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それはそれで俺達らしいかもしれないな、なんて

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 絶え間なく次から次へと光色を変えていく結晶。花の形をした煌めきへと、バアルさんが俺と繋いだ手を伸ばす。

 彼の反対の手を握り、魔力の流れを繋げているヨミ様が、艷やかな黒髪を靡かせながらいつもの調子で威厳たっぷりに言い放った。

「バアル、私の魔力も遠慮なくもっていっていいからなっ! アオイ殿にかける負担を極力減らすぞ!」

「承知致しました」

「ちょっ、ヨミ様! バアルさんも! 十分の一は大丈夫なんですからね? どーんと俺に頼ってくれていいんですからね?」

「…………」

「なんで二人して黙るんですかっ!」

 全く、何でこういう時ばっかり息ぴったりなんだ。二人揃って俺から目を逸らしちゃうしさ。俺だって、少しは役に立ちたいのに。

「ふふ、相変わらず仲がよろしいですね」

 青い祭壇の前で、白い浄化の炎が燃え盛っている杯の前で、神様がくすくすと笑みをこぼす。

 緊張感がまるでない。これから神様が魂を捧げるというのに。俺達のこれからを、この国の命運を分ける術を施す目前だというのに。

 でも、まぁ……それはそれで俺達らしいかもしれないな、なんて。

「では、参ります……アオイ、ヨミ様……宜しくお願い致します……」

「はい!」

「ああ、任せるがよい!」

 俺達の全身が淡い緑の光を帯びていく。それに応えるかのよう、魔力の結晶も強い光を放ち始めた。

 繋いだ手が燃えるように熱くなる。かと思えば全身も。まるで血液が煮えたぎっているようだ。

 命が削られるというのは、命をもっていかれるというのは、こんな感じなのか。何か強い引力によって、身体の内側から吸われていくような。骨が、内臓が……潰され。

「っ……く、ぅ……」

「アオイ殿! バアル……っ!」

「あと少しです……あと少しだけ、堪えて下さい……っ!」

 バアルさんの叫びに呼応するように、俺達を眩く照らす緑の輝きが強くなっていく。波のように広がっていく光の帯が、白い炎の輝きすらをも上回って、そして。


「皆、よく頑張りましたね……ありがとう、アオイ、バアル、ヨミ」


 俺達を労う柔らかい声が聞こえて。浄化の炎よりも綺羅びやかな白い輝きが見えて。


「これが……私が愛しい貴方達に出来る最後の贈り物。どうか、受け取って」


 ぷつんと途切れるように俺の視界は、意識は、真っ黒に染まっていった。
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