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2 初めての……。

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金髪に瞳の色が青みがかった緑?
瞳の中に天使の輪じゃない、
え~っと、フラワー?
写真撮る時とかに特殊なライト当てたら
ハートとか星とかなるような、そんな感じ?
目の中に光の輪みたいなのがあった。
キラキラ輝いてるし綺麗だと思った。
人の目をこんな間近で見るのは
初めてかもしれない。
何か話しかけられた気がするけど、
ごめんなさい、俺英語どころか
勉強苦手で、成績はギリギリ平均です。
どう見ても日本人には見えない。
日本人が特殊メイクしたら…
カラコンに特殊メイク?誰得?
あっ、成績の話に戻すと、残念ながら
国語と英語が足引っ張ってます。
クラブは何かしら入っておくと
先生受けが良いらしいので
週一程度行くだけでいい
美術部に入っている。
主に絵を描くんだけど、本格的な人なら
コンプレッサーとか使いこなし
プロ?!って思えるような圧倒的な
画力で創作物や人物画を書いている。
絵の具とか準備もめんどくさい俺は、
鉛筆一本。しかもクロッキー。
石膏やリンゴ、花瓶、あとは
自分の手を書いたり、お気に入りの
ゲームのキャラクターとか書いている。
先生は定年間近で、俺が下手だからか
想像上の動物キャラを描いてると思われ
「可愛いのが好きなんだな。」
といわれ、褒めてくれている。
小さなスケッチブックを持ち歩き
メモ用紙にもなるし、美術部の
二、三ヶ月に一度の作品展も、
色々書いたスケッチの総まとめ
キャラや景色のスケッチを
大きなキャンパスにペタペタ貼り付け
完成させた作品ばかり。
あっ、この人もスケッチしたい。
顔が石膏の様に彫りが深く
整ってるし、目がすごく綺麗だ。
描ききれるかな?
お髭もワイルドな生えかた。
長めの髪の毛は雑に一つにまとめられていた。

脱線しまくりだけど、高校の話……。
えーっと、あれ?
俺、自分の……?
頭が痛い……。
何かを思い出そうとしたのか
それとも、何もしなかったのか
よくわからない……?

高校……。高校生の僕?俺?
あっ、テキトーに入部した割には
美術好きかもしれない。
こんな時なのになぜか、この人なら
顔だけじゃなく全身描きたいと思えた。
日に焼けた美味しそうな小麦色の肌。
お腹すいたなぁ……。
あれ?なんでお腹すいてるんだっけ?

この人、同じ男性とは思えないくらい
胸板も腕も身体のあちこちが
すごいとしか言えない筋肉美だった。
馬に乗ったボディービルダー?
まさしくそんな感じ。
うーん、中世ヨーロッパとかに
出てきそうな胸当てや剣。
本物は見た事ないけど、映画とかで
見るかっこいい感じの衣装だ。
ゲームや週末に見たファンタジー映画が
頭の中でごっちゃごちゃになって
リアルな夢になっているのか?
「………。」
これ本物?いや夢って思いたいけど
ぎゅーぎゅーとじわじわ抱きしめられていく
リアルな感触は本物っぽい。
なんだろう?
どう見ても日本人じゃない
筋肉ムチムチ?ムキムキ集団がいた。
その集団の中の1番大きい人に
ハグされてるけど、ハグって
落ち着くんだぁと思った。
それにしても大きさ違いすぎないか?
しばらくはおとなしくぎゅーぎゅー
抱きしめられていたけど
さすがに長すぎる。
しかもこの状況なんだか変じゃね?
息も苦しくなり、動く両手で背中を
軽く叩こうとした。
正確には相手がデカすぎて
背中には手が届かなかった。
相手の脇あたりをパンパン叩いた。
よし。ちょっと力が緩んだぞ。
たぶん、脇の下あたりは
くすぐったいのかもしれない。

「やめて、苦しい。」
「☆€%#*○。」
「……?」
やはり言葉は通じない。
あたりを見回したら、さっきの
デカすぎるイノシシ。
ジャイアントボアの撤去作業?を
している人たちが、チラチラと
こちらを見ながらの作業をしていた。
は、恥ずかしい。
いくら逞しい男性だからって、
男子高校生を抱きしめられたままは
かなり恥ずかしい。
「はなちて。」
そう言いながら、相手の胸を押し返し
顔を見上げた。
あれ?離して…はなちて?!
舌かんだのか?
なぜか照れた。
いや、なぜか抱きしめてる本人も
照れてるんだ?
照れてる、よね?
あまり表情筋ないの?
顔の筋肉、全部身体にいったのか?
そんなバカな事を考えていたら
いきなり頭が真っ白になった。
「……んんっ。」
アゴを掴まれ口を割り分厚くて
生暖かいものがおし入ってきた。
な、に?!
俺の口腔内を何度も駆け巡り
時々すごい吸引力で吸い上げられたと
思ったら、花の蜜のような甘ったるい
何かが口の中に広がった。
不覚にも美味しいと感じてしまった。
何度も飲んでいるうちに、
身体に力が入らずいつのまにか
完全に抱っこ?あれ?
いつのまにか体制は変わり
目線も高く、こ、これって
人生初のお姫様抱っこ。
しかも男に顎クイ、さらにディープキス、
しかも初めてのチューだった。
うわぁぁぁ~。
穴に埋まりたい。
だれか穴ほってくれぇ!!
俺の何かが、ガリガリ削られていくぅ~!
ファーストキスは好きな可愛い女の子と
したかった……凹む。
無念なファーストキスは濃厚で、
力が入らない手で押し返そうとしたが
手も握りしめられてしまった。
あれ?お姫様抱っこ片手なの?
俺、男だしまあまあ体重あるよ?
さっきから思ってたけど、皆
なぜか大きいよね?
俺はどちらかと言うと男子高校生にしては
小さい方だけど……。
クラスで…くそっ!!
学年で1番小さいよ!!
まだまだ俺は成長期だ!!
俺の身長はこれから伸びるんだ!!
見てろよ、この人よりデッカくなってやる!
夢にしてはリアルだし、
この身長差はなんだかおかしい?!
「……んっ。」
鼻で息するのも苦しくなり
生理的な涙が出た。
な、なにが起きてるんっ……だ?!
わかってるが、わかってるんだけど
俺は認めたくない。
「…もう、やっ!!おねない(お願い)
ゆるちて(許して)。」
「……っ!!」
うわぁぁぁぁぁぁ!!
自分の言葉がぁ気持ち悪いぃ!!
ナニが起きた?!
お願い許してって、どこぞの乙女ダァ!!
しかもなぜ、舌足らずなんだぁぁぁ!!
お願いだから勘弁してくれ、って
言いたかったのに、ヤバいよ俺。
やばすぎる。
ほら、見知らぬ男性も息のんで
ドン引きしてるよ。
その見知らぬ男性に、抱っこやチュー
された俺も俺だけど、これは夢の中だし
欲求不満なのか?
ゲーム四日間出来ないからって
ゲーム欲とあの欲が混ざり
とんでもない夢を見てしまったのか?
はあぁー。
寝よ寝よ。
そして今日は、新千歳空港に着いたら
お土産物屋さん漁ろ。
到着早々だけど、自分で食べるおやつや
じゃがバター、バター飴、キャラメル、
牛乳、そうだ牛乳はいつも以上に飲むぞ。
カルシウム、鉄分、あと色々。
海産物、やっぱソフトクリーム食べよう。
北海道~でっかいぞー、ついでに
俺もでっかくなるぞー!!
むなしい……とりあえず寝よう。
こうして俺は寝た。
『……合成中。ピーッ。』
寝たのに、雑音がする。
なんか焦った様な声と、テントを
張れって言う声がする。
……もぉーうるさいなあ。
もう着陸するのかな?
振動がする。でも、心地いい振動だ。
ゆらゆらゆら、気持ちいい。
これなら眠れる。
早朝に学校集合した俺は、快適な
睡眠欲を発揮したのだった。
でも、足元がスースーする……。
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