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俺は、騎士団団長のジーン・サントス・ニール。
この国の第3王子だった。
元国王と元王妃が馬車の事故がもとで
数年前に、亡くなってしまった。
馬車の事故当時、歳の離れた兄は
15歳の成人を迎えたばかりで
婚約者と結婚した直後の出来事だった。
第一王子がこの国を支えながら
元国王と王妃の回復を願っていたが
心労が重なりもともと身体の弱かった兄は
8歳だった第3王子の私に、国政を
あれこれ教え始めたのだった。

その当時、14歳だった素行の悪い第2王子、
閨教育と称して、使用人たちを次々に
襲ったり、食事にケチをつけたりしていた。
街にも時々降りては、トラブルをお貸して
いたが、昔から悪知恵がはたらくのか
のらりくらりとかわしていた。
自分こそは次の国王だと息巻き、
変わるがわる男女構わず乱交したり、
権力を振り回していた。
どういう手を使ったのかわからないが、
第2王子だった兄が成人すると、
第1王子を病気療養、元国王と王妃は
重い後遺症の為、"国政を退く"と
いった内容を国中に告知した。
実質、退位した元国王と王妃は、
間も無く死亡した。
9歳になった私は、10歳以上で
入れる騎士団に、法を改正された
第一号だと称され放り込まれてしまった。
それから月日は流れ、俺は第一線で
戦うようになり、国同士の小競り合い、
年々あがる税のため、国内の反乱を
収める為制圧を繰り返していた。
嫌気が差していたが、仕方がない
運命だと受け入れていた。
おれは、いつのまにか笑いことも
感情を表す表情筋さえも失いながら、
言われるがまま、元第二王子、
今では、国王に仕えるようになったのだ。

そんな時、税もとりにくいほどの
飢饉が起こり、国民は飢えていった。
何度も、兄…陛下に伝えたが、
聞き入れなかった。

税が取れないなら、他国から奪うか
勇者や聖女でも召喚しろ!!と
信じられない言葉を吐いた国王がいた。
もうこの国には希望も何もないと思った。
この国、最高の魔術師が呼ばれ、儀式を
する事なった。

結果は成功。
ただし美人だとか美女だとか言う
聖女と呼ぶ兄王は、本当に頭が
おかしくなったのか、目が悪いのかと
疑ってしまった。
昔から男性にも性的な目を向けることが
出来る兄だから、これはこれで
いいのだろうと無理矢理自分を納得させた。

『初めまして。私は神様だよ。君には
心眼の素質を持っているんだね。』
「……なっ。」
頭に直接響いた声に、思わず驚いて
しまった。
『心の中で、返事してくれたら聞こえるから
この醜い玉座に座っているのを、
退ける為協力よろしくね。』
「……。」
『あらっ?お返事なしかしら?』
「……。」
『まあ、拒否してもしばらく無理矢理
協力してもらうけどね。えーと、簡単に
説明するわね。むかーしむかし。』
『……おい、早く簡潔に話してくれ。』
『いやーん、私神様よ。乱暴な言葉使いわ
や、め、て。うふふ。』
俺は、どうみても男にしか見えない、
ボサボサ頭の自称神様とやらに
慎重に話を促した。

要約すると、兄王に神様の横にいる
可憐で可愛い小さな彼女の"運"が
何らかの原因で、すべて兄王に
行ってしまったらしい。
そのため、彼女の魂は不運と短命に
なってしまったそうだ。
彼女の運命をとり戻すために協力して
欲しいと、神様に話を持ちかけられたのだった。
もちろん、俺の答えは、
『ぜひ、協力する。』
『ありがとう。よろしくね、ジーンちゃん。』
こうして俺は、聖女と呼ばれている
神様と取引をしたのであった。
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