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★【新婚旅行編】一日目:気恥ずかしさをぶん投げたお強請りは、功を奏したらしい

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「あっ、あぁっ……」

 腰の辺りから駆け上っていく快感に、足が勝手にもがいてしまう。まっさらなシーツにシワを付けてしまう。

 掻き抱くように強く抱き締めてしまっていたのに、バアルさんは余裕綽々。全身を震わせている俺を宥めるように、手を繋いでくれた。

「ん、はぅ………あ、ん……」

 俺の力が抜けたのを見計らって、バアルさんが胸元から離れていく。

 大きな手のひらが頭を撫でてくれる。乱れた髪を整えてくれて、触れるだけのキスを送ってくれる。

「胸だけで、ちゃんと達せられましたね……いい子ですね……誠に可愛らしかったですよ……」

 感覚的に分かってはいたけれど、甘イきではなかったらしい。毎度のこととはいえ、その報告だけでも気恥ずかしいんだけど。

「……もー……見せないで、下さいよ……」

 バアルさんのならともかくさ。わざわざ俺の腹回りを撫でてまで回収してこないで欲しい。汚れちゃうじゃないか。バアルさんのキレイな指が。

 俺が見えるように差し出している、しなやかな彼の指。軽く広げた人差し指と中指との間には、粘ついたものが糸を引いている。それが何かだなんて、俺が一番分かっている。言いたくはないけれど。

「申し訳ございません……年甲斐もなく心が弾んでしまいまして……これほどまでに貴方様に悦んで頂けて」

「分かったっ、分かりましたからっ! いつまでも見ていないでさ……早く拭いてよ、汚いでしょ……」

「お美しい貴方様の身体から作られたものが汚いことなど」

「っ……続き! 続き、しようよ……俺、そろそろ寂しいんだけど……バアルと一緒がいいんだけど……」

 曇りなき眼で語ろうとしていた彼を遮って、俺なりに精一杯誘ってみた。膝裏を掴んで持ち上げて、はしたなく疼いてしまっているあそこを見せつけて。

 気恥ずかしさをぶん投げたお強請りは、功を奏したらしい。

 彼の尖った喉から飢えたような音が聞こえてきて、緑の瞳がまた熱を帯びてきて。気がついた時には、のしかかられていた。吐息を奪うように口づけられていた。



 愛しい彼の全部を受け入れることが出来て、さほど時間が経っていないからだろう。指の方は楽々だった。三本目を咥え込むまでは。

「はっ、はぁ……あっ、あんっ……」

 鼻にかかった俺の声と一緒に、粘ついた音が鳴っている。俺の中を押し広げている彼の指が動く度に、漏れ聞こえてしまっている。

 もう、挿れてくれていいのに……バアルのが、欲しいのに……

 問題ない程度には解れているのだから、気持ちの方の準備も出来ているのだから。なのに、彼は仰向けに寝転がる俺を見下ろしたまま。指を引き抜く気配がない。それどころか、俺を追い詰めようと。

「ひぁ……また、俺……あっ、あっ、バアルっ、バアル……っ」

「はい……大丈夫ですよ……此処に居ります……ちゃんと手を繋いでおりますので……さぁ、どうぞ……ご遠慮なく、気持ちよくなられて下さい……」

 優しい声色と慈しむような微笑み。温かく俺を包み込んでくれるそれらとは裏腹に、三本の指が容赦なく俺の弱いところを、前立腺を強く突いた。

 込み上げてきた強烈な快感に、脳が揺れるような錯覚を覚えた。

「ッ…………は……あ、あ……んん……ぅ……」

 目の前がチカチカと明滅したのは、何度目か。

 俺は盛大に放ってしまっていた。大きく広げた足を、反射的に浮かせていた腰を、ビクビク震わせながら。今度は、胸元にまで飛び散ってしまったかもしれない。

 それでも、バアルさんは指を抜いてはくれない。何度も突いていたしこりを指の腹で撫でながら、最後の最後まで絞り出そうとしてくる。

 まだ、高みへと上り詰めてすぐなのだ。さっき与えてもらっていたものとは比べるべくもなく弱いとはいえ、こうも休むことなく快感を与えられてしまえば。

「あ、あ……あっ、んっ……ぁ……」

 蚊の鳴くような声を上げながら、俺は続けざまに腰を震わせていた。

 連続だったから、出すものもなかったんだろうか。撒き散らしてしまった感覚はない。ただ、スゴく気持ちよくなっただけ。
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