人がいる疑惑』がもち上がった。

鈴菜は大変可愛らしい。親の欲目ではなく、これは事実である。そんな優しく可愛い超絶美少女の好きな人が、彼氏に昇格するまでに時間はかからないだろう。少なくとも、この一ヶ月という長い時間があったのだから、悪い虫が付いていない保証は一ミリもない。

鈴奈の運転手兼護衛である高橋も、家政婦の青木さんも、執事の近藤も、料理人の佐藤と米花も、庭師の芝崎にも聞いたが、鈴奈に彼氏はいないと言っていた。

それでも彼氏の存在がちらつくのは、私が梨恵と学生時代になんとか護衛やお互いの家族にばれずに交際をしていた期間があるからだ。
こう言うのは気恥ずかしいが、当時から彼女とは本気の付き合いをしていた。真剣に付き合っているからこそ、親に交際を隠すというのは、よくあることだった。
今もそうであるが、娘が生まれると、特に父親が溺愛している。そんな父親が娘にくっ付く虫を家にあげるだろうか?答えは否!断固として否である!結果として認められたとしても、父親に妨害され、二人が会えない期間が生まれる。それが分かっているからこそ、親に隠すのだ。
しかも、生半可に隠すとより会えない期間が増え、高確率で別れることになる。
つまり、付き合いたてのカップルがぶち当たる第一の壁は、誰にもばれずに会うことである。
もちろん!男側だけでなせることではない。女性側が本気で協力しなければ成り立たない。

ここで、現在の状況を確認しよう!
一、鈴奈に好きな人疑惑が起きる
二、一か月経過
三、交際相手、交際有り無しともに不明

そこから導き出される答えは二通り
その一 好きな人はいない
その二 真剣な交際をしている相手がいる.........

あああぁあぁぁぁぁぁ~~~~~前者であれ~~

小さい頃は「パパと結婚する」って言って...言っていないけれども!囲って大切に一生でも面倒をみたい私の可愛い子が、よそのよくわかりもせん男に奪われるなど~~考えたくもない!

ガチャ

「うるさいよ?父さん」「親父!」




眼前にて数Ⅰの内容が淡々と行われている。
わが母校ながら、進みが大変早い。今ここをしているのならば、苦も無く今年中に数Ⅱ、Bまで終わるだろう。

勉学については、一切心配していない。
この学校は、国内最難関校として有名である。ここが無理なら、我が国には無理だと自信を持って言えるほどであるし、鈴奈個人の理解度は家政婦の青木さんがしっかりと報告してくれている。実際、鈴奈のペンの進みに迷いはない。
私の心配はただ一つ。娘の恋路だ。

昨夜は、悩み過ぎていたせいで、二、三階も上の浩成と界人の部屋まで私の声が響き、怒られてしまった。
反省している。反省しているが、悩んでいたことを話すと、真摯に聞いてくれた。我が息子たちは優しい子に育ってくれた。残念ながら、浩成は研究が忙しく、界人はライバル会社が仕掛けてきた価格競争に手いっぱいなため、参観日には参加していないが、結果次第では家族会議を開かなかなくてはいけない。

Jクラスの男子生徒は、成績がこの学校で最も優秀なだけあって授業に対する姿勢は素晴らしい。今は、良いのだが、授業開始前はハラハラさせられた。ちらちらとうちの鈴奈に視線をよこしやがってこの野郎!親が親名だけ会って、最悪だ。一瞬でも気を抜けば、「うちの息子なんてお嬢さんにいかがでしょうか?」と聞いてきそうな男親が今なお私を見てきている。スパっと「お断りします。お宅のお子さんがうちの子に合うとでも?うちの子は天使だぞ!」と言えればよいのだが、権力財力、挙句の果てに、事業を提携しているところもあるため、下手に断れない。あ~面倒なことこの上ない。頼むから早く時が過ぎ、卒業してくれないだろうか?でもそれだと、鈴奈も18歳になってしまう。それは....うぅ....嬉しいが...

ともかく、鈴奈にその気があるのとないのでは、天と地の差もある。
かならず、どいつか見極めてやる!




H.R.が終わってしまった。
相手は分からずじまい。どいつなんだ?!
今日は、授業参観用の日程で、午前で下校となっている。

「お父さんどうしたの?怖い顔してると思ったら、顔を青くして?体調が悪かったの?」

いや、違うんだ。私は、悪い虫がついてないか心配で...正直に言えたら楽なんだがな
心配をかけてしまったことは純粋に申し訳なく思うため、素直に謝罪した。

「問題ないならいいけれど、嘘だよね?高橋さん!お父さんがなんで調子が悪いか知ってる?」
「はい、お嬢様に好意を持つ殿方ができたとお思いなことだと思われます。」

じっと愛娘に見つめられて居心地が悪くなり、正直に打ち明けた。

「なんだそんなことか!よかった~熱があるわけではないんだね?好きな人はいないよ。あこがれている先輩はいるけど、恋愛系の好きではなくて、あくまで『尊敬』だよ。」
「ちなみに、それは誰なんだ?!恋にうっかり変わったりは?!」
「二年生の五十嵐徹先輩よ。変わりはしないわ。絶対に!....彼は神だもの......」
私の心配とは裏腹に、ありえないとでも言いたげな仕草でけろっと笑って返した。最後の辺りが聞こえなかったが、鈴奈は嘘をこんな風にはつけないことはよく知っている。

鈴奈は、昔から嘘が下手なんだ。何かを隠すこと自体はできるのだが、相手の目を見て隠していることの話をするとなると話相手の目を見れない癖がある。

よかった~。早く息子たちにも伝えてあげないとな♪


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親①:立花さん隙がなさすぎる!
親②:話しかけたら殺すとでも言いたげなオーラが出てたな...ブルッ
親③:息子に立花鈴奈さんと話をする機会を設けてほしいと頼まれたが、これは無理だ。すまぬ息子よ
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