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44、おっチャン、ギンクロのご飯やり

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オスカルさんの飛竜に乗せてもらうのは
何度目だろうか?
空を飛んでいる事に感動していたが
数時間乗っていると、乗馬の後のような
疲労感がある。足腰、お尻が筋肉痛だ。
他の団長格にバレないようにしたが、
何度か目の休憩時に、カクカクした
歩きをみられてしまったのだ。
「慣れないうちは、みんなそんなもんだ。」
「…そ、そうなんですね…。」
「ナオキ、そんなに痛いなら、後で薬を
塗ってやりよ。」
「薬あるんですか?ありがとうございます。」
「ああ、いつでもいいぞ。マッサージしながら
塗ってやるよ。」
「ありがとうございます。」
シンさんと、オスカルさんは
この会話の時居なかった。
というか、それぞれの飛竜にご飯やお水を
与えていたのだ。
確執ある、3侯爵の息子たちは
ニヤリと笑っていた。
ナオキの痛がっていた場所、マッサージ場所が
腰、足、おしりだということに……。

お昼ご飯をジャー・コー・テーンさんが
作ってくれている間に、ナオキはまだ
眠っているギンクロにミルクを与えようとした。
ツンツンしても起きない。
多少乱暴にゴローンとお腹を見せるように
転がしたが、やはり起きない。
手の平サイズの子狼なのに、狼らしい太い足、
にくきゅう。プニプニして気持ちいい。
「ぷきゅー。」
「まだ、眠いのか?」
生まれたてなら、そろそろミルク飲まなければ
ならないんじゃないか?
初乳は飲んだかわからないが、
数時間は経ってるし、そろそろ。
ミルクを片手に困惑していると
「ナオキ、どしたんだ?」
俺に声をかけできたのは青の竜騎士団団長の
ピロロさんだった。
癒し系のピロロさん。
契約したウルフがミルクを飲まない事を伝えると
スパーン。
「……。」
えっ?
「あんた、そんなんもわからんと契約したんか?」
「えっ?ええっ?」
「これ、あんたんとこの言葉とちゃうんか?
契約獣は、名付けだけとちゃうで。そのあと
魔力玉ちゃうもんを与えらなあかんねん。」
「魔力玉?」
「あんた、そんなんも知らんの?他の、
赤の騎士団はそんな基本も教えちゃれへんのか?
ってごめんやけど、この言語モード
喋りにくいし、なんや、嫌味ったらしくなるから、
ちょー戻すでぇー。」
ガチッ。
「……。」
「ふぅ~。いつもと違う話し方は疲れるわ。」
「ピ、ピロロさんが……。」
「あーん、何?どうしたん?」
若干戻りきらない関西弁のピロロ団長に
オスカル軍師直伝のスリッパ叩きを
伝授されていた。
しかも、それは恐ろしいことに効果音だけと
2倍から10倍の威力調整機能がついた、
スリッパが開発されていたのだった。
ピロロ団長は、最初だからか効果音だけの
通常モードで、ナオキの頭をスリッパで
叩いたのだった。

脱線したので本題に戻る。
通常モードの話し方になったピロロ団長の
説明では、契約した魔獣に名付けした後、
ナオキの魔力玉、魔力を定期的に与え
なければならないらしい。
相手が成長期なら与える頻度は高くなるが
なつきやすいらしい。
闇取引では、魔獣のたまごをわざわざ狙う
輩もいるくらい、たまごや赤ちゃん、
子どもが狙われるのだ。
魔力玉の作り方も、ピロロ団長が
教えてくれたのだ。
身体中の魔力を感じ、巡らせた後
指先にまーるい玉を作る様にする。
思ったより難しく、何度も何度も
失敗し、汗だくになりながらやっと
作った魔力玉は、1cm位の小さな玉だった。
ギンクロに近づけると、目をパッチリあけ
パクパクと美味しそうに食べたのだ。
何となくギンクロの毛並みがツヤツヤ
フカフカし、温かみが増したような気がした。
まだ、まだ欲しそうだが、なんだか疲れた。

「コツを掴むまで、そんなもんだ。」
「はぁ。」
「まだまだ、こいつは赤ちゃんだから
こまめにやらないと餓死したり
魔力が枯渇するぞ。」
「えっ?」
「ナオキ、手を出せ。」
「あっ、あぁ。」
「両手だ。」
俺は慌てて両手を差し出した。
「魔力を流すぞ。まずは右手から、いくぞ。」
右手から暖かい?熱めのお湯に浸かっている
様な感覚がした。
「右手、右足、魔力をゆっくり感じろ。
魔力を巡らせて左足、左手、もう一度、
右手、右足、左足、左手、次は頭にも巡らせるぞ。」
最初の魔力循環は寒気が生じたが、2週目は
身体がポカポカしてきたのだ。
3週目には、頭に血がのぼったようにカッカ
していた。魔力が右手に戻るとまるで
お風呂上がりのように身体全体が
ポカポカして、気持ちよくなっていた。

「どうだ?これが魔力循環だ。」
「気持ちいいです。」
「……そ、そうか。私より魔力はあるのに
まるで初めて使うヤツみたいだな。所々
魔力の詰まりがあるから、最低でも
1日に一回は魔力循環させた方がいい。
わからないなら、誰かにしてもらえ。」
「は、はい。」
「ナオキなら、みんな喜んでしてもらえるだろう。」
「あ、ありがとうございます。身体が
ポカポカして魔力循環てホント
気持ちいいですね。」
「そ、そうか。じゃあ、もう一度、
魔力循環したあと魔力玉作ってみろ。」
「は、はい。」
よし、右手、右足、左足、左手、頭、
そして右手、よし、まるい玉、魔力玉。
ぽこ、ぽっぽぽぽん。
ナオキの右手の指先一つ一つに
2cm代の光る玉が浮かび上がっていた。
ギンクロは、エプロンのポケットから
飛び出るように、光の玉をぱくぱく食べ
なくなったにもかかわらず、指先を
チロチロ舐めていた。
毛が逆立つようにふさふさになった
ギンクロは、後ろ足で頭をかいたり
毛づくろいをし始めた。
か、可愛い。

「可愛いからってやりすぎは良くない。
ご褒美やおやつ、ご飯の時間はキッチリ
しないと、なめられるぞ。」
「は、はい。」
「このぶんだと、数時間は大丈夫だ。
お腹もぽんぽんだ。」
「あっ、ほんとだ。ピロロ団長
ありがとうございます。」
「ふっ。」

ナオキは、魔力循環を覚えた。
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