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【番外編】皆とバレンタイン11
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「先輩? 大丈夫ですか?」
「キミってさぁ……簡単にオレの予想の斜め上をいくことをしでかしてくれちゃうよね……」
がくりと肩を落としたまま、小さな声で。
ちょっと照れた顔が見たかっただけなのに……なんでオレの方が………とブツブツぼやいているせいで、何を言っているのかよく聞き取れない。
「あっ、これ、頂きますね? 冷めちゃうといけないんで……」
なんだか擽ったい空気をなんとか変えようと、俺の手を温めるだけになっていたホットチョコに口をつける。
上品なカカオの香りと一緒に広がる甘さ。喉を通る温かさにお腹だけでなく、なんだか胸まで温かくなってくる気がする。
「先輩! これ、甘くてスゴく美味しいです!」
「ホント? 良かった! ……それさ二種類あって、オレのと味違うんだよね。一口もらってもいい?」
「はい! 勿論いいですよ! どうぞ」
ぱっと顔を上げた先輩の表情に、いつもの明るい笑顔が戻っていてホッとする。
俺から容器を受け取った先輩が、何故か口にせずベンチにそっと置いてから俺の肩を再び抱き寄せた。
「……先輩? 飲まないんで……んっ?」
長い指に顎を持ち上げられ、俺の疑問の言葉ごと唇を奪われた。
啄むみたいに何度も優しく口づけられる度に、身体が勝手にびくびく跳ねてしまう。全身から力が抜けていく。
シワになるのも構わずに、先輩の制服を握り締めてしまっていた。クツクツと喉で笑うような声がぼんやり聞こえた気がした。
わざとらしく音を立ててから先輩が離れていく。
ぼやけた視界に映った……妖艶な笑みを浮かべ、見せつけるように赤い舌を覗かせ、唇を嘗める先輩。
艷やかなその表情に、顔にますます熱が集まっていく。何故か身体の奥の方までもが、きゅんっと疼いてしまった。
「……ごちそうさま。美味しかったよ、シュンちゃん」
「……い、いえ……どういたしまして」
まだ息も鼓動も乱れたままの俺に、悪びれもせずに満足げに微笑みながらホットチョコを返してくる。
な、ななな、なんなんだよ、いきなり!? 確かにさっきは残念だなって思ったけどさぁ……
「ねぇ、シュンちゃん。お返しにオレの一口あげようか?」
「え? あ、はい」
頭がぼーっとしていたせいで、何も考えずに返事をしてしまっていた。
してやったり、と不敵な笑みを浮かべた先輩が自分のカップに口をつける。
「あ……違っ、俺、そんなつもりで言ったんじゃ……」
「いーのいーの気にしないで。まだたくさんあるからさ、二人でゆっくり味わおうね?」
意図に気づいたところで、時すでに遅く。嬉しそうに微笑む先輩に抱き締められ、甘いホットチョコをたっぷり味わわされてしまった。
「キミってさぁ……簡単にオレの予想の斜め上をいくことをしでかしてくれちゃうよね……」
がくりと肩を落としたまま、小さな声で。
ちょっと照れた顔が見たかっただけなのに……なんでオレの方が………とブツブツぼやいているせいで、何を言っているのかよく聞き取れない。
「あっ、これ、頂きますね? 冷めちゃうといけないんで……」
なんだか擽ったい空気をなんとか変えようと、俺の手を温めるだけになっていたホットチョコに口をつける。
上品なカカオの香りと一緒に広がる甘さ。喉を通る温かさにお腹だけでなく、なんだか胸まで温かくなってくる気がする。
「先輩! これ、甘くてスゴく美味しいです!」
「ホント? 良かった! ……それさ二種類あって、オレのと味違うんだよね。一口もらってもいい?」
「はい! 勿論いいですよ! どうぞ」
ぱっと顔を上げた先輩の表情に、いつもの明るい笑顔が戻っていてホッとする。
俺から容器を受け取った先輩が、何故か口にせずベンチにそっと置いてから俺の肩を再び抱き寄せた。
「……先輩? 飲まないんで……んっ?」
長い指に顎を持ち上げられ、俺の疑問の言葉ごと唇を奪われた。
啄むみたいに何度も優しく口づけられる度に、身体が勝手にびくびく跳ねてしまう。全身から力が抜けていく。
シワになるのも構わずに、先輩の制服を握り締めてしまっていた。クツクツと喉で笑うような声がぼんやり聞こえた気がした。
わざとらしく音を立ててから先輩が離れていく。
ぼやけた視界に映った……妖艶な笑みを浮かべ、見せつけるように赤い舌を覗かせ、唇を嘗める先輩。
艷やかなその表情に、顔にますます熱が集まっていく。何故か身体の奥の方までもが、きゅんっと疼いてしまった。
「……ごちそうさま。美味しかったよ、シュンちゃん」
「……い、いえ……どういたしまして」
まだ息も鼓動も乱れたままの俺に、悪びれもせずに満足げに微笑みながらホットチョコを返してくる。
な、ななな、なんなんだよ、いきなり!? 確かにさっきは残念だなって思ったけどさぁ……
「ねぇ、シュンちゃん。お返しにオレの一口あげようか?」
「え? あ、はい」
頭がぼーっとしていたせいで、何も考えずに返事をしてしまっていた。
してやったり、と不敵な笑みを浮かべた先輩が自分のカップに口をつける。
「あ……違っ、俺、そんなつもりで言ったんじゃ……」
「いーのいーの気にしないで。まだたくさんあるからさ、二人でゆっくり味わおうね?」
意図に気づいたところで、時すでに遅く。嬉しそうに微笑む先輩に抱き締められ、甘いホットチョコをたっぷり味わわされてしまった。
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