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★【新婚旅行編】一日目:なんで俺、頷いちゃってんの?
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ふと、ハーブの匂いがした。頬に何かふわふわしたものが当たって。
「……ば、ある……?」
「はい、アオイ」
滲んでいる視界に柔らかな微笑みが映る。いつの間にやら、俺は彼の腕の中にいた。抱き抱えられ、お膝の上に乗せてもらえていた。
頬に口づけてくれていた唇が、額に、目尻に、触れてくれる。高い鼻先が俺の鼻に擦り寄ってくる。そっと顎を持ち上げられて、交わしてもらえた。
「は、ふ……ん、ん……」
しっとりとした指先で、顎の裏を撫でられると少し擽ったい。繰り返し口づけてもらっている最中、時々掠めていくお髭も。それでも夢中になってしまう。彼と触れ合える喜びに心が満たされていく。
……ホントにズルい。激しく俺を翻弄したかと思えば、蕩けるくらいに甘やかしてくれるなんてさ。
ちょっぴり滲んだ悔しさも、すぐさまどうでもよくなってしまう。自分から、口を押しつけにいってしまう。まだまだ、ずっとキスしていたかった。
「ん、ぁ……バアル……」
名残惜しそうに頬を撫でてくれる彼は、何だか言い辛そうにしていた。凛々しい眉を片方下げ、口を開いては閉じてを繰り返している。
「バアル……?」
「申し訳ございません……」
頬をほんのりと赤く染めながら、彼は俺の背を支えるように抱き寄せてきた。丁度、尻の割れ目のところに熱くて硬いものが当たった。何かなんて、聞かなくても分かった。
「あ……いいよ、ずっと……待ってたから……抱いてくれるの……」
謝らなくてもいいのに。後でいっぱいキスしてくれたら、それで。いつも俺のことを優先して自分を後回しにしてしまう、彼らしいっちゃらしいけどさ。
流れのままに俺は逞しい膝の上に乗ったまま、長大な彼のものを受け入れた。
いつからか開いていたシャツの隙間から、彼の彫刻のような肉体美が覗いている。浮き出た鎖骨の辺りまで、ほんのりと色づいていて余計にドキドキしてしまう。
「ん……く、ふ、ぅ……」
「あ、ごめ……締め付けちゃった?」
「大丈夫、問題、ございません……アオイは? お加減は、いかがでしょうか?」
「大丈夫……だよ……んっ……バアルの、奥まで届いていて、気持ちいい……あっ」
しまった……失言ではないのだけれど、うっかり気恥ずかしいことを。
伝えなくちゃという気持ちが先行した場合、俺は心に浮かんだそのままを口にしてしまうらしい。今回も、身体に負担はかかっていないのだと、ちゃんと気持ちよくなれているのだと、伝えようとした結果がコレな訳で。
切なそうに細められていた瞳が僅かに見開いた。鮮やかな緑の瞳は、しばし食い入るように俺を見つめていたのだが。
「あっ、んっ……まだ、大っきくなって……」
ぶんぶん、ぱたぱたと彼の感情表現が、触覚と羽が賑やかになったのと同時に、俺の中に収まっている彼のものがますます逞しくなっていた。
息を飲んだ彼が、珍しく慌てたような声で訴えてくる。俺の手を、ぎゅうぎゅうと握ってくる。
「っ……アオイ……大変嬉しく、男に冥利に尽きるのですが……あまり、煽らないで下さい……余裕をもって致したいのでしょう? 貴方様のお願いを、叶えられなくなってしまいます……」
「……それって」
俺でドキドキしてくれてる? とは聞けなかった。聞く前に塞がれてしまった。中断したさっきの続きをしてくれるかのように、優しく口づけられて。
やわやわと唇を食まれた分だけ。それだけで、頭の中がバアルさんで染まっていく。
自然と身を寄せ合って、どっちの心臓の音なのか分からなくなった頃、緩やかな笑みを描いた唇が離れていってしまった。
「は、ぁ……ん……う、動かない、の……?」
「ええ……貴方様のお望み通り、私をより感じて頂く為にも、しっかりと時間をかけて馴染ませた方が宜しいかと……」
「ん……そっか……」
俺が集中出来るようにする為だろう。どこにも触れてはくれない。時々、軽く口づけてくれて、頭や背中を撫でてくれるだけだ。
上半身の方は、まるで穏やかな海に揺蕩っているよう。けれども下半身の方は。
……ずっと、当たっちゃっているのにな……少しでも動いてもらえたら……
しっかりと、彼の熱を感じているからこそキツかった。期待してしまっているから。でも、俺の為なんだから。俺が望んだんだから、だから、ちゃんと出来るまで我慢しないと。
また、もう一度、軽く触れてくれてから離れていった温もり。穏やかな微笑みを追う途中で絡んだ眼差しが、好きがあふれている眼差しが、堪らなく愛しくて。
「バアル……」
「はい……」
「その……もう、いいんじゃない?」
あっさりと決意が崩れてしまっていた。言葉だけじゃなくて行動でも強請ってしまっていた。彼がその気になってくれるように、額を擦り寄せながら腰を揺らして。
「んっ……ほら……ちゃんと俺、バアルの……感じてるしさ……だから、もう……」
「……では、このままアオイが動いてみますか?」
「……えっ? 俺が?」
お誘いのつもりが、主導権を握ることになるとは。
今、軽く動かしただけでも、大きな彼の先端が擦れただけでも、お腹の奥が熱く疼いちゃったってのに。バアルさんが気持ちよくなってくれるくらい動かすなんて、俺には。
「はい……堪え性のない私では、衝動のままに貴方様を抱いてしまいます……恐らくまた、気をやられてしまうほどに、アオイを求めてしまう……」
「ひょわ……」
「ですから、一度試してみても宜しいのではないでしょうか? アオイのお好きなペースで私を愛して頂ければ、余裕をもって一緒に達することが出来るかと」
「じゃ、じゃあ……やって、みようかな……?」
なんで俺、頷いちゃってんの?
「……ば、ある……?」
「はい、アオイ」
滲んでいる視界に柔らかな微笑みが映る。いつの間にやら、俺は彼の腕の中にいた。抱き抱えられ、お膝の上に乗せてもらえていた。
頬に口づけてくれていた唇が、額に、目尻に、触れてくれる。高い鼻先が俺の鼻に擦り寄ってくる。そっと顎を持ち上げられて、交わしてもらえた。
「は、ふ……ん、ん……」
しっとりとした指先で、顎の裏を撫でられると少し擽ったい。繰り返し口づけてもらっている最中、時々掠めていくお髭も。それでも夢中になってしまう。彼と触れ合える喜びに心が満たされていく。
……ホントにズルい。激しく俺を翻弄したかと思えば、蕩けるくらいに甘やかしてくれるなんてさ。
ちょっぴり滲んだ悔しさも、すぐさまどうでもよくなってしまう。自分から、口を押しつけにいってしまう。まだまだ、ずっとキスしていたかった。
「ん、ぁ……バアル……」
名残惜しそうに頬を撫でてくれる彼は、何だか言い辛そうにしていた。凛々しい眉を片方下げ、口を開いては閉じてを繰り返している。
「バアル……?」
「申し訳ございません……」
頬をほんのりと赤く染めながら、彼は俺の背を支えるように抱き寄せてきた。丁度、尻の割れ目のところに熱くて硬いものが当たった。何かなんて、聞かなくても分かった。
「あ……いいよ、ずっと……待ってたから……抱いてくれるの……」
謝らなくてもいいのに。後でいっぱいキスしてくれたら、それで。いつも俺のことを優先して自分を後回しにしてしまう、彼らしいっちゃらしいけどさ。
流れのままに俺は逞しい膝の上に乗ったまま、長大な彼のものを受け入れた。
いつからか開いていたシャツの隙間から、彼の彫刻のような肉体美が覗いている。浮き出た鎖骨の辺りまで、ほんのりと色づいていて余計にドキドキしてしまう。
「ん……く、ふ、ぅ……」
「あ、ごめ……締め付けちゃった?」
「大丈夫、問題、ございません……アオイは? お加減は、いかがでしょうか?」
「大丈夫……だよ……んっ……バアルの、奥まで届いていて、気持ちいい……あっ」
しまった……失言ではないのだけれど、うっかり気恥ずかしいことを。
伝えなくちゃという気持ちが先行した場合、俺は心に浮かんだそのままを口にしてしまうらしい。今回も、身体に負担はかかっていないのだと、ちゃんと気持ちよくなれているのだと、伝えようとした結果がコレな訳で。
切なそうに細められていた瞳が僅かに見開いた。鮮やかな緑の瞳は、しばし食い入るように俺を見つめていたのだが。
「あっ、んっ……まだ、大っきくなって……」
ぶんぶん、ぱたぱたと彼の感情表現が、触覚と羽が賑やかになったのと同時に、俺の中に収まっている彼のものがますます逞しくなっていた。
息を飲んだ彼が、珍しく慌てたような声で訴えてくる。俺の手を、ぎゅうぎゅうと握ってくる。
「っ……アオイ……大変嬉しく、男に冥利に尽きるのですが……あまり、煽らないで下さい……余裕をもって致したいのでしょう? 貴方様のお願いを、叶えられなくなってしまいます……」
「……それって」
俺でドキドキしてくれてる? とは聞けなかった。聞く前に塞がれてしまった。中断したさっきの続きをしてくれるかのように、優しく口づけられて。
やわやわと唇を食まれた分だけ。それだけで、頭の中がバアルさんで染まっていく。
自然と身を寄せ合って、どっちの心臓の音なのか分からなくなった頃、緩やかな笑みを描いた唇が離れていってしまった。
「は、ぁ……ん……う、動かない、の……?」
「ええ……貴方様のお望み通り、私をより感じて頂く為にも、しっかりと時間をかけて馴染ませた方が宜しいかと……」
「ん……そっか……」
俺が集中出来るようにする為だろう。どこにも触れてはくれない。時々、軽く口づけてくれて、頭や背中を撫でてくれるだけだ。
上半身の方は、まるで穏やかな海に揺蕩っているよう。けれども下半身の方は。
……ずっと、当たっちゃっているのにな……少しでも動いてもらえたら……
しっかりと、彼の熱を感じているからこそキツかった。期待してしまっているから。でも、俺の為なんだから。俺が望んだんだから、だから、ちゃんと出来るまで我慢しないと。
また、もう一度、軽く触れてくれてから離れていった温もり。穏やかな微笑みを追う途中で絡んだ眼差しが、好きがあふれている眼差しが、堪らなく愛しくて。
「バアル……」
「はい……」
「その……もう、いいんじゃない?」
あっさりと決意が崩れてしまっていた。言葉だけじゃなくて行動でも強請ってしまっていた。彼がその気になってくれるように、額を擦り寄せながら腰を揺らして。
「んっ……ほら……ちゃんと俺、バアルの……感じてるしさ……だから、もう……」
「……では、このままアオイが動いてみますか?」
「……えっ? 俺が?」
お誘いのつもりが、主導権を握ることになるとは。
今、軽く動かしただけでも、大きな彼の先端が擦れただけでも、お腹の奥が熱く疼いちゃったってのに。バアルさんが気持ちよくなってくれるくらい動かすなんて、俺には。
「はい……堪え性のない私では、衝動のままに貴方様を抱いてしまいます……恐らくまた、気をやられてしまうほどに、アオイを求めてしまう……」
「ひょわ……」
「ですから、一度試してみても宜しいのではないでしょうか? アオイのお好きなペースで私を愛して頂ければ、余裕をもって一緒に達することが出来るかと」
「じゃ、じゃあ……やって、みようかな……?」
なんで俺、頷いちゃってんの?
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