590 / 804
★【番外編】ひたすらに甘やかして8
しおりを挟む
「……宜しいでしょうか?」
もう、聞かなくても分かっていると思うんだけど。
そう胸の内に浮かんだものの、嬉しくて口元がふにゃふにゃになってしまいそう。
……やっぱり好きなんだよな。どこまでいっても紳士な彼のことが。そこそこレアな、男の顔したワイルドな彼も好きだけど。バアルさんの全部を愛していますけども。
「ふふ、私も貴方様の全てを愛しておりますよ。芯が強くてカッコいいアオイも、照れやすい可愛いアオイも、甘えてくれる愛らしいアオイも……」
「ひょわ……あ、ありがとうございます……って、俺……」
嬉しいことばかりを囁いてくれていた唇が、柔らかい弧を描いていた微笑みが、どこか悪戯っぽい笑みへと変わっていく。
「うっかりなところも可愛らしくて素敵ですよ……」
「ひぇ……」
そんなの答えみたいなもんじゃないか。言っちゃってたんだって。どこからかは分からないけれども、全部口に出しちゃってたんだって。
クスクスと笑みをこぼしながら、キスを送ってくれている彼は楽しくて仕方がないといったご様子。カッコいい目尻のシワは深くなり、触覚と羽もぶんぶんぱたぱた。それは何よりなんだけどさ。
「ところで、肝心なお返事の方がまだなのですが?」
「え? その部分は俺、言っちゃってなかったんですか? もう聞かなくても分かってるって……あっ」
「もっと……はっきりとしたお言葉で、仰って頂けませんか?」
これまた言っちゃっているみたいなもんだと思うんだけど。バアルさんにとっては足りないみたい。
「アオイ……」
甘えるように鼻先を擦り寄せてくれて、寂しそうな声で囁かれてしまえば、邪魔をしていた気恥ずかしさなんて。
「……続き、したい……です……バアルさんに抱いて欲しい……」
ちゃんと俺が応えられてからは早かった。
ご褒美に優しく口づけてくれた彼の手には、潤滑油の入った青い小瓶が握られていて。すっぽんぽんのままだった俺の下半身に、お尻の穴に人肌に温められた小瓶の中身が、トロリとした液体が丁寧に塗られていったんだ。
「……少しずつ慣らしていきますね……先ずは一本目を挿入致しますので、ゆっくりと呼吸をしていて下さい……」
「はい……」
時間をかけて、穴の縁の周りを揉むように撫でてもらっていた。だから俺は、もう準備万端っていうか、ずっと先を期待してしまっているのだけれど。
任せないと。ずっとバアルさんから教えてもらった通りにして、上手く出来てるんだから。もう少しの辛抱なんだからさ。
「いい子ですね……」
足を持ち上げたまま深い呼吸を繰り返していると、頭を撫でてもらえた。
胸を高鳴らせている間に、細く長い指先が俺の中へと入ってくる。圧迫感は特にない。久しぶりとはいえ、彼の逞しいものをほとんど受け入れられるくらいには、慣らしてもらったからだろうか。
まだ、一本目だからってだけかもしれないけれど。
「大丈夫そう、ですね……」
「ん……は、はい、大丈夫……痛くも、苦しくもないです……」
感じているのは気持ちよさだけ。根元まで挿れてもらう際に掠めた前立腺からの淡い感覚と、期待や嬉しさによるものだけだ。
「では、続けますね……」
慣らす為に少し時間を置いてから二本目、同じように三本目を挿れてもらったけれども変わりはなく。
ただただ俺は、優しく内壁を撫でられる感覚に腰を震わせるだけ。内側を少しずつ広げられていく度に、声にならない声を漏らしながら甘くイってしまうだけだった。
もう、聞かなくても分かっていると思うんだけど。
そう胸の内に浮かんだものの、嬉しくて口元がふにゃふにゃになってしまいそう。
……やっぱり好きなんだよな。どこまでいっても紳士な彼のことが。そこそこレアな、男の顔したワイルドな彼も好きだけど。バアルさんの全部を愛していますけども。
「ふふ、私も貴方様の全てを愛しておりますよ。芯が強くてカッコいいアオイも、照れやすい可愛いアオイも、甘えてくれる愛らしいアオイも……」
「ひょわ……あ、ありがとうございます……って、俺……」
嬉しいことばかりを囁いてくれていた唇が、柔らかい弧を描いていた微笑みが、どこか悪戯っぽい笑みへと変わっていく。
「うっかりなところも可愛らしくて素敵ですよ……」
「ひぇ……」
そんなの答えみたいなもんじゃないか。言っちゃってたんだって。どこからかは分からないけれども、全部口に出しちゃってたんだって。
クスクスと笑みをこぼしながら、キスを送ってくれている彼は楽しくて仕方がないといったご様子。カッコいい目尻のシワは深くなり、触覚と羽もぶんぶんぱたぱた。それは何よりなんだけどさ。
「ところで、肝心なお返事の方がまだなのですが?」
「え? その部分は俺、言っちゃってなかったんですか? もう聞かなくても分かってるって……あっ」
「もっと……はっきりとしたお言葉で、仰って頂けませんか?」
これまた言っちゃっているみたいなもんだと思うんだけど。バアルさんにとっては足りないみたい。
「アオイ……」
甘えるように鼻先を擦り寄せてくれて、寂しそうな声で囁かれてしまえば、邪魔をしていた気恥ずかしさなんて。
「……続き、したい……です……バアルさんに抱いて欲しい……」
ちゃんと俺が応えられてからは早かった。
ご褒美に優しく口づけてくれた彼の手には、潤滑油の入った青い小瓶が握られていて。すっぽんぽんのままだった俺の下半身に、お尻の穴に人肌に温められた小瓶の中身が、トロリとした液体が丁寧に塗られていったんだ。
「……少しずつ慣らしていきますね……先ずは一本目を挿入致しますので、ゆっくりと呼吸をしていて下さい……」
「はい……」
時間をかけて、穴の縁の周りを揉むように撫でてもらっていた。だから俺は、もう準備万端っていうか、ずっと先を期待してしまっているのだけれど。
任せないと。ずっとバアルさんから教えてもらった通りにして、上手く出来てるんだから。もう少しの辛抱なんだからさ。
「いい子ですね……」
足を持ち上げたまま深い呼吸を繰り返していると、頭を撫でてもらえた。
胸を高鳴らせている間に、細く長い指先が俺の中へと入ってくる。圧迫感は特にない。久しぶりとはいえ、彼の逞しいものをほとんど受け入れられるくらいには、慣らしてもらったからだろうか。
まだ、一本目だからってだけかもしれないけれど。
「大丈夫そう、ですね……」
「ん……は、はい、大丈夫……痛くも、苦しくもないです……」
感じているのは気持ちよさだけ。根元まで挿れてもらう際に掠めた前立腺からの淡い感覚と、期待や嬉しさによるものだけだ。
「では、続けますね……」
慣らす為に少し時間を置いてから二本目、同じように三本目を挿れてもらったけれども変わりはなく。
ただただ俺は、優しく内壁を撫でられる感覚に腰を震わせるだけ。内側を少しずつ広げられていく度に、声にならない声を漏らしながら甘くイってしまうだけだった。
37
お気に入りに追加
463
あなたにおすすめの小説
婚約破棄王子は魔獣の子を孕む〜愛でて愛でられ〜《完結》
クリム
BL
「婚約を破棄します」相手から望まれたから『婚約破棄』をし続けた王息のサリオンはわずか十歳で『婚約破棄王子』と呼ばれていた。サリオンは落実(らくじつ)故に王族の容姿をしていない。ガルド神に呪われていたからだ。
そんな中、大公の孫のアーロンと婚約をする。アーロンの明るさと自信に満ち溢れた姿に、サリオンは戸惑いつつ婚約をする。しかし、サリオンの呪いは容姿だけではなかった。離宮で晒す姿は夜になると魔獣に変幻するのである。
アーロンにはそれを告げられず、サリオンは兄に連れられ王領地の魔の森の入り口で金の獅子型の魔獣に出会う。変幻していたサリオンは魔獣に懐かれるが、二日の滞在で別れも告げられず離宮に戻る。
その後魔力の強いサリオンは兄の勧めで貴族学舎に行く前に、王領魔法学舎に行くように勧められて魔の森の中へ。そこには小さな先生を取り囲む平民の子どもたちがいた。
サリオンの魔法学舎から貴族学舎、兄セシルの王位継承問題へと向かい、サリオンの呪いと金の魔獣。そしてアーロンとの関係。そんなファンタジーな物語です。
一人称視点ですが、途中三人称視点に変化します。
R18は多分なるからつけました。
2020年10月18日、題名を変更しました。
『婚約破棄王子は魔獣に愛される』→『婚約破棄王子は魔獣の子を孕む』です。
前作『花嫁』とリンクしますが、前作を読まなくても大丈夫です。(前作から二十年ほど経過しています)
運命なんて要らない
あこ
BL
幼い頃から愛を育む姿に「微笑ましい二人」とか「可愛らしい二人」と言われていた第二王子アーロンとその婚約者ノア。
彼らはお互いがお互いを思い合って、特にアーロンはノアを大切に大切にして過ごしていた。
自分のせいで大変な思いをして、難しく厳しい人生を歩むだろうノア。アーロンはノアに自分の気持ちを素直にいい愛をまっすぐに伝えてきていた。
その二人とは対照的に第一王子とその婚約者にあった溝は年々膨らむ。
そしてアーロンは兄から驚くべきことを聞くのであった。
🔺 本編は完結済
🔺 10/29『ぼくたちも、運命なんて要らない(と思う)』完結しました。
🔺 その他の番外編は時々更新
✔︎ 第二王子×婚約者
✔︎ 第二王子は優男(優美)容姿、婚約者大好き。頼られる男になりたい。
✔︎ 婚約者は公爵家長男ふんわり美人。精霊に祝福されてる。
✔︎ あえてタグで触れてない要素、あります。
✔︎ 脇でGL要素があります。
✔︎ 同性婚可能で同性でも妊娠可能な設定(作中で妊娠した描写は一切ありません)
▶︎ 作品や章タイトルの頭に『★』があるものは、個人サイトでリクエストしていただいたものです。こちらではリクエスト内容やお礼などの後書きを省略させていただいています。
【 『セーリオ様の祝福シリーズ』とのクロスオーバーについて 】
『セーリオ様の祝福』及び『セーリオ様の祝福:カムヴィ様の言う通り』のキャラクターが登場する(名前だけでも)話に関しては、『セーリオ様の祝福』『セーリオ様の祝福:カムヴィ様の言う通り』のどちらの設定でも存在する共通の話として書いております。
どちらの設定かによって立場の変わるマチアスについては基本的に『王子殿下』もしくは『第一王子殿下』として書いておりますが、それでも両方の設定共通の話であると考え読んでいただけたら助かります。
また、クロスオーバー先の話を未読でも問題ないように書いております。
🔺でも一応、簡単な説明🔺
➡︎『セーリオ様の祝福シリーズ』とは、「真面目な第一王子殿下マチアス」と「外見は超美人なのに中身は超普通の婚約者カナメ」のお話です。
➡︎『セーリオ様の祝福』はマチアスが王太子ならない設定で、短編連作の形で書いています。
➡︎『セーリオ様の祝福:カムヴィ様の言う通り』はマチアスが王太子になる設定で、長編連載として書いています。
➡︎マチアスはアーロンの友人として、出会ってからずっといわゆる文通をしています。ノアとカナメも出会ったあとは友人関係になります。
婚約者様は大変お素敵でございます
ましろ
恋愛
私シェリーが婚約したのは16の頃。相手はまだ13歳のベンジャミン様。当時の彼は、声変わりすらしていない天使の様に美しく可愛らしい少年だった。
あれから2年。天使様は素敵な男性へと成長した。彼が18歳になり学園を卒業したら結婚する。
それまで、侯爵家で花嫁修業としてお父上であるカーティス様から仕事を学びながら、嫁ぐ日を指折り数えて待っていた──
設定はゆるゆるご都合主義です。
後に悪の帝王となる王子の闇落ちを全力で回避します!
花見 有
恋愛
どうして私は主人公側ではなく、敵国のルイーザ・セルビアに転生してしまったのか……。
ルイーザは5歳の時に前世の記憶が蘇り、自身が前世で好きだったゲームの世界に転生していた事を知った。
ルイーザはゲームの中で、カルヴァ王国のレオン国王の妃。だが、このレオン国王、ゲームの中では悪の帝王としてゲームの主人公である聖女達に倒されてしまうのだ。そして勿論、妃のルイーザも処刑されてしまう。
せっかく転生したのに処刑ないんて嫌!こうなったら、まだ子供のレオン王子が闇落ちするのを回避して、悪の帝王になるのを阻止するしかない!
婚約者の幼馴染?それが何か?
仏白目
恋愛
タバサは学園で婚約者のリカルドと食堂で昼食をとっていた
「あ〜、リカルドここにいたの?もう、待っててっていったのにぃ〜」
目の前にいる私の事はガン無視である
「マリサ・・・これからはタバサと昼食は一緒にとるから、君は遠慮してくれないか?」
リカルドにそう言われたマリサは
「酷いわ!リカルド!私達あんなに愛し合っていたのに、私を捨てるの?」
ん?愛し合っていた?今聞き捨てならない言葉が・・・
「マリサ!誤解を招くような言い方はやめてくれ!僕たちは幼馴染ってだけだろう?」
「そんな!リカルド酷い!」
マリサはテーブルに突っ伏してワアワア泣き出した、およそ貴族令嬢とは思えない姿を晒している
この騒ぎ自体 とんだ恥晒しだわ
タバサは席を立ち 冷めた目でリカルドを見ると、「この事は父に相談します、お先に失礼しますわ」
「まってくれタバサ!誤解なんだ」
リカルドを置いて、タバサは席を立った
結婚式当日に花婿に逃げられたら、何故だか強面軍人の溺愛が待っていました。
当麻月菜
恋愛
平民だけれど裕福な家庭で育ったシャンディアナ・フォルト(通称シャンティ)は、あり得ないことに結婚式当日に花婿に逃げられてしまった。
それだけでも青天の霹靂なのだが、今度はイケメン軍人(ギルフォード・ディラス)に連れ去られ……偽装夫婦を演じる羽目になってしまったのだ。
信じられないことに、彼もまた結婚式当日に花嫁に逃げられてしまったということで。
少しの同情と、かなりの脅迫から始まったこの偽装結婚の日々は、思っていたような淡々とした日々ではなく、ドタバタとドキドキの連続。
そしてシャンティの心の中にはある想いが芽生えて……。
※★があるお話は主人公以外の視点でのお話となります。
※他のサイトにも重複投稿しています。
貧乏貴族の末っ子は、取り巻きのひとりをやめようと思う
まと
BL
色々と煩わしい為、そろそろ公爵家跡取りエルの取り巻きをこっそりやめようかなと一人立ちを決心するファヌ。
新たな出逢いやモテ道に期待を胸に膨らませ、ファヌは輝く学園生活をおくれるのか??!!
⚠️趣味で書いておりますので、誤字脱字のご報告や、世界観に対する批判コメントはご遠慮します。そういったコメントにはお返しできませんので宜しくお願いします。
願いの守護獣 チートなもふもふに転生したからには全力でペットになりたい
戌葉
ファンタジー
気付くと、もふもふに生まれ変わって、誰もいない森の雪の上に寝ていた。
人恋しさに森を出て、途中で魔物に間違われたりもしたけど、馬に助けられ騎士に保護してもらえた。正体はオレ自身でも分からないし、チートな魔法もまだ上手く使いこなせないけど、全力で可愛く頑張るのでペットとして飼ってください!
チートな魔法のせいで狙われたり、自分でも分かっていなかった正体のおかげでとんでもないことに巻き込まれちゃったりするけど、オレが目指すのはぐーたらペット生活だ!!
※「1-7」で正体が判明します。「精霊の愛し子編」や番外編、「美食の守護獣」ではすでに正体が分かっていますので、お気を付けください。
番外編「美食の守護獣 ~チートなもふもふに転生したからには全力で食い倒れたい」
「冒険者編」と「精霊の愛し子編」の間の食い倒れツアーのお話です。
https://www.alphapolis.co.jp/novel/2227451/394680824
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる