【完結】気が付いたらマッチョなblゲーの主人公になっていた件

白井のわ

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ついに、幼なじみが俺の部屋にやって来たんだが?

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「とりあえず……これだけ片付いていれば大丈夫かな?」

 今朝、出しっぱなしだった食器類を流し台に、脱ぎ散らかしていた服はクローゼットに押し込んだ。

 ひと通り掃除機をかけてから、押し入れから折り畳み式のローテーブルを引っ張り出し、広げる。座布団代わりのクッションを二つ、テーブルの対面にそれぞれ置いて……完成だ。

 これで、推しをお招きしても恥ずかしくない部屋になっただろう。

「それにしてもダンは遅いな……準備するものがあるって言ってたけど、何だろう?」

 今朝の約束通り放課後、俺の部屋でテスト勉強をすることになった俺達は、授業が終わると直ぐに寮へと向かった。

 だが、寮の前に着くなりダンが……準備したいものがあるから先に部屋で待っててくれ! と俺の返事も聞かない内に走っていってしまったのだ。

 まぁ……俺自身もダンが来る前に部屋の片付けを済ませておきたかったから、丁度良かったのだが。

 まだ、来る気配がないけれど……先に、飲み物の用意でもしておくか? 冷蔵庫に何か……ジュースとかあったかな?

 掃除機を片付けてから、冷蔵庫の中身を確認しに台所へと向かう。その時だ玄関のチャイムが来客を知らせてきたのは。

「悪い、待たせたな! 色々仕入れてたら遅くなっちまった」

「いや、全然。俺も今、片付けが済んだところで……」

 言葉通り、ダンの両手は近くのスーパーのビニール袋でふさがっていた。お菓子を買ってきたにしてはあまりにも量が多すぎる。

 一体全体何を買えばこんなに……いやいや、とにかく迎え入れるのが先だろう。推しをいつまでも玄関で突っ立たせている訳にはいかないからな。

「あー……えっと、どうぞ」

「おう、お邪魔するぜ! とりあえず、冷蔵庫借りてもいいか? 食材が傷んじまうといけないからな」

 鍛え上げられた逞しい足がノシノシと俺の横をすり抜け、台所へと真っ直ぐに進んでいく。鍵をかけてから、広く大きな背中を追った。

「そりゃあ良いけど……食材って……まさか、料理でもするのか?」

「決まってるだろ。夕食だよ夕食! それに、どうせシュンのことだからコンビニで適当に済ませてんだろ?」

「うぐっ」

 図星だ。幼なじみって凄い。顔だけで振り返り、真っ赤な瞳をじとりと細めていたダンが、やっぱりな、と白い歯を見せ笑う。

 冷蔵庫へと視線を戻し、食材を次から次へと手早く収め始めた。随分と手慣れていらっしゃる。

 その間もなにやらぶつくさと……ホンっと俺が居ないとダメだよなぁー相棒は、と呟いていた。何となく楽しそうなのは気のせいだろう。
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