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第一章 2人の約束
33、総帥とプー
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*ナオクル・チロメドゥル総帥目線
前日に大量の祝いの贈り物。
ほとんどご丁寧な呪い付き。
臨時に小ホールに国別、馬車の荷物ごと
転移し、贈り物の荷物をおろしたのだ。
荷物には結界を張り、カラ馬車にして
持ち主に返却していった。
バカにおどされたのか?
ボイニー王国、ベルロッタ王国、
カロテン王国、スウラン王国の四ヶ国からの
祝い品とバカス帝国からの趣味の悪い
呪い付き祝い品。
ほぼ同じタイミングでお城に到着していた。
国王たちが丁重にもてなしながら、
使用人を総動員して、各国の代表を
部屋に案内したのだ。
前日早々に、我が国に入ったはずなのに、
城内にほぼ同時に入城したのだ。
そして、私がカズミから離れて
しまったばかりに、事は起きたのだ。
そばにいれば……。
今のカズミはこの国の"当たり前の常識"や
生活習慣もまだ、知らないのに……。
1人にしてしまった。
早朝から順番に、行事は執り行われ
昼過ぎにはひとまず、終わった。
カズミが何者かにさらわれた。
一緒に連れ去られたはずの
アベリアとライトは、なぜか
柔らかな草がこんもりした場所の上に
そっと、置かれていた。
部屋の真下にある、庭の片隅にいたのだ。
あまり時間は経っていなかったが、
すでに、魔法の痕跡は消えていた。
なかなかの使い手がいる。
お世話係が言うには、黒っぽいものが
包み込みあっという間に消えたらしい。
闇使い、あの国が好んで使いたがる
闇魔法の持つ者中心の影集団。
私の大切なカズミをさらうなんて
万死に値する。
今からでも、あの国に飛んで滅ぼそうか?
だが、関係ない者まで死を与えたら、
カズミが悲しみそうだ。
王族だけ滅してやろうか。
町に繰り出したバカどものアトをつけさせたが、
まかれたとの報告。
闇使い……。
小物が姑息な手を使いながら、
私の大切なカズミをさらった。
許せない。
カズミの居場所を特定する間、
あの者たちが戻れないように
とある国の王族を廃した。
雷(いかづち)をもって玉座を焼き、
王族は、1人残らず捕らえた。
どうせ、たいして国民を大切には
していないと思ったからだ。
私の作り出した空間に、王族を
全て入れた。
死なない程度のものは空間に入れてある。
本当なら全て滅したい。
だが、小さな子どもや妊夫がいた。
子どもが好きなカズミ。
敗戦国の被害者ばかりの王族……。
7日間の祝祭、10年という記念する年に
贈られた数々の品……。
祝い返しとやらをキッチリ返して、ヤル。
近衛騎士団やリストンの国王に、
捕らえた者たちの事情聴取とやらを
頑張ってもらおう。
あとは、肝心なバカの始末と、
私の大切なカズミを取り戻し、
場合により……滅してやる。
カズミ、どこにいる?
私は優しい気持ちを持つ事が出来ただろうか?
カズミの悲しむ事はしたくないが、
そろそろ限界だ。
こういうことなら私の印を付けてやれば
よかった…。付けていても、万が一
眠らされていたら居場所はあまり
わからないが、ないよりは…いいかもしれん。
手元に戻れば、説明して印を付けてやる。
カズミ…無事でいてくれ。
**
ぬかるんだ場所に馬車の車輪がはまり
身動き取れなくなっている馬車を発見した
とある子どもたちがいた。
「プーせんせー、あっちに、ばしゃー
ハマってるぅ。」
「助けてあげたいけど、僕たちじゃぁ
まだムリだから、せんせーどうしよう?」
「んっ?そうか。それは大変だな。
お前たちは偉いな。困っている人を
見つけたし、自分の力量わかってるんだな。」
プーせんせー=プーエルはチラッと
遠くで立ち往生してる馬車をチラ見した。
よく分からないが、嫌な感じがした。
「俺が行ってくるから、お前たちは
先生んとこ戻ってろ。」
「ここから、見てたらダメなの?」
「ダメだ。なんとなく嫌な気がするから
危ないから…って聞かないよな…。」
プーエルは、子どもたちに結界をはり
他の先生に子どもたちを迎えに来るよう
魔法で伝えた。
少し戻った道で、孤児院の先生に
子どもたちを託し、避難させてから
馬車に近づいた。
「もし、お困りでしたら手を貸しましょうか?」
「あ、ありがとうございます。」
痩せ細った御者が一人で、馬車の車輪と
ぬかるみに格闘していた。
「おい、早くしろ。急いでるんだ。」
「…ったく…この、下手くそが。」
「…も、申し訳ございません。」
馬車の小窓から、醜い顔つきの2人が
手伝うそぶりも見せず、ただ怒鳴りつけていた。
たまーにいる、胸くそ悪い貴族階級のもの
よく肥えた勘違い貴族だろうと思った。
何度も馬車の中から、野次られながらも
痩せ細った御者と2人で馬車を
ぬかるみから出した。
御者に頭を下げられながらたくさんお礼を
言われたが、中の2人からは"早くしろ!!"
って感じの怒鳴り声が何度も聞こえた。
「どこに、行くのか知らないが、
森の中は避けた方がいい、ここより、
ぬかるんでいるからな。」
「あ、ありがとうございます。なるべく
迂回して湖に向かいます。」
「湖かぁ、それなら右側から行った方が
道が乾いているかもしれん。」
「余計な事言わず、さっさと行け!!」
「は、はい。申し訳ございません。」
馬車に頭を下げながらも、視線を
こちらに申し訳なさそうにする御者を
見送ったプーエルだった。
「なんだ、アイツらわ?」
嫌な感じがしたので、念のため
騎士団の詰所に不審な馬車が
湖に向かった事を伝えた。
痩せ細った男と、顔があれだけ肥えてるなら
体もきっとだらしないだろうと思い、
その事も伝えたのだった。
前日に大量の祝いの贈り物。
ほとんどご丁寧な呪い付き。
臨時に小ホールに国別、馬車の荷物ごと
転移し、贈り物の荷物をおろしたのだ。
荷物には結界を張り、カラ馬車にして
持ち主に返却していった。
バカにおどされたのか?
ボイニー王国、ベルロッタ王国、
カロテン王国、スウラン王国の四ヶ国からの
祝い品とバカス帝国からの趣味の悪い
呪い付き祝い品。
ほぼ同じタイミングでお城に到着していた。
国王たちが丁重にもてなしながら、
使用人を総動員して、各国の代表を
部屋に案内したのだ。
前日早々に、我が国に入ったはずなのに、
城内にほぼ同時に入城したのだ。
そして、私がカズミから離れて
しまったばかりに、事は起きたのだ。
そばにいれば……。
今のカズミはこの国の"当たり前の常識"や
生活習慣もまだ、知らないのに……。
1人にしてしまった。
早朝から順番に、行事は執り行われ
昼過ぎにはひとまず、終わった。
カズミが何者かにさらわれた。
一緒に連れ去られたはずの
アベリアとライトは、なぜか
柔らかな草がこんもりした場所の上に
そっと、置かれていた。
部屋の真下にある、庭の片隅にいたのだ。
あまり時間は経っていなかったが、
すでに、魔法の痕跡は消えていた。
なかなかの使い手がいる。
お世話係が言うには、黒っぽいものが
包み込みあっという間に消えたらしい。
闇使い、あの国が好んで使いたがる
闇魔法の持つ者中心の影集団。
私の大切なカズミをさらうなんて
万死に値する。
今からでも、あの国に飛んで滅ぼそうか?
だが、関係ない者まで死を与えたら、
カズミが悲しみそうだ。
王族だけ滅してやろうか。
町に繰り出したバカどものアトをつけさせたが、
まかれたとの報告。
闇使い……。
小物が姑息な手を使いながら、
私の大切なカズミをさらった。
許せない。
カズミの居場所を特定する間、
あの者たちが戻れないように
とある国の王族を廃した。
雷(いかづち)をもって玉座を焼き、
王族は、1人残らず捕らえた。
どうせ、たいして国民を大切には
していないと思ったからだ。
私の作り出した空間に、王族を
全て入れた。
死なない程度のものは空間に入れてある。
本当なら全て滅したい。
だが、小さな子どもや妊夫がいた。
子どもが好きなカズミ。
敗戦国の被害者ばかりの王族……。
7日間の祝祭、10年という記念する年に
贈られた数々の品……。
祝い返しとやらをキッチリ返して、ヤル。
近衛騎士団やリストンの国王に、
捕らえた者たちの事情聴取とやらを
頑張ってもらおう。
あとは、肝心なバカの始末と、
私の大切なカズミを取り戻し、
場合により……滅してやる。
カズミ、どこにいる?
私は優しい気持ちを持つ事が出来ただろうか?
カズミの悲しむ事はしたくないが、
そろそろ限界だ。
こういうことなら私の印を付けてやれば
よかった…。付けていても、万が一
眠らされていたら居場所はあまり
わからないが、ないよりは…いいかもしれん。
手元に戻れば、説明して印を付けてやる。
カズミ…無事でいてくれ。
**
ぬかるんだ場所に馬車の車輪がはまり
身動き取れなくなっている馬車を発見した
とある子どもたちがいた。
「プーせんせー、あっちに、ばしゃー
ハマってるぅ。」
「助けてあげたいけど、僕たちじゃぁ
まだムリだから、せんせーどうしよう?」
「んっ?そうか。それは大変だな。
お前たちは偉いな。困っている人を
見つけたし、自分の力量わかってるんだな。」
プーせんせー=プーエルはチラッと
遠くで立ち往生してる馬車をチラ見した。
よく分からないが、嫌な感じがした。
「俺が行ってくるから、お前たちは
先生んとこ戻ってろ。」
「ここから、見てたらダメなの?」
「ダメだ。なんとなく嫌な気がするから
危ないから…って聞かないよな…。」
プーエルは、子どもたちに結界をはり
他の先生に子どもたちを迎えに来るよう
魔法で伝えた。
少し戻った道で、孤児院の先生に
子どもたちを託し、避難させてから
馬車に近づいた。
「もし、お困りでしたら手を貸しましょうか?」
「あ、ありがとうございます。」
痩せ細った御者が一人で、馬車の車輪と
ぬかるみに格闘していた。
「おい、早くしろ。急いでるんだ。」
「…ったく…この、下手くそが。」
「…も、申し訳ございません。」
馬車の小窓から、醜い顔つきの2人が
手伝うそぶりも見せず、ただ怒鳴りつけていた。
たまーにいる、胸くそ悪い貴族階級のもの
よく肥えた勘違い貴族だろうと思った。
何度も馬車の中から、野次られながらも
痩せ細った御者と2人で馬車を
ぬかるみから出した。
御者に頭を下げられながらたくさんお礼を
言われたが、中の2人からは"早くしろ!!"
って感じの怒鳴り声が何度も聞こえた。
「どこに、行くのか知らないが、
森の中は避けた方がいい、ここより、
ぬかるんでいるからな。」
「あ、ありがとうございます。なるべく
迂回して湖に向かいます。」
「湖かぁ、それなら右側から行った方が
道が乾いているかもしれん。」
「余計な事言わず、さっさと行け!!」
「は、はい。申し訳ございません。」
馬車に頭を下げながらも、視線を
こちらに申し訳なさそうにする御者を
見送ったプーエルだった。
「なんだ、アイツらわ?」
嫌な感じがしたので、念のため
騎士団の詰所に不審な馬車が
湖に向かった事を伝えた。
痩せ細った男と、顔があれだけ肥えてるなら
体もきっとだらしないだろうと思い、
その事も伝えたのだった。
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