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45、おっチャンと甘いかおり

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以前にも出てきた角質……ゴホッ。
確執ある3つの侯爵家の息子たち。
黄の副団長のミーカ・コウ・セラミド
青の副団長のケラー・チナミン・プラセラ
赤の竜騎士団、新入りの
カーク、・ヒアー・ルロン。

セラミド侯爵とプラセラ侯爵は
我が子全員に貴族階級に付けたいと思い
半ば無理矢理に実力がともわないままの
息子を強制的に押し込んできたのだった。
騎士団で戦功をあげれば新たな貴族階級を
国王に賜えれると浅はかな考えを
絞り出した結果、入団した息子を
お金の力で副団長にしたのだった。
親の意思は空振りで終わり、息子たちは
今、なんの成果もなく、問題ばかり起こしていた。
訓練サボりは常習犯で、可愛い子を
(男)見つけては言葉巧みに食べていた。
団長としても追放したかったが、貴族、
権力、お金で副団長の座に居座り
監視も込めてこのままの位置付けに
した方がいいと言う事になりそのままに
なっていた。
ヤキモキしたバカな親たちはさらに
あれこれ画策していた。
侯爵家の決定的な証拠はないものの、
魔物の活発化、挑発、他国とのいざこざも
侯爵家が起こしているという噂が
ある中での、赤の団長の行方不明さわぎ。
偶然が重なりタイミングが悪すぎたのだ。

レッドサン中腹、目的地にたどり着いたとき
あま~い香りが漂っていた。
花の香り?
「おい、そこのケラー、異変はないか
ちょっと見てこいよ。」
「はぁ?なんで違う騎士団のお前なんかに
指図されなきゃいけないんだよ。」
「おい、ミーカやめろ。」
「でもナバナ団長、あいつケラーが生意気で。」
「おいおい、2人ともやめろよ。」
「ピロロ団長、あいつが悪いんです。」
一触即発状態。
普段は別の騎士団とあって仲は悪いらしいが
ここまで態度に表したことはなかった。
俺とカーク、そしてジャーさんは
そっと目を合わせた。
その瞬間、頭がクラクラした。
筋肉質のカーク、魚人族独特のキラキラした
ウロコを持つ手がとても魅力的に見えたのだ。
「2人ともすっごくキレイだ。」
「ナオキ、君の方がキレイだよ。」
「そうだな、キレイで可愛いし、
触れてもいいかな?」
「えっ?でも、恥ずかしい。」
頭の中では何を言ってるんだ、と
思いながらも、早く触って欲しいという
気持ちが入り乱れていた。
「可愛い。抱きしめたい。」
そう言いながらカークは、ナオキを抱きしめ、
抱き合っている2人をまとめて抱きしめた
ジャーさん。
俺は2人の間でサンドイッチの具に
なっている感じだ。
あぁ、なんて暖かいんだろう。
このままでもいいかな?って思い始めた時、
ぺろん。
さわさわ。
「んんッ。」
さわさわ。
チュッ。
「ふぁっ。」
間違いない、俺のおしりやぺったんこ胸。
男だから当たり前の膨らみのない胸を
触られ、ほっぺや耳を舐めたり、
チュッをされてしまった。
おかしい。
これは、明らかにおかしい。

がぶがぶ。
「いだっ。」
いつの間にか起きたギンクロが俺の指を
ガジガジ噛んでいた。
魔力玉、食事の時間にはまだ早いぞ。
それよりも、この2人をとめなきゃ。
「カーク、ジャーさんやめてください。」
「ナオキ、もっとぉー。」
「ダメです。」
「ナオキィ。」
「変ですよ、皆どしたんですか?」
ガプッ。
「ギンクロも痛っ、痛いつぅーに。もう、
仕方ないなあ。」
俺は魔力玉を作りギンクロに上げようとした。
玉を指で弾くように与えていると、
5つのうちの2つがカークとジャーさんに
吸い込まれてしまった。
あっ、と思った時には遅かった。
「んんっ。」
「あぁ~。」
2人のなぜか、あやしい喘ぎ……ゴホッ。
あやしい野太い声とともに、正気に
戻ったようだった。
五つとも、貰えると思っていたギンクロは
正気に戻った2人ではなく、騒いでる
元凶の侯爵の息子、つまり副団長の
ミーカとケラーをそれぞれカプカプしていた。

「ギンクロ、ダメ。かんじゃダメ。
ペッしなさい。ぺっ。お腹こわすよ。」
「「「「……。」」」」
噛まれた2人は何か言いたげに俺を
見ていた事に気づかなかった。
やっとの事でギンクロを2人から離し
一旦は落ち着きを取り戻した。
正気に戻った?
試しに魔力玉を作りナバナ団長とミーカさん、
ピロロ団長とケラーさんに、魔力玉を
ぶつけてみた。
ギンクロは不服そうにしていたので、
一番大きな魔力玉をあげたら、尻尾を
パタパタしていた。
「ギンクロ、もうくすぐったいよ、もう
食べ過ぎやしもう、だーめ。また後でな。
可愛いっからって、甘やかさないからな。」
ナオキ以外の皆は思った。
"ナオキ、君をベタベタに甘やかしたいよ"と。
正気を取り戻した"ハロルド捜索隊"は
甘い香りを出す魔物、Dランクの魔物だが
Cランクにもなる、ロモンフェという
魔物の大量発生に驚いていた。
普段なら数匹のスライムに似たオスが
1匹の茶色の石のようなメスに求愛行動を
とるんだが、それが一斉に何十匹も集まり
甘いフェロモンの香りをただよわせて
いたのだった。
他の生態系もそわそわしている、
みんなの飛竜もお相手探しがしたいのか
そわそわしていた時だった。

グワァー。
ガァぁぁー。

空が急に暗くなったのだった。
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