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細マッチョな先輩と恋人同士になった件(ソレイユルート)

★ 甘えたように見つめられると何も言えなくなってしまう

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 触れてしまう寸前で感じた熱い吐息。まだ受け止めきれていない現実を突きつけてられたような生々しさが、余計に俺の鼓動を騒がしくした。

「ひ、ぅ……」

 俺は大げさなくらいに腰を揺らしてしまっていた。軽く突き出すようにすぼめられた彼の唇が、ちょんっと当たってしまっただけで。逃げられると思われたのか、どこか慌てた様子で長い指が竿の根元へと絡んできた。

 添えられた指先には大した力は入っていない。だが、固定するには十分だった。されるがまま、ただ見つめているだけの俺の顔色を、先輩が窺うように見上げてくる。

 またあの瞳だ。不安を宿しつつも、甘えてくれているような。

「っ……」

 俺は何も言えなかった。分からなかった。何と言っていいのかも。

 ただ息を飲んだだけの俺に、先輩はどこか安心したように瞳を細めた。何事もなかったかのように、軽く握った俺のものへと再び唇を寄せてきた。

 その眉間にシワが寄ることも、柔らかな微笑みが歪むこともない。俺の先端からは、早くも新たな欲がじわりと滲み出てしまっているのに。

「ふ、ん……あっ……んぁ……」

 指先や手のひらで触ってもらっていた時とは全然異なる柔らかな感触。押しつけているような、擦り寄っているような。わざとらしいリップ音を鳴らしながら触れてくれるやり方は、優しいキスを交わしてくれていた時と何ら変わりはない。ないんだけれど。

 してもらっている場所が場所だ。ダメだと思いつつも酷く感じいってしまう。有り得ないのに起こってしまっている光景も相まって。

 あの日を堺に焦がれ続けて、ようやく恋人にしてもらえた俺の憧れ。困っている時や落ち込んでいる時には必ず声をかけてくれて、寄り添ってくれていたソレイユ先輩。

 いつも笑顔をくれる彼は、ありったけの優しさで包みこんでくれる彼は、俺にとっては眩しくて、全てを温かく照らしてくれる太陽のよう。俺なんかじゃあ懸命に背伸びをしなければ振り向いてはもらえない。尊くて、美しい存在だったハズ。なのに。

 ……こんなことをしてもらっちゃいけないのに。俺が先輩にさせてもらうならともかく。

 思ってはいても、止める気にはなれなかった。それどころか見入ってしまっていた。時折、煩わしそうに頬にかかる髪を耳へとかけながら、俺のものへと口づけ続けている先輩。伏せられた長い睫毛は僅かに震え、その白い肌は耳までほんのりと赤く染まっている。

 カッコよくてキレイな先輩と、極力目を逸らしたいあられもない自分の現状。そのコントラストに目眩がしてしまいそう。なんでだろう、急に込み上げてきて。

「っ、も……あっ、ま、待って……先ぱ……あぅ……」

「ゴメンね……もう、待てない……オレが我慢出来ないんだ……」

 口にするだけで、特に抵抗もしないからだろう。さらりと却下され、触れ方が濃密になる。俺を見上げながらニコリと口端を持ち上げたかと思えば、真っ赤な舌を伸ばしてきた。
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