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29、おっチャン、ハロルドは過保護です

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*赤竜騎士団団長ハロルド目線

ナオキ、君はどうして"ナオキ"なんだ?
名前自体不思議なかんじだ。
この国にはない言葉のヒビキがある。
黒目黒髪、艶やかな髪質にクリームに
はちみつを入れたような肌色。
思わずつまみ食い……。
いや…日に日に欲深くなっていく自分がいる。

初めて目が合った瞬間、身体中の何かが
騒いだ気がする。
あの時から、まだここに来て日数は
経ってないのに、仕事は手につかないし
少し離れただけでモヤモヤする。
他の奴らと話してるだけで、相手を
ぶちのめしたい。
俺のだって確かなものがないから
不安なのか?
常に牽制したらいいのか?
抱きしめて寝たはずなのに、朝居なくなった
時には、自分の世界に戻ったのかと
ひどく落ち込んだし、迷子になってただけ
と分かった後、迷子にさせてしまった事に
罪悪感を感じた。
その上、サークラ王子、ナオキが助けた
相手だがお互いがあえば話すネタは
尽きないだろうし、下手したら気に入られ
王城に連れて行くかもしれない。
俺ならそうするかも。
王城に行くと、欲望渦巻く王城だ、
肉食獣の中に、上質の肉を入れるかのように
すぐ食べられてしまう。
既に君を狙うものが多数いる。
サークラ王子を迎えに来たはずの
黄色と青の団長と副団長もまんざらでも
なさそうだし、なんとか会話させないように
しているが、そろそろ限界だろう。
腕の中に閉じ込めておきたいのに、
こぼれおちてしまう。
メイ神よ、俺とナオキを恋愛成就、成婚、
ゆくゆくは……ムフッ。

やばい祈りをささげないとな。
教会を後にした後、俺はナオキを
お姫様抱っこして再び移動した。
このまま俺の部屋へ駆け込みたい。


 黄の副団長のミーカ・コウ・セラミド
青の副団長のケラー・チナミン・プラセラは
赤の騎士団の新入りカーク、・ヒアー・ルロン
の親同士のいがみ合いを見抜いた
俺のナオキはすごい。
冒険者ギルドに呆気なく到着してしまい
下さなければならなかった。
俺の腕と心が寒い。

「初回登録料10メイメイになります。」
「10メイメイ?あっ。」
んっ?財布でも忘れたのか?
「おっ?これで。」
「えっ?あっ、ごめんなさい。」
「気づいてやれず、すまなかったな。」
俺はナオキの頭を撫でていた。
ずっと触り続けたい。
     
「はい、承りました。ではこのタグに
血を1滴とお名前お願いします。」
「はい。」
血の登録の為、小さな剣を見つめる
ナオキ。わかる、わかるぞ。その気持ち。
たとえ、血の登録の為だとはいえ、
ナオキの身体を傷つけるものは許さん。
仕方がないとはいえ、痛い思いはさせたくない。
剣先で指を…、ちょ、ちょっと待て、こら、
そこは危ない、ほら受付のものまで引いてる。
腕を斬り付けたナオキ。
痛そうってか、痛いだろう。
止血、止血だ。血は一滴でいいって
言ってただろう。
ナオキのように、聞き流したか勘違いしたのか
わからないものの為に、この登録の仕方に
問題ありとして、考え直しが必要だ。
俺は持ち歩いている応急処置セットの中から
俺の色の布を巻いてあげた。
細い腕に俺の色の布。
傷はナオキ本人が付けたものだが、
キスマークや違う印を俺自身が
付けたいと思った。
血を見たせいか、独占欲が強くなった気がした。


「あのー、すみません。私も彼と同じように
登録したいのですが、よろしいでしょうか?」
「カーク?どしたんだ?」
「はい、団長。ナオキさんの護衛兼
冒険者としてパーティーを組んいきたいんです。」
「……。」
俺のナオキと何で、わざわざ仲良しこよしで
パーティーを組むんだ?
俺でさえパーティー組んでないのに。
「あ、あのー、団長や副団長、軍師が
ナオキさんの護衛につけない時などで
構いませんので、補助要員的な者と
思ってくださればとおもいまして……。
よ、よろしければお願いします。」
俺はついついカークを
睨み付けるように見てしまった。
「……。」
「私は家を出たみですし、これからも
しっかり自立する為にも早く
お金を稼いで、好みの女性と出会って
早くあたたかい家庭を持ちたいんです。」
女性?カークの恋愛対象は異性か?!
「女性が好きなのか?」
一番大事な事だ、驚いてる場合じゃない。
早く答えろ。
「は、はい?」
「大事な事だ。希望する結婚相手は
女性なのだな?」
「は、はい。」
念押しするが、早く答えろ。
「もし、ナオキのように可愛い子がいても、
女性なのだな?」
「えっ?ナオキさんは男性ですよね?
確かに可愛いですが、私は、どちらかといえば
胸が豊かな方が好みです。」
胸か、胸が必要なのか?
「もしナオキが、胸がデカかったらどうする?」
「えっ?胸があるナオ……。」

スパパパ、スバーン。
「いっ、だだだぁぁぁ。」
この痛みは……。
俺を叩くのははオスカルしかいない。
冷静、沈着、クールビューティー?
周りに言われてるが、表情豊かで
美形だし怒らしたら怖い相手だ。
しかも普通の部屋履きの履物なのに
最近、ますます威力を増したぞ。
クラクラする。目から星が出たぞ。
痛い、やばい、しばらくたてないぞ。
俺じゃなければやばい。
"スリッパ"というもので、オスカルは
魔物大事ができそうだ。


ルロン侯爵の御子息カークと俺のナオキ
仲良く明日の約束をしている。
約束事?俺でさえ、まだ明日の約束
した事ないのに……。
悔しい。先を越された。
俺と同じような表情をしたサークラ王子と
目があった。
次に行く雑貨屋さんや服屋で、どちらが
ナオキ似合う物を見繕えるか競争だ。
自然とお互い闘争心が芽生え、結果
赤やピンク色の服や小物が増えたナオキだった。

行き帰りはもちろん誰にも譲らせる事なく
ナオキをお姫様抱っこしたのだった。
「明日の冒険楽しみだぁ。」
可愛く笑うな。襲いたくなる。
ああー、メイ神よ。
明日、どしゃ降りの雷雨にしてくれ。
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