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3、おっチャンは異世界人

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訳もわからず、この場所に座り込んでいる
今の俺の服装は下は穴の開いたチノパン。
「履きやすくてお気に入りやったのになぁ。」
言いながら、穴が開いたチノパンを
なでるナオキ。
「事故った時破れたんかぁ?穴あきに
なってもぉたわぁ。はあぁ~。」
あの時の俺は、たしか…車に跳ねられたよな?
多少血は出たし、かなり服がビリビリに
…破れとったはず……。
あれ?
上から見てたって事はやはり、俺は……。
一瞬痛かった?あれ?痛みがなかった?
まあ、うーん。
意識がなくなったというか即死やったよな、
アレは。
死ぬ時見るって言われてる走馬灯も、
なんやあれ?普通は今までの過去っちゅうか、
今まで過ごした……あれ?家族、親、同僚
名前が、わからん。なんでや?
ピンクのパンツ、ティーバッグ…。
血の跡がないパンツ、チノパン……。

寒すぎるオヤジギャグのつもりではない、
たまたまです。たまたま…偶然
お気に入りのチノパンをはいていた
大阪のおっチャン、名前はナオキ。
黒のポロシャツを着て、大きな
スポーツバッグをたすきがけにした
50代半ばの大阪のおっチャンだったはず?!
ナオキの記憶は、所々あやふやになっていた。

ナオキの目の前には、燃えるような 
赤い髪に光の加減なのか、金色になったり
紅い瞳になったりする不思議な色を宿した
顔がやたらと整った男性。
体つきは筋肉質で、割と大きめだ。
2人は見つめ合った。
相手はともかく、大阪のおっチャンと
親しまれているナオキは、
どちらかというと女性が好きである。
仕事柄、男女問わずナンパ……
…ゴホッ、ゴボッッ。
来るもの拒まず、大歓迎で受け入れるナオキ。
……仕事柄、男女問わず…声をかけまくり、
営業スマイルを振りまいたりしている。
どんな相手にも合わせ、一旦は
懐に入れるナオキ。
本業の仕事が終われば、自分の趣味を
兼ねた配信アプリで、自分自身の頭に
葉っぱを生やしながら、お笑いのような
いじられキャラのおっチャンを
演じきりコメントのやりとりをしていた。
基本マジメだが、ピンク話大好きで
たまに、女装もするおっチャン、
普通のファンからコアなファンもいた。
そんなナオキが、異世界に行き
自分自身、異世界人になってしまったのだ。
これからどおしようか、検討もつかない
ナオキ。

突然、頭に響くような声がした。
何かを言われるたびに、耳なのか
頭なのかよくわかないが、違和感
ありありの会話に、気持ち悪さを
感じたナオキ。
「う"わ"ぁぁぁ、なんやコレ、
なんとかならんのかぁ、
"普通に会話したい。"ちゅうに。」

カチッ。ピコーン。

→日本語モードオン
→ワールドモードオン
→通訳なし

「……。」
ナオキ思った。
"何やこれ?"
とりあえず、"→日本語モードオン"を
選んだ。
ゲームとかでよく現れるアレだ。
どお見ても、空中に浮かぶアレ。
えーと、ピンク色に透き通った選択枠。
ウィンドウ……窓があった。
ポチッとなっ。
"→日本語モードオンで、いいですか?"
「ええよ。」
"→ホンマ、ええんやね?"
また、現れた。しかも関西弁での確認?
これは、柔軟性ある選択枠なのか?
とりあえず返事せえなあかんな。
「……はい。」
"→ほな、日本語モードでのやりとりに
なります。あっ、なるでぇ。"
"だが、しかし、そやけど、慣れてない
関西弁機能、ここに表示される場合のみ
たまに日本語…関西モードやからなぁぁ、
たまに通訳しにくい時は、あかんかったと
思ってあきらめてなぁぁ。"
"万能でないから、かんにんなぁぁ
では、あっ!ほな、きばって異世界
楽しんでなぁぁぁぁ。"

次々と流れてくる、変な関西弁の
メッセージに、"何やねんこれ"と
ツッコミを入れたかった。
だけど、急に明るく開けたような視界に
赤い髪が入ってきた。
「……。」
ピンク色の謎の枠はなくなった。
代わりに、赤い髪の男性におでこを
くっつけられたナオキは固まった。
「どっか、具合が悪いのか?」
「なっ、なっ、なんや、何しとっんねん。」
「あはは。熱ありそうに見えたけど…
元気そうでよかった。急に言葉も解るように
なったのも、君のおかげなのかな?」
「……。」
「君は、どうしてここにいるの?」
ナオキは、どう答えていいのか
わからなかった。

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