転生少女は溺愛に気付かない

たぬ

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Let's go and see a performance.

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これも違う、これでもない。こっちは可愛いけど状況が合ってないし…

「鈴奈様、ご友人の剣持様が到着されました。」

「もうそんな時間?あと五分いや十分…」

「ご友人の方をこちらにお呼びしましょうか?」

「さすが、真紀さん!服装は紗江ちゃんに決めてもらおう。」

「了解しました。」




「紗江ちゃん、助けて!」

14階私の部屋に上がってきた紗江ちゃんに飛びついた。

「何?どうしたの
…なるほどね。服選び協力するよ。あと十五分で出ないとギリギリの時間になるから、早く取り掛かろう。」

スカートの下半分、下にいくほど桜の花びらがたくさんちりばめられた白色のワンピースに、肩にかける部分が金色のチェーンになっている紺色の小ぶりなバック。髪型は、真珠が付いたお気に入りのかんざしでハーフアップにしている。

「よし、準備完了っと。おぉジャスト15分だ。ありがとう紗江ちゃん。それじゃ、いざゆかん休日の学校!」




休みの日なのに学校はかなりの人が出入りしていた。
他校らしき生徒が、ユニフォームを着ている星陵生といるのが見えたので、運動部で練習試合でもあるのだろう。
教室は基本開いていないので、ホールのある別棟に車で直接向かう。

別棟の入り口付近は保護者と生徒でいっぱいだった。
新入生は部活見学目的なのだろう。上級生や保護者は、友人や子供の劇を見に来たのだろうか?にしても人数が多い。演劇部の人の中に人気者がいるのか、それとも所属人数が多いのだろうか。

人の波にのまれないように、紗江ちゃんと手をつないで受付待ちの列に並ぶ。
今回は新入生の勧誘が目的なので生徒手帳を見せれば、一年生は料金がただになる。入り口に貼られたポスターを見ると、観劇1500リンと書かれていた。約3リン=一円なので、金額自体は高くないが皆無料だと思っていたために高く感じる。無料でよかったとしみじみ思っていると自分たちの番が回ってきた。

「新入生の方はこちらに、生徒手帳の提示をお願いします。」

受付のお兄さんは緊張しているのか目が泳いでいる。
鞄の中に手を入れて取り出…ない。生徒手帳が鞄の中にない。鞄の中身を入れ替えたときに、取り出しやすいよう、鞄の別ポケットに入れていたのがあだになった。

「すみません。生徒手帳を忘れたので、現金で払ってもいいですか?」

「えっ!いいえ、大丈夫ですよ。クラスと名前を聞かせてもらいますが、後日演劇部へ見せに来ていただければ。」

「私の落ち度で、ご迷惑はかけられません。何よりこの日のために準備してきた方にもともと払わせて欲しいと思っていたんです。」

「そ…それでは一名様分として1500リンいただきます。」

「お手間をおかけしてしまい申し訳ありませんでした。公演楽しませていただきます。」

「はい…」

受付の人は私たちが、その場を離れた後、横で受付していた男性に頭をはたかれていた。逆に迷惑をかけたんじゃ。

「鈴奈ちゃんどうしたの?そんな青い顔して」

「壮馬くん!来ていたの?」

「もちろん。一年生で来てない人はまずいないよ。この学校の演劇部は大会でも頻繁に優勝しているし、一般公開にするとチケットが必ず売り切れるほどに有名だからね。まぁそれだけが理由じゃないだろうけど…。」

別の理由もあるのだろうか?役者が有名人とか?

「今日は、学校関係者だけが観れてかつ無料と聞いたら来ないわけにいかないよ。
それにしてもその恰好…いやなんでもない。その横にいる子は鈴奈ちゃんの友達?」

「剣持です。仲良くする気はありません。以後よろしく。」

え~~~仲良くしないんかい?!
壮馬くんも一緒に来たであろう友人も目を見開いている。
わかるよその気持ち。薄々男の子嫌いなんじゃないかと思っていたけど、予想以上だった。出会った頃の面影はもうここにない。

「…そっか残念だけど、よろしく。えっと…いたっ!分かったわかったって。鈴奈ちゃん、隣にいるこいつは、」

「壮馬の大親友、犬神健之介いぬがみけんのすけいいます。健ちゃんって呼んでね♡
こんなごっつーかわええ女の子と知り合いなやつが親友やなんて、俺は幸せもんやなぁ。スポーツ推薦さかい、クラスはBやけど、こいつん所にちょいちょい顔出させてもらいますけん、よろしゅうしてや。」

「こちらこそ、よろしくお願いします。」

「そげえ、丁寧に喋らんでええで。壮馬みたいにフランクに話して欲しいけんな。」

「「...」」

「頼むわ~…って、けんもっちぃ、そげな怖い顔せんとよろしゅうしてや。」

紗江ちゃんの顔が般若みたいになってしまった。

「とっとりあえず、席に着きましょうか?」

「鈴奈ちゃん、言い方が戻っとるで。」

「いいから行きましょう!」


ハリケーン犬神のおかげで、頭をはたかれた男性のことは綺麗に忘れ去っていた。
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