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9、いつ?

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10歳のあの日、俺は女としてこの王国
ベルディア王国のオザーム王太子殿下と
婚約が成立してしまった。
崖から落ちたのがキッカケだったのか
双子であるマリー姉上とキオナである
俺との中身だけ入れ替わったのだった。
男としてついてるはずのモノもなく
お花摘み、トイレでは立ったまま出来ず
いつも個室のトイレで用をたしている。
あの日から3年の月日が流れた。
      ***
13歳から16歳まで平民から王族までの
子どもは学園に通う事となっていた。
基本、寮生活だ。
16歳の誕生日を迎えたら成人。
成人の儀式を終えた者は騎士コースか
社交・料理マナーコースのどちらかを
選択し早ければ半年、遅くとも1年での
卒業となる。
つまり16歳と半年、もしくは17歳で
卒業と同時に婚姻なのだ。
俺とキオナ(中身はマリー姉上)は
いまだにに入れ替わったまま過ごしている。
3年も女性の身体だと、違和感がなくなってきた
とはいえ、前世の記憶もあるからか
トイレやお風呂などはやはり恥ずかしい。
貴族だけど、10歳で前世の記憶と
身体の入れ替わりで、身の回りの事は
ひと通り出来ていた。
13歳になった(マリー姉上の身体)俺の胸に
丸みを帯びた2つのふくらみがある。
良い形だが、少し小ぶり……イッ!!
今、一瞬殺気が?!
「マリー姉上、明日からですが仕方ないとはいえ
学園では、ほんっと気をつけて下さいね?!」
「あ、うん…はい。」
そう、明日からベルウッド侯爵家ではなく
学園の寮に入るのだ。本来ならば、
13歳である一年生は基本3人から4人部屋、
14歳では2人部屋、15歳は個室
16歳の成人になれば学園の個室
もしくはそれぞれの家から通う事も可能なのだ。
すでに荷物は運び入れてあるのだが
これからは身の回りの事は自分で
する事になるのだ。ひと通り出来るから大丈夫だ。
ドレスも自分で出来るように、
後ろボタンではなく、サイドボタンや
フロント部分に飾りボタンやリボンなどで
脱ぎ着出来るドレスを作ってもらった。
画期的だわ!!と王室御用達の
ドレスメーカーの"ミキハウルーム"の
ミキさん…ちゃんが褒めてくれたのだが、
侍女さんたちの手をわずらわせる事なく
自分で脱ぎ着したかっただけだ。
学園に行く事になってからは
可愛いと思っていたドレスも、日に何度も
着替える必要はなく、基本制服で
脱ぎ着しやすい膝下あたりの丈だ。
私服はシンプルなドレスを10枚程度
持って行く事になった。
乗馬服は2枚。
これは、一つ年上の双子のオスカル兄上と
ローズ姉上の時にも父上と母上が
やらかしたことなのだが、馬車いっぱい位の
着替えや家具も運び込もうとしたから
オスカル兄上たちが大変そうだった。
下見した時は、まだ4人部屋だったし
2段式ベッドが2台と小さな学習机が4つ、
服が10枚ほど吊るせるクローゼットが4つ、
それが寮の部屋だった。
父上と母上は学生寮を下見した帰り
しばらくの間、真剣な顔つきだったらしい。
入寮する前の短い春休暇を利用し、
オスカル兄上とローズ姉上が
入るはずだった寮は新しくなった。
学園敷地内の校舎に隣接する場所に
新たな学生寮の建設が始まり、脅威の
スピードで仕上げられたのだった。
その校舎以上に大きくて立派な学生寮は
10歳の1学年と11歳の2学年は、
基本2人部屋で(学園長の意向)
シンプルながらも広いセミダブル程度の
ベッドが2つ、机やクローゼットは
ほぼ同じだが圧倒的な広さだった。
貴族にとっては狭いが一人当たり
6畳程度の広さは確保出来る上、
カーテンで部屋を仕切れるので
プライバシー面も半個室という仕組みに
なっていたのだった。
3学年になると完全な個室で約8畳の広さで
好きな家具も3個まで持ち込めるのだった。
旧の学生寮も改装され、今までありそうで
なかった職員用の寮になり、部屋の広さや
調度品も一部改良されたり、研究室も
併設されたのだった。
今回の大規模な改築と新設には王家と
ベルウッドの力が加わったというのは、
誰もが知る事となったのだった。
校舎と左右にある学生寮と職員寮、
そして研究室は、大きな運動場を
囲む様に建てられていた。
ほぼ繋がっている建物だが、"渡り廊下"
というもので行き来できるのだった。
校舎近くが1学年と2学年、その隣が
3学年と旧学生寮を改装した職員寮と
研究室、16歳の成人向けの寮
騎士コースの寮と社交・料理マナーコースの
寮となっていた。
大きく分けて7つの寮になっていた。
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