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不器用だった兄上様
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乗馬用の服は普段の服より動きやすくていいわね。女性がドレスでないとダメだというのが面倒臭いけれど。前世なら、長袖長ズボンのジャージを着て、乗れたのに。
まぁ、でも生まれた時からドレスで3年もいれば慣れるわよねぇ~。
…あら?
「ハロルド兄上様何をなさっているのですか?」
中庭の花壇に座り込み、手袋をはめた兄上様は何やら土をいじっているようです。公爵子息が土いじりをなさるなんて!…悪いものでも食べたのかしら?
「あっ、あ兄上様!?どうなさったのです!?熱でもあるのですか?」
アワアワとして兄上様が手袋を取る前に私の手が兄上様のおでこに触れる。
「なっ、何をするっ!私はおかしくなどなっていないっ!」
ほっ、驚きましたわ。全く…
それにしても、「触れるなっ」くらいいうと思っていたわ。
「ふんっ!ただ、花の植え替えをしていただけだ。
……枯れそうだから、この花をお前にくれてやる。」
赤いチューリップを持ち、顔を赤らめながらいう兄上様はなんて可愛らしいんでしょう!まさかのここでツンデレですか!?デレ期が来たんですの!?
「まぁ!兄上様、ありがとうございます!」
にっこり笑って受け取り嬉しそうに耳に掛かるように頭につけた。
「兄上様、似合いますか?」
花を髪につけたまま一回転をする。薄金色の髪が太陽の光を浴びて更に薄くなりキラキラと輝き天使の輪ができる。回転した拍子にフワッと広がるラベンダー色の花柄の乗馬用の軽いドレス。紫水の瞳を輝かせその斜め上に自分があげた赤いチューリップが頭の上で咲き乱れる。
少しあざとかったかしら?
ハロルドは少しやり過ぎたと首を傾げている妹に気を回す余裕などはなく、小さい声で「うちの妹マジ天使っ…」と呟き、内心転げ回るほど悶えていた。
「……?兄上様?今なんと仰ったのですか?」
「いや、なんでもない。気に入ったのなら…(ボソッ)良かった。」
「はいっ!とても気に入りました!…また、お花を下さいねっ!楽しみにしております!」
「………また、枯れそうになったらくれてやる。…」
「それでは乗馬がありますので」と、笑顔で淑女の礼をとり馬小屋へと向かう。一度振り返り、はしたないが少し大きめの声でハロルドに向けて言葉を告げる。
「兄上様っ!次は赤いチューリップは兄上様の未来の奥様にお渡しくださいね!兄上様のお気持ちはいただきましたわ。」
ハロルドは???を浮かべ、首を傾げる。
……………………………
自身の部屋に戻り赤いチューリップに何かあるのかと花言葉を調べ絶句。気恥ずかしさと羞恥心などがごちゃ混ぜとなり発狂。
いきなり大声を上げたハロルドに驚き、使用人達は「ハロルド様っ!何があったのですか?」「敵襲ですかっ?」とハロルドの部屋になだれ込む。
そこにいたのは、真っ赤な顔をして悶えているハロルドがいた。
………………………………………
兄上様のこと誤解していたわ。
私のことが嫌いなんではなくてただ不器用なだけだったのね。
いきなり年の離れた妹ができたら困惑してしまったかもしれないわ。
兄上様と少しずつでも仲良くなれたらいいなぁ
______________________
赤いチューリップの花言葉は、真実の愛、愛の告白、永遠の愛、ロマンチックな愛、私を信じてなどです。
まぁ、でも生まれた時からドレスで3年もいれば慣れるわよねぇ~。
…あら?
「ハロルド兄上様何をなさっているのですか?」
中庭の花壇に座り込み、手袋をはめた兄上様は何やら土をいじっているようです。公爵子息が土いじりをなさるなんて!…悪いものでも食べたのかしら?
「あっ、あ兄上様!?どうなさったのです!?熱でもあるのですか?」
アワアワとして兄上様が手袋を取る前に私の手が兄上様のおでこに触れる。
「なっ、何をするっ!私はおかしくなどなっていないっ!」
ほっ、驚きましたわ。全く…
それにしても、「触れるなっ」くらいいうと思っていたわ。
「ふんっ!ただ、花の植え替えをしていただけだ。
……枯れそうだから、この花をお前にくれてやる。」
赤いチューリップを持ち、顔を赤らめながらいう兄上様はなんて可愛らしいんでしょう!まさかのここでツンデレですか!?デレ期が来たんですの!?
「まぁ!兄上様、ありがとうございます!」
にっこり笑って受け取り嬉しそうに耳に掛かるように頭につけた。
「兄上様、似合いますか?」
花を髪につけたまま一回転をする。薄金色の髪が太陽の光を浴びて更に薄くなりキラキラと輝き天使の輪ができる。回転した拍子にフワッと広がるラベンダー色の花柄の乗馬用の軽いドレス。紫水の瞳を輝かせその斜め上に自分があげた赤いチューリップが頭の上で咲き乱れる。
少しあざとかったかしら?
ハロルドは少しやり過ぎたと首を傾げている妹に気を回す余裕などはなく、小さい声で「うちの妹マジ天使っ…」と呟き、内心転げ回るほど悶えていた。
「……?兄上様?今なんと仰ったのですか?」
「いや、なんでもない。気に入ったのなら…(ボソッ)良かった。」
「はいっ!とても気に入りました!…また、お花を下さいねっ!楽しみにしております!」
「………また、枯れそうになったらくれてやる。…」
「それでは乗馬がありますので」と、笑顔で淑女の礼をとり馬小屋へと向かう。一度振り返り、はしたないが少し大きめの声でハロルドに向けて言葉を告げる。
「兄上様っ!次は赤いチューリップは兄上様の未来の奥様にお渡しくださいね!兄上様のお気持ちはいただきましたわ。」
ハロルドは???を浮かべ、首を傾げる。
……………………………
自身の部屋に戻り赤いチューリップに何かあるのかと花言葉を調べ絶句。気恥ずかしさと羞恥心などがごちゃ混ぜとなり発狂。
いきなり大声を上げたハロルドに驚き、使用人達は「ハロルド様っ!何があったのですか?」「敵襲ですかっ?」とハロルドの部屋になだれ込む。
そこにいたのは、真っ赤な顔をして悶えているハロルドがいた。
………………………………………
兄上様のこと誤解していたわ。
私のことが嫌いなんではなくてただ不器用なだけだったのね。
いきなり年の離れた妹ができたら困惑してしまったかもしれないわ。
兄上様と少しずつでも仲良くなれたらいいなぁ
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赤いチューリップの花言葉は、真実の愛、愛の告白、永遠の愛、ロマンチックな愛、私を信じてなどです。
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