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今日のお二人は、とことん息が合うらしい
しおりを挟む 彼と手を繋いでいるグリムさんも、すっかりいつも通り。頬を染め、きゃあきゃあ言いながら俺達を見つめている。
ヨミ様もだ。コウモリの形をした黒い羽をはためかせ、赤い瞳を細めている。他の皆さん方も、微笑ましそうに俺達を見つめていた。
普段の俺ならば、ひっくり返った声を上げ、バアルさんの逞しいお胸に顔を埋め、現実逃避をしてしまうところ。でも今は違う。見られちゃってたっていう恥ずかしさよりも、そういうことかって納得の方が強かったからな。
「ああ、それで! だから皆さん、びっくりして固まっちゃってたんですね」
長く筋肉質な腕が抱えていた俺を丁寧に下ろしてから、肩を抱き寄せてくれる。
「うむ! バアルもアオイ殿も、お互いの魔力の花を身に着けておったからな! 見た瞬間、胸がいっぱいになってしまって、とんだ粗相を……申し訳ない……」
独り言に近い俺の言葉にヨミ様が答えた。その声は、もう震えてなくて、彼らしい威厳に満ちていた。最後の方は、萎んでしまっていたけれど。
上品な会釈に合わせて、腰まで伸ばされた艷やかな黒髪がサラリと揺れる。続くようにグリムさんも「……ごめんなさい」と小さな頭を下げた。
「いえ、そんな頭を上げて下さい……俺、ホントに嬉しかったんですから」
「……誠か?」
「……ホントですか?」
今日のお二人は、とことん息が合うらしい。そんでもって、そっくりだ。おずおずとした声も、心配そうな表情も。
「はい。バアルさんは、ヨミ様やサタン様にとって大事な家族でしょう? なのに……俺によろしくって、言ってもらえたんですから」
「……アオイ殿」
震えるヨミ様の肩を、サタン様が抱き寄せる。忠実な部下であるレダさんとレタリーさんも、お二人に寄り添うように側で控え、微笑んでいた。
目の奥が、じんわりと熱くなっていく。あふれる前に伝えなければ。軽く息を整えてから目線を向けると、今にもこぼれてしまいそうな薄紫色の瞳と目が合った。
「……グリムさんも、俺の方こそです。俺も、グリムさんとクロウさんに立ち会ってもらえて嬉しいですよ。だって、大事な友達ですから」
「……アオイ様」
グリムさんが、小さな手で顔を覆った。静かにしゃがんだクロウさんが、小柄な彼を包み込むように後ろから抱き締める。
今度こそ、限界が近いみたい。
ボヤけかかった視界を晴らそうとして先を越された。細く長い指が、俺の目元を拭ってくれる。
「……バアルさん」
緑の瞳が優しく微笑む。温かい腕が俺を包みこんでくれる。頬を寄せれば伝わってくる心音。トクトクと耳心地のいい音が、少し高鳴って聞こえた。
ヨミ様もだ。コウモリの形をした黒い羽をはためかせ、赤い瞳を細めている。他の皆さん方も、微笑ましそうに俺達を見つめていた。
普段の俺ならば、ひっくり返った声を上げ、バアルさんの逞しいお胸に顔を埋め、現実逃避をしてしまうところ。でも今は違う。見られちゃってたっていう恥ずかしさよりも、そういうことかって納得の方が強かったからな。
「ああ、それで! だから皆さん、びっくりして固まっちゃってたんですね」
長く筋肉質な腕が抱えていた俺を丁寧に下ろしてから、肩を抱き寄せてくれる。
「うむ! バアルもアオイ殿も、お互いの魔力の花を身に着けておったからな! 見た瞬間、胸がいっぱいになってしまって、とんだ粗相を……申し訳ない……」
独り言に近い俺の言葉にヨミ様が答えた。その声は、もう震えてなくて、彼らしい威厳に満ちていた。最後の方は、萎んでしまっていたけれど。
上品な会釈に合わせて、腰まで伸ばされた艷やかな黒髪がサラリと揺れる。続くようにグリムさんも「……ごめんなさい」と小さな頭を下げた。
「いえ、そんな頭を上げて下さい……俺、ホントに嬉しかったんですから」
「……誠か?」
「……ホントですか?」
今日のお二人は、とことん息が合うらしい。そんでもって、そっくりだ。おずおずとした声も、心配そうな表情も。
「はい。バアルさんは、ヨミ様やサタン様にとって大事な家族でしょう? なのに……俺によろしくって、言ってもらえたんですから」
「……アオイ殿」
震えるヨミ様の肩を、サタン様が抱き寄せる。忠実な部下であるレダさんとレタリーさんも、お二人に寄り添うように側で控え、微笑んでいた。
目の奥が、じんわりと熱くなっていく。あふれる前に伝えなければ。軽く息を整えてから目線を向けると、今にもこぼれてしまいそうな薄紫色の瞳と目が合った。
「……グリムさんも、俺の方こそです。俺も、グリムさんとクロウさんに立ち会ってもらえて嬉しいですよ。だって、大事な友達ですから」
「……アオイ様」
グリムさんが、小さな手で顔を覆った。静かにしゃがんだクロウさんが、小柄な彼を包み込むように後ろから抱き締める。
今度こそ、限界が近いみたい。
ボヤけかかった視界を晴らそうとして先を越された。細く長い指が、俺の目元を拭ってくれる。
「……バアルさん」
緑の瞳が優しく微笑む。温かい腕が俺を包みこんでくれる。頬を寄せれば伝わってくる心音。トクトクと耳心地のいい音が、少し高鳴って聞こえた。
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