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11.5 タナトス
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生と死のを司る神は暇を持て余していた。
いくつもの世界をもち、一定の数に
達するとそれぞれの生き物だった
魂の采配をしていた。
記憶が薄れるほどの長い年月、
いつもと同じ作業。
いつもと変わらぬ平凡な時。
ほんの気まぐれでとある世界を覗き見た。
ここは、絶えず戦いをしている地域と
平和な地域とかがあり極端で
変わった世界だと思った。
肌の色が違う、性別が違う、何かが違う。
くだらない理由で蹴落とし
弱肉強食だったり偽善だったり……。
つまらない……暇だ。
しばらく眺めていたが、変わらない風景に
飽きてきた。
この世界とは異なる世界を見ようと
その場を離れようとしたタナトスは
また、その世界から目が離せなくなったのだった。
大規模な戦いがない地域で
多くの人間を乗せた乗り物が落ちた。
落ちた乗り物は煙と炎になり
周りを焼きながら黒くなっていった。
そこから舞い踊るように飛び立つ
蝶のような形の魂。
くすんだ魂、色を持つ魂
そして一際光り輝く魂……。
思わずその光に見惚れ、本来なら
出だししてはいけないのに
つい手を差し伸べてしまった。
"みんなを助けて"
"痛い、痛い、もう嫌"
"ゲームしたい"
"嫌われたくない"
"怖い"
"気持ち悪い"
"死にたくない"
"この子を助けて"
"あの子がまだ、取り残されてい……。"
まだ死んでいなかったぼろぼろの身体から
剥がれ出た光り輝く魂に、さまざまな
色をもつ魂がすり寄ってきた。
"私としたことが失敗してしまった。"
その神が触ってしまった魂は
輝きを増し壊れかけの身体に
戻るのを拒否した。
"ゲームがしたい"
神には何のことか分からなかった。
自分自身、死んだ事に気づいていなかった。
私が狩りとってしまった魂に
他の魂がいくつか飛び込んできた。
止める事はせずしばらく見ていた。
気づくと他の世界で保留していた
魂までもが入り込んでしまった。
異常な光景だった。
やがて魂は赤子の様に産まれたがっていた。
仮の親に宿せばややこくなりそうだ。
私の力とこの世界にいた神、
そしてこの魂がいきつくであろう
新たな世界の神に挨拶をしようと思った。
………。
多くの神々がこの魂を欲しがった。
不思議な事に、なぜか私のした失敗を
指摘する神はいなかった。
どれくらい悩んだだろうか。
果てしないくらい生きてきた私が
こんなにも悩んだのは
いつぶりだろうか?
"この魂を守る協力者が多数いる場所。"
"偏見がない場所。"
この2つの条件は絶対外せない。
ゲーム?
この言葉が気になり、この魂がいた
その地域の神が教えてくれたのだった。
架空・空想・特殊な世界感がある場所で
擬似生物を動かし活躍させるらしい。
そういう話をしていたら、突然
とある神が願い出てきた。
崩壊寸前の世界を持つ神だった。
魔法と剣、巨大な力、堕落した国
疲弊した生き物。
神の存在を忘れさるモノが多い世界。
神を祈る場所に行き場のない
小さな命を集め育てる世界。
この世界の神は、小さくなり
消えかけていた。
生まれて間もない世界。
たかが数百年の世界。
タナトスは迷っていた。
「おまえはどうする?」
答えることが出来ないと
わかっていたのに、つい、聞いてしまった。
光り輝く魂は赤子の姿に変化した。
「ゲームに似た世界だ!!面白そう!」
タナトスは驚いた。
黒髪を持つ赤子になった魂に
他の魂が自ら飛び込んでいた。
やがて小さな身体を作り上げ
その世界に降り立ったのだった。
「どうなることやら……はぁ~。」
タナトスはこっそりため息をついたのだった。
*****
ニュース速報をみた保護者たちは
学校へ押しかけた。
泣き叫ぶもの。
その姿をとらえるもの。
頭を下げ続けるもの。
その日、朝早く飛び立った乗り物は
墜落し、乗員乗客は全滅した。
過去最悪の死亡数だった。
いくつもの世界をもち、一定の数に
達するとそれぞれの生き物だった
魂の采配をしていた。
記憶が薄れるほどの長い年月、
いつもと同じ作業。
いつもと変わらぬ平凡な時。
ほんの気まぐれでとある世界を覗き見た。
ここは、絶えず戦いをしている地域と
平和な地域とかがあり極端で
変わった世界だと思った。
肌の色が違う、性別が違う、何かが違う。
くだらない理由で蹴落とし
弱肉強食だったり偽善だったり……。
つまらない……暇だ。
しばらく眺めていたが、変わらない風景に
飽きてきた。
この世界とは異なる世界を見ようと
その場を離れようとしたタナトスは
また、その世界から目が離せなくなったのだった。
大規模な戦いがない地域で
多くの人間を乗せた乗り物が落ちた。
落ちた乗り物は煙と炎になり
周りを焼きながら黒くなっていった。
そこから舞い踊るように飛び立つ
蝶のような形の魂。
くすんだ魂、色を持つ魂
そして一際光り輝く魂……。
思わずその光に見惚れ、本来なら
出だししてはいけないのに
つい手を差し伸べてしまった。
"みんなを助けて"
"痛い、痛い、もう嫌"
"ゲームしたい"
"嫌われたくない"
"怖い"
"気持ち悪い"
"死にたくない"
"この子を助けて"
"あの子がまだ、取り残されてい……。"
まだ死んでいなかったぼろぼろの身体から
剥がれ出た光り輝く魂に、さまざまな
色をもつ魂がすり寄ってきた。
"私としたことが失敗してしまった。"
その神が触ってしまった魂は
輝きを増し壊れかけの身体に
戻るのを拒否した。
"ゲームがしたい"
神には何のことか分からなかった。
自分自身、死んだ事に気づいていなかった。
私が狩りとってしまった魂に
他の魂がいくつか飛び込んできた。
止める事はせずしばらく見ていた。
気づくと他の世界で保留していた
魂までもが入り込んでしまった。
異常な光景だった。
やがて魂は赤子の様に産まれたがっていた。
仮の親に宿せばややこくなりそうだ。
私の力とこの世界にいた神、
そしてこの魂がいきつくであろう
新たな世界の神に挨拶をしようと思った。
………。
多くの神々がこの魂を欲しがった。
不思議な事に、なぜか私のした失敗を
指摘する神はいなかった。
どれくらい悩んだだろうか。
果てしないくらい生きてきた私が
こんなにも悩んだのは
いつぶりだろうか?
"この魂を守る協力者が多数いる場所。"
"偏見がない場所。"
この2つの条件は絶対外せない。
ゲーム?
この言葉が気になり、この魂がいた
その地域の神が教えてくれたのだった。
架空・空想・特殊な世界感がある場所で
擬似生物を動かし活躍させるらしい。
そういう話をしていたら、突然
とある神が願い出てきた。
崩壊寸前の世界を持つ神だった。
魔法と剣、巨大な力、堕落した国
疲弊した生き物。
神の存在を忘れさるモノが多い世界。
神を祈る場所に行き場のない
小さな命を集め育てる世界。
この世界の神は、小さくなり
消えかけていた。
生まれて間もない世界。
たかが数百年の世界。
タナトスは迷っていた。
「おまえはどうする?」
答えることが出来ないと
わかっていたのに、つい、聞いてしまった。
光り輝く魂は赤子の姿に変化した。
「ゲームに似た世界だ!!面白そう!」
タナトスは驚いた。
黒髪を持つ赤子になった魂に
他の魂が自ら飛び込んでいた。
やがて小さな身体を作り上げ
その世界に降り立ったのだった。
「どうなることやら……はぁ~。」
タナトスはこっそりため息をついたのだった。
*****
ニュース速報をみた保護者たちは
学校へ押しかけた。
泣き叫ぶもの。
その姿をとらえるもの。
頭を下げ続けるもの。
その日、朝早く飛び立った乗り物は
墜落し、乗員乗客は全滅した。
過去最悪の死亡数だった。
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