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相変わらず幼なじみの距離感がバグってんだが?

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「あー……やっと終わったー」

 実力テストを無事に終え、俺は机に突っ伏した。運が良いことに、座学の方は昨日ダンと山を張っていたところが出たので割りと楽だった。

 実技は先生や皆の前で披露することもあってかなり緊張したが、特訓の成果もあり何とか課題を達成出来た。ホント、ダン先生様々だ。

 今回の事で分かったことだが、魔力の光は白色が普通らしい。努力して、白から別の色へと変わることも希にあるらしい。が、基本的には生まれつき魔術の才能に優れた者のみが、自分の瞳と同じ魔力の光を宿すという。

 まぁ、要するに。赤い光を灯せたダンは天才ということだ。現に、俺のクラスは俺も含めてダン以外皆見事に真っ白だったしな。やっぱり俺の推しはスゴい!

 ダンが赤い光を灯した時の皆の驚く様を思い出すと、まるで自分の事のように嬉しくなって思わず顔がにやけてしまう。

「お疲れ、相棒! どうした? 何か良いことでもあったか?」

 噂をすれば何とやら、ダンがいつものように俺を後ろから抱きしめる形で覆い被さってきた。

 相変わらず距離感がバグっていらっしゃる。俺の肩にちょこんと顎を乗せてから、顔を覗き込んできた。弾力のある分厚い胸板が背中にムチっと当たり、健康的な色をした柔らかい頬がムニっと寄せられる。

 推しからのスキンシップだ。嬉しくない訳がない。けれども、緊張はする。多少慣れてきたとはいえ至近距離に推しのカッコいいご尊顔があるんだからな。俺は悪くない。推しの顔が良すぎるのが悪いんだ。

「あー……いや、き、昨日一緒に山張ったところがテストで出たからさ。ダンのおかげで実技も何とかなったし……ありがとう、助かったよ」

「俺の方こそ助かったぜ! シュンの役に立てて良かった。んで、この後どうすんだ? 何も用事無いんだったら一緒に帰ろうぜ」

 今日は……もう、特にこれといった予定はないな。先輩に剣術を教えてもらうのは明日の放課後だし。

 俺が了解の返事をしようとしたその時、ピロンと音を立てて俺の端末にメッセージが届いた。ダンに待っていてもらい、メッセージを確認する。

 先生からだ! 時間があれば今から美術準備室に来てほしい、と書いてある。多分、以前に頼まれた絵のモデルに関することだろう。

「ごめんダン……俺、急用が出来ちゃった」
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