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【番外編】ハレの日だから2
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「うむっ、何でも聞くとよい!」
コウモリの形をした羽をはためかせ、ヨミ様が得意げな笑みを浮かべて胸を張る。腰まで伸びた艷やかな黒髪が、星空を切り取ったように美しいマントと共に、風もない室内でふわりと靡いた。
彼を筆頭に、口々に「私が答えられることでしたら」と「僕達にどどんとお任せ下さい!」と言ってくれる。
気持ちは嬉しいんだけれど、何だか大事になってしまっているような。そんな、大したことじゃあないんだけどな……いや、俺にとっては大切なんだけれども。
俺に向かって真っ直ぐに注がれているキラキラした眼差し達に、言い出しづらくなっていた時だった。
「……アオイ……貴方様からのお返事は……頂けないのでしょうか?」
さっきまで静かだった彼がまた動き始めた。寂しそうな声で尋ねながら、しっとりとした頬を寄せてくる。
ハーブの匂いと一緒に、甘いような……イチゴみたいな香りが彼から漂ってくる。ふわふわした白いお髭が頬に触れたかと思えば柔らかい温もりが触れ、わざとらしいリップ音を鳴らして離れていった。
「ば、バアルさ……」
慌てて顔だけ振り向けば、今にも蕩けてしまいそうな緑の瞳とかち合った。
切なそうな表情に艶が混じった彫りの深い顔。ほんのりと頬を染めたバアルさんに見惚れている内に、距離が詰められていく。
嬉しいけれど……皆さんが……
「アオイ……」
「あ、愛してます! いっぱい大好きです!」
とにもかくにも応えなければ、という一心だけで素直な想いを伝えたところ、バアルさんは機嫌を直してくれたらしかった。額の触覚を揺らしながら、背中の半透明な羽をはためかせながら、目尻のシワを深くする。
それから「私も愛しております……」ともう一度俺の額にキスを送ってくれてから再び定位置に。俺の肩にシャープな顎をそっとのせて、抱き枕よろしく俺を抱き締めた。
良かった……いくら皆さんの前で誓いのキスをしたっていっても、やっぱり二人っきりの時の方が……
ふと視線を感じて前を向けば、微笑ましそうな眼差し達。それから、顔を真っ赤にして口を覆いながらも目を輝かせて見つめているグリムさん。
どうぞお気になさらずと言わんばかりの眼差し達に、背中が擽ったくなってしまう。何だかスゴくいたたまれない。
すぐにでもパーティー会場から逃げ出して、ベッドに潜り込みたいところだが、バアルさんからしっかりと抱き締められていて動けない。
「あー、えっと……バアルさんって……お酒、弱いんですか?」
俺に出来たことといえば、唯一自由な口で途中だった質問を投げかけることくらいだった。
コウモリの形をした羽をはためかせ、ヨミ様が得意げな笑みを浮かべて胸を張る。腰まで伸びた艷やかな黒髪が、星空を切り取ったように美しいマントと共に、風もない室内でふわりと靡いた。
彼を筆頭に、口々に「私が答えられることでしたら」と「僕達にどどんとお任せ下さい!」と言ってくれる。
気持ちは嬉しいんだけれど、何だか大事になってしまっているような。そんな、大したことじゃあないんだけどな……いや、俺にとっては大切なんだけれども。
俺に向かって真っ直ぐに注がれているキラキラした眼差し達に、言い出しづらくなっていた時だった。
「……アオイ……貴方様からのお返事は……頂けないのでしょうか?」
さっきまで静かだった彼がまた動き始めた。寂しそうな声で尋ねながら、しっとりとした頬を寄せてくる。
ハーブの匂いと一緒に、甘いような……イチゴみたいな香りが彼から漂ってくる。ふわふわした白いお髭が頬に触れたかと思えば柔らかい温もりが触れ、わざとらしいリップ音を鳴らして離れていった。
「ば、バアルさ……」
慌てて顔だけ振り向けば、今にも蕩けてしまいそうな緑の瞳とかち合った。
切なそうな表情に艶が混じった彫りの深い顔。ほんのりと頬を染めたバアルさんに見惚れている内に、距離が詰められていく。
嬉しいけれど……皆さんが……
「アオイ……」
「あ、愛してます! いっぱい大好きです!」
とにもかくにも応えなければ、という一心だけで素直な想いを伝えたところ、バアルさんは機嫌を直してくれたらしかった。額の触覚を揺らしながら、背中の半透明な羽をはためかせながら、目尻のシワを深くする。
それから「私も愛しております……」ともう一度俺の額にキスを送ってくれてから再び定位置に。俺の肩にシャープな顎をそっとのせて、抱き枕よろしく俺を抱き締めた。
良かった……いくら皆さんの前で誓いのキスをしたっていっても、やっぱり二人っきりの時の方が……
ふと視線を感じて前を向けば、微笑ましそうな眼差し達。それから、顔を真っ赤にして口を覆いながらも目を輝かせて見つめているグリムさん。
どうぞお気になさらずと言わんばかりの眼差し達に、背中が擽ったくなってしまう。何だかスゴくいたたまれない。
すぐにでもパーティー会場から逃げ出して、ベッドに潜り込みたいところだが、バアルさんからしっかりと抱き締められていて動けない。
「あー、えっと……バアルさんって……お酒、弱いんですか?」
俺に出来たことといえば、唯一自由な口で途中だった質問を投げかけることくらいだった。
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