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初めてバアルさんのこと……悪魔っぽいなって、思ったかも
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引き締まった彼の腕を枕代わりに、すっかり寛いでしまっていた頃。俺の頭を撫でてくれながら、思い出したかのようにバアルさんが呟いた。
「ただ、貴方様の身に害が及ぶなど、私が決して許しませんが」
「確かに……バアルさん、スっゴく強いですもんね。危ないものなんて、全部カッコよく蹴散らしてくれそう」
俺のピンチに颯爽と駆けつけてくれて、いかにもな悪役をスマートに倒していくバアルさん。思い浮かべただけで、表情筋がだらしなく緩んでしまう。
っていうか、ずっと側に居てくれるんだから、そもそもピンチになんか陥らない気が。
「お褒め頂き、誠に光栄に存じます……」
透き通るようなバアルさんの頬が、ほんのり色づいている。
けれどもすぐに収まってしまった。それどころか青白くなっているような。
「申し訳ございませんでした……」
また、思い出したように。それも今度は謝るなんて。
別に、俺……バアルさんから何もされても、言われてもいないけれど。してもらえたのも、言ってもらえたのも……むしろ嬉しいことや、幸せなことばかりなのに。
「えっと、何が……ですか?」
「貴方様に……儀式について、詳しい説明をしておりませんでした。そのせいで、貴方様にいらぬご心配と不安を抱かさせてしまい……申し訳ございません」
「ああ、仕方ないですよ。俺にとっては、とんでもなく長生きでも、バアルさん達にとっては普通のことなんですから。だから、気にしないで」
「いえ、魂の契約につきましては、意図的に黙っておりました」
「へ?」
「この老骨、貴方様に心を奪われた時から、貴方様を永遠に私だけの物にしてしまいたいと欲しておりました故……万が一にも貴方様に断られることのないよう、このようなタイミングで伝える形に……」
えっと……ってことは、もしかして……こんなことになっていなかったら、儀式が終わってから言うつもりだったってこと?
俺が、バアルさんから絶対に逃げられないようにしてから、伝えるつもりだったってことか?
湧き上がる多幸感に心が震える。全身の皮膚までも震えているような錯覚さえ。
「……俺、初めてバアルさんのこと……悪魔っぽいなって、思ったかも」
「……申し訳ございません」
「あっ、良い意味で、ですよ! 滅茶苦茶嬉しいですからね! そんなに俺のこと好きになってくれていたんだなって、分かって」
「後にも先にも、アオイだけでございますよ。たとえ何を失うことになったとしても、手に入れたいと……愛し尽くしたい欲したのは」
言葉を遮った彼の表情からは、すっかり憂いがなくなっていた。一心に見つめてくれる瞳には、むしろ妖しい光が宿っていて。
「ふぇ……」
その眼差しだけでトリコになってしまう。好きって気持ちで満ちあふれてしまう。
いつの間にか、背に回されていた両腕から抱き寄せられ、高い鼻先と触れ合う。宝石よりも美しい緑の瞳が、うっとりと微笑んだ。
「ですから……どうか、お覚悟を。骨の髄……いえ、魂にまで刻みつけて差し上げます。絶えることのない私の愛を、受け取って頂きますので」
「っ……はい……いっぱい、下さい……俺のも、受け取って欲しいです……」
「ええ、恐悦至極に存じます」
ほんの数センチをお互いに詰め、抱き締め合う。伝わってくる心音が、これからも彼と一緒に刻み続けていく音が重なる喜びに、胸が熱くなった。
「ただ、貴方様の身に害が及ぶなど、私が決して許しませんが」
「確かに……バアルさん、スっゴく強いですもんね。危ないものなんて、全部カッコよく蹴散らしてくれそう」
俺のピンチに颯爽と駆けつけてくれて、いかにもな悪役をスマートに倒していくバアルさん。思い浮かべただけで、表情筋がだらしなく緩んでしまう。
っていうか、ずっと側に居てくれるんだから、そもそもピンチになんか陥らない気が。
「お褒め頂き、誠に光栄に存じます……」
透き通るようなバアルさんの頬が、ほんのり色づいている。
けれどもすぐに収まってしまった。それどころか青白くなっているような。
「申し訳ございませんでした……」
また、思い出したように。それも今度は謝るなんて。
別に、俺……バアルさんから何もされても、言われてもいないけれど。してもらえたのも、言ってもらえたのも……むしろ嬉しいことや、幸せなことばかりなのに。
「えっと、何が……ですか?」
「貴方様に……儀式について、詳しい説明をしておりませんでした。そのせいで、貴方様にいらぬご心配と不安を抱かさせてしまい……申し訳ございません」
「ああ、仕方ないですよ。俺にとっては、とんでもなく長生きでも、バアルさん達にとっては普通のことなんですから。だから、気にしないで」
「いえ、魂の契約につきましては、意図的に黙っておりました」
「へ?」
「この老骨、貴方様に心を奪われた時から、貴方様を永遠に私だけの物にしてしまいたいと欲しておりました故……万が一にも貴方様に断られることのないよう、このようなタイミングで伝える形に……」
えっと……ってことは、もしかして……こんなことになっていなかったら、儀式が終わってから言うつもりだったってこと?
俺が、バアルさんから絶対に逃げられないようにしてから、伝えるつもりだったってことか?
湧き上がる多幸感に心が震える。全身の皮膚までも震えているような錯覚さえ。
「……俺、初めてバアルさんのこと……悪魔っぽいなって、思ったかも」
「……申し訳ございません」
「あっ、良い意味で、ですよ! 滅茶苦茶嬉しいですからね! そんなに俺のこと好きになってくれていたんだなって、分かって」
「後にも先にも、アオイだけでございますよ。たとえ何を失うことになったとしても、手に入れたいと……愛し尽くしたい欲したのは」
言葉を遮った彼の表情からは、すっかり憂いがなくなっていた。一心に見つめてくれる瞳には、むしろ妖しい光が宿っていて。
「ふぇ……」
その眼差しだけでトリコになってしまう。好きって気持ちで満ちあふれてしまう。
いつの間にか、背に回されていた両腕から抱き寄せられ、高い鼻先と触れ合う。宝石よりも美しい緑の瞳が、うっとりと微笑んだ。
「ですから……どうか、お覚悟を。骨の髄……いえ、魂にまで刻みつけて差し上げます。絶えることのない私の愛を、受け取って頂きますので」
「っ……はい……いっぱい、下さい……俺のも、受け取って欲しいです……」
「ええ、恐悦至極に存じます」
ほんの数センチをお互いに詰め、抱き締め合う。伝わってくる心音が、これからも彼と一緒に刻み続けていく音が重なる喜びに、胸が熱くなった。
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