上 下
17 / 40

15、ニウェン村近くの森

しおりを挟む
***チアキ目線***

ニウェン村に行く前に森で狩りを
する事にしたクロード様たち。
ノルマは1人2匹以上らしい。
このノルマ難しいのかどうか俺にはわからない。
ちなみに俺は狩りをするメンバーの
頭かずには入っていなかった。
どこを見ても木・木・木。
この~木なんの木、気になる木……。
俺の頭の中に某CMの曲が流れていた。
あの木のように立派ではないけど
樹海とまではいかないけど、
ヘビやヤバイ生き物がウジャウジャ
居そうな森だった。
お一人様では、行きたくない森?
俺なら迷子になりそうな場所だった。

小さな荷馬車から降りメロリラさん…
じゃなくて"メリーママ"は
ピクニックシートの様な布を草の上に敷いた。
そしてその上に薄めの座布団の様な
クッションを敷いたのだった。
「はーいアキちゃんお待たせ。
ママのとこにいらっしゃい。
そしてあなたは早く獲物狩ってきて、ね!!」
クロード様に人差し指をビシッと差し
森の方を指さししたのだった。
「なっ!メ、メロ……。」
クロード様を邪魔扱いするメロリラさんは
ある意味最強なのかもしれない。
「あぁー疲れたわねぇ。"メリーママ"と
一緒に休憩しましょうね。アキちゃん!」
「「「「……。」」」」
俺、赤ちゃん役だから喋らなくていいから
楽だなぁと思った。
とりあえず笑っとこ…アハハ。

そう、俺たちは二ウェン村にほど近い
この森でわざわざ狩りと休憩に来たのだ。
クロード様、メロリラさん、キオーナさん
カルパネさん、そして俺の5人で
少し迂回して王都から見て西の位置にある
スムクル村から来た設定だ。
予定通り森に到着し、ニウェン村に入る予定だ。
目的、視察と偵察。
俺たちはスムクル村から来た大きな
教会がある町に行く予定の冒険者。
赤ちゃん(俺)が産まれたから、
教会に祈りに行くと言う設定。
名前も偽名にした。俺は"アキ"。
クロード様"アッベパパ"。
メロリラさんは"メリーママ"。
キオーナさんは男装し"キオ"
カルパネさんは"カール"。

森に近づくにつれ気配を感じた。
3人…いや?木の上に1人、全部で4人
こちらを見ている感じがした。
「4人、ひちょり(1人)は木の上。」
クロード様に抱っこされていたので
かたい胸板をよじ登り、耳元でささやいた。
「おおアキ、腕の力強くなったな。
パパはうれしいぞ!!」
って大声でいい口にブチュ~っとされた。
苦しい。毎度毎度キツイ。
男とキスはいやだ。
可愛い女性、俺より小さくてか弱い
女性としたい。
……いないよな?はぁー。
こっそりため息を吐きながら
顔面を擦り付ける感じで
クロード様のシャツで口を拭いたのだった。
「俺のアキは可愛いなぁ。」
頭をガシガシされた。
赤ちゃん扱いの俺で良かった事。
クロード様の力で本当の赤ちゃんの
頭をガシガシしたら間違いなく
怖いことになってるだろう。
地味に痛い。

久々の地面ダァー。
やっと降ろしてもらえた。
俺は今感動しています。
町を出てから今の今まで硬い腕と
硬い膝の上にいました。
木の荷馬車に敷いてある薄い
クッションの方が柔らかそうだ。
床に敷いてある布に薄いクッションが
さらに敷かれている場所に
俺は座っている。
メロリラさん、メリーママは
大きなカバンからお鍋を取り出し
その辺にあった石で簡易コンロっぽいのを
作り上げたのだった。
お水を沸かし、干し肉を削っている。
「アキちゃん、薬草よ。それ
細切れにしてもいいわよ。"ママ"頑張って
お料理するからちょっと待っててね。」
「あーい、ママ。」
にこって笑って手を挙げた。
「……。」
あっ、メロリラさん固まった。
一歳児になりかけの赤ちゃん設定だが
わざとらしかったか?
それとも、気持ち悪かったかもしれない。
うん、自分でもコレはないわって
ドン引きするレベルだわ。やりすぎた。
「きゃー!!」
「……!!」
ドドドドドドドッ。
トンっ、タタタタッ。
「「……!!」」
「「「「「「……!」」」」」」

                ***

その頃、先に森に入り偵察しながら
とある気配に気づかないふりをしながら
キオーナとカルパネの2人は順調に
小型の獲物を仕留めていた。
2人ともチアキの好きそうな木の実や
キノコを取るのも忘れなかった。
採取したものは獲物とは別のカバンに
肩から下げる感じのカバンに入れていた。
そして、メロリラに追い払われるように
渋々森に入ったクロードも
遅れを取り戻すかの様にサクサクと
木の実や野草、色々採取していた。
そして珍しいものを見つけたところだった。
「きゃー!!」
「……!!」
ドドドドドドドッ。
トンっ、タタタタッ。
「「……!!」」
「「「「「「……!」」」」」」
メロリラの叫び声にクロード、
キオーナ、カルパネが反応した。
チアキに何かがおきたのか?と
それぞれが全力疾走で駆けつけたのだった。
それを見ていた木の上から
こっそり見ていた者と森の中に
潜んでいた者のうちの1人は
釣られるように駆け出してしまったのだ。

「あっ!」
「うっ…。」
「……。」
「あのぉ、どちら様でしょうか?」
にこやかな顔のメロリラと
チアキを隠すように抱きしめるクロード。
2人の目の前に壁を作るように立つ
キオーナとカルパネ。
気まづそうな2人はクロードたちの
目の前に姿を表してしまったのだった。
「あっ、あっあの……悲鳴が。」
「そ、そうだ。たくましい悲鳴が聞こえて
そいつらが走っていったから、つい、なぁ。」
「あっ、あぁ、そうだ。」
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

異世界転移「スキル無!」~授かったユニークスキルは「なし」ではなく触れたモノを「無」に帰す最強スキルだったようです~

夢・風魔
ファンタジー
林間学校の最中に召喚(誘拐?)された鈴村翔は「スキルが無い役立たずはいらない」と金髪縦ロール女に言われ、その場に取り残された。 しかしそのスキル鑑定は間違っていた。スキルが無いのではなく、転移特典で授かったのは『無』というスキルだったのだ。 とにかく生き残るために行動を起こした翔は、モンスターに襲われていた双子のエルフ姉妹を助ける。 エルフの里へと案内された翔は、林間学校で用意したキャンプ用品一式を使って彼らの食生活を改革することに。 スキル『無』で時々無双。双子の美少女エルフや木に宿る幼女精霊に囲まれ、翔の異世界生活冒険譚は始まった。 *小説家になろう・カクヨムでも投稿しております(完結済み

クラスメイトのなかで僕だけ異世界転移に耐えられずアンデッドになってしまったようです。

大前野 誠也
ファンタジー
ー  子供頃から体の弱かった主人公は、ある日突然クラスメイトたちと異世界に召喚されてしまう。  しかし主人公はその召喚の衝撃に耐えきれず絶命してしまった。  異世界人は世界を渡る時にスキルという力を授かるのだが、主人公のクラスメイトである灰田亜紀のスキルは死者をアンデッドに変えてしまうスキルだった。  そのスキルの力で主人公はアンデッドとして蘇ったのだが、灰田亜紀ともども追放されてしまう。  追放された森で2人がであったのは――

転生貴族のスローライフ

マツユキ
ファンタジー
現代の日本で、病気により若くして死んでしまった主人公。気づいたら異世界で貴族の三男として転生していた しかし、生まれた家は力主義を掲げる辺境伯家。自分の力を上手く使えない主人公は、追放されてしまう事に。しかも、追放先は誰も足を踏み入れようとはしない場所だった これは、転生者である主人公が最凶の地で、国よりも最強の街を起こす物語である *基本は1日空けて更新したいと思っています。連日更新をする場合もありますので、よろしくお願いします

異世界転生したら【スキル】が【グミ】でした 【魔王】の友達もできたので世界を平和にしたいと思います

カムイイムカ(神威異夢華)
ファンタジー
僕はエガワ シュンヤ。グミが好きだった僕は異世界に転生した とても珍しいスキルを手に入れたけれど、人攫いにあってしまって両親と離れ離れ やっと成人して冒険者になれたけど、珍しいスキルが発動することはなかった だけど、レベルが上がったことで世界が変わった

【幸せスキル】は蜜の味 ハイハイしてたらレベルアップ

カムイイムカ(神威異夢華)
ファンタジー
僕の名前はアーリー 不慮な事故で死んでしまった僕は転生することになりました 今度は幸せになってほしいという事でチートな能力を神様から授った まさかの転生という事でチートを駆使して暮らしていきたいと思います ーーーー 間違い召喚3巻発売記念として投稿いたします アーリーは間違い召喚と同じ時期に生まれた作品です 読んでいただけると嬉しいです 23話で一時終了となります

転生したら死んだことにされました〜女神の使徒なんて聞いてないよ!〜

家具屋ふふみに
ファンタジー
大学生として普通の生活を送っていた望水 静香はある日、信号無視したトラックに轢かれてそうになっていた女性を助けたことで死んでしまった。が、なんか助けた人は神だったらしく、異世界転生することに。 そして、転生したら...「女には荷が重い」という父親の一言で死んだことにされました。なので、自由に生きさせてください...なのに職業が女神の使徒?!そんなの聞いてないよ?! しっかりしているように見えてたまにミスをする女神から面倒なことを度々押し付けられ、それを与えられた力でなんとか解決していくけど、次から次に問題が起きたり、なにか不穏な動きがあったり...? ローブ男たちの目的とは?そして、その黒幕とは一体...? 不定期なので、楽しみにお待ち頂ければ嬉しいです。 拙い文章なので、誤字脱字がありましたらすいません。報告して頂ければその都度訂正させていただきます。 小説家になろう様でも公開しております。

急に異世界に飛ばされても困ります……あれ? 困りませんね - 持っててよかった収縮拡張魔法 -

うっちー(羽智 遊紀)
ファンタジー
会社から強制的に長期休暇を与えられた健亮(けんすけ)。 せっかくの長期休暇だと、久しぶりにMMORPG【マグナアルカナ】を楽しんでいたが、その途中で突然意識を失ってしまう。そして目を開けると見知らぬ土地に居る事に気づく。最初は夢だと思っていた健亮だが情報が集まると驚愕の表情を浮かべた。 「マグナアルカナの世界だって? なぜここに?」 アイテムボックスに収納していた素材と、キャラクターメイキング時に取得した特殊スキル『拡張収縮魔法』はあるが、どうすればいいのか分からないまま、健亮はマグナアルカナで冒険者活動を始めるのだった。 「ところで女の子から元の男性に戻るにはどうすればいいんだろうか?」

~クラス召喚~ 経験豊富な俺は1人で歩みます

無味無臭
ファンタジー
久しぶりに異世界転生を体験した。だけど周りはビギナーばかり。これでは俺が巻き込まれて死んでしまう。自称プロフェッショナルな俺はそれがイヤで他の奴と離れて生活を送る事にした。天使には魔王を討伐しろ言われたけど、それは面倒なので止めておきます。私はゆっくりのんびり異世界生活を送りたいのです。たまには自分の好きな人生をお願いします。

処理中です...