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皆に会えたから

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 真っ赤に腫れた目元が再び涙で濡れていく。

 壊れた蛇口みたいに後から後から流れ出して止まりそうにない。

「……全然気にしてないって言ったら嘘になるけどさ、俺もライに感謝してるよ」

 訳が分からないって感じの顔してるな。まぁ、確かに……この世界で生きていくことに戸惑ったり、不安を覚えた時もあったけど。

 真っ直ぐに見つめてくる滲んだ茶色。俺は出来るだけゆっくり、優しい声でライに語りかけた。

「俺、今スゴく幸せなんだ。俺のことを大切に思ってくれている、大好きな人達に出会えて……この世界に来て良かったって思ってるんだ。だから、俺を喚んでくれてありがとう、ライ」

 大きく見開いた瞳から、透明な熱がボロボロとこぼれていく。

「シュン……許してくれるの? 僕のこと、嫌いにならない?」

「大事な友達のこと、嫌いになるわけないだろ? 好きだよ、ライ」

「っ……僕もっ……僕もシュンのこと好き、大好き……ずっと友達でいてくれる?」

 頷き、微笑みかけた瞬間、花が咲くような笑顔が浮かんだ。

 勢いよく飛びついてきた華奢な身体を抱き止める。俺達はしばらくの間、互いの存在を確かめ合うように抱き合っていた。



「召喚した理由は分かったけどさ、夢の中じゃないといけなかった理由はなんだったんだ? 入院してたってのは……多分、嘘なんだろ?」

 ライは少し驚いた顔をした後、申し訳なさそうに眉を下げた。

「うん……ごめんね。それから僕の記憶が無くなるのも嘘なんだ。僕は術者だからね」

「あー……それでライはここで会う時、いつも俺のことを覚えてくれていたんだな」

 俺と違っていつも冷静だったのも、ここがどういう場所かって分かってたからなんだな。

 納得した俺に、ライがぽつぽつと話し始める。

「実は、会いたくても会えなかったんだ……君を喚んだ代償で、次元の狭間に閉じ込められちゃって。幸い君がここで生活できる準備は整えておいたから、不自由はなかったと思うけど」

 俺の入学や生活費等の準備をしておいてくれたのはライだったのか。

 それにしても次元の狭間って何なんだ? まさか……

「し、死んだわけじゃないんだよな!?」

 慌ててライの肩を掴んでしまった俺の手に、ライは微笑みながら手を重ね、微笑む。

「うん、大丈夫。だから夢の世界で会うしかなかったんだ。ここは僕が居る所と一緒で現実との境が曖昧になってるから」

「似ている空間だから来れたってことか?」

「多分。詳しい理屈は僕もよく分かっていないんだけど」

 その辺りはセレストさんに聞いた方がいいかもな。禁術の専門家なら、何か分かるかも……

「でも、まさかその代償で君をここに閉じ込めちゃうなんて……本当にごめんね、シュン」
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