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闇の中で 一

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ミーナは、暗闇の中目が覚めた気がした。
目を開けているんだろうが、真っ暗な闇の中
上も下も分からず、起き上がったのか
よくわからない状態だった。

気持ちが悪い空気に包まれている気がした。
これは、なんなんだ?
声にならない声が吸い込まれ、不安や焦りは
気持ちが悪くなるほど、この暗闇とお似合いだ
と感じてしまった。
頭の片隅で、これはヤバイ。と警鐘が鳴った。

持ち前の明るさで…あの、毒舌、嫌味キャラに
なった、昔は可愛げがあった女顔(本人はかなり
気にしている女顔。からかい厳禁。)の執事
ゼルンまで、あやつれるモノ。
厄介でヤバイモノだ。

俺たちが新婚ホヤホヤで初夜が長引こうが
部屋に突入する執事。
一応死角になる位置に、時間が経っても
美味しく食べれる食事を置いていく執事。

"ちゃんと食べさせてあげないと
また、倒れますよ。もちろん、倒れるのは
ミーナちゃんでは、ありませんからね。"
と几帳面な文字をミニカードに
ビッシリ書いた執事のゼルン。
そんなゼルンが、ドアをノックし
その上ドア越しに話しかけてきた。
最初の違和感だった。

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

コンコン。
「何だ?」
ドア越しに話しかけるモノがいた。
ゼルンの気配もするがなんだか
違う気がした。

「早朝に大変申し訳ございませんが、
火急の用事でご相談があります。」

「なんだ?」
本当の執事の話し方をする
違和感ありありのゼルン。

執事の真似事をしているが、俺はゼルンが
友達だし居候のままでいいと思っていたが、
本人は、"仕事が欲しい"って言ったから、
冗談で俺の相談係か新たな執事が
欲しいかも、って言うと
"相談係も執事も、両方なっていいよ。"
'"ただ飯食いの居候より、働いた方が
気持ちが楽だ。"
と言ったから、友だち兼執事の真似事を
してくれていた。

御給金も平均的な執事の給与しか
受け取らなかった。
最初は、受け取ろうともしなかったから、
仕事する事を禁止すると、受け取って
くれた。執事長も面白がり、実質
俺の専属執事になっていた。


「緊急事態が町のあちこちで起きてます。」
「少し待て。"皆は"集まって居るのか?」
「はい、"皆"既に集まっています。」
「そうか…集まっているのか。」
皆は、こんな、早朝に手際よく集まり
俺が一番最後なのか。
しかも、"皆"は誰を指してるのか、
聞かないから、これは何かに
操られているって思ったんだ。

ゆりにお守りを渡して、結界も張ったが
俺たちは、気を失ってしまったようだ。
ユリを探さないといけない。

確かに掴んでいた手の感じが、今はなく
ただ寒々とした暗闇に一人ポツンと
漂っている気がした。
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