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いくら俺のことを意識してないからって、幼なじみが無防備過ぎるんだが?
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……見てしまった。ちらっとだけだけど、生の雄っぱいを、彫刻みたいに盛り上がったカッコいい筋肉を、綺麗に割れた腹筋を、色っぽい足の付け根のV字なラインを。
全身が心臓になったみたいだ。バクバクと脈打っている。顔から火が出そうだ。
こ、こういう時は深呼吸だ。落ち着け、落ち着け……俺。
「おいおい、別に今さら気にすんなよ……って大丈夫か? 顔、真っ赤だぞ?」
扉の側でひーふー呼吸を繰り返していた俺の背中を、ダンが優しく撫でてくれる。嬉しさのあまり顔を向けたのは、間違いだった。
「だ、大丈夫です……」
全っ然、大丈夫じゃない。
何で上、黒のタンクトップだけなんだよ! 汗で張り付いて浮き出ちゃってるだろうが! 雄っぱいが!
くそっ……何かさっきより色っぽいな! ありがとうございます!
「じゃ、じゃあ、次、俺入るよ。ドライヤーそこにあるからさ、後で使ってくれ」
「おう……分かったぜ」
ダンは釈然としない表情をしていたが、それに構っている余裕は俺にはない。ドアを閉め、脱いだ服をかごに向かって投げ捨てる。逃げるみたいに俺は浴室に飛び込んだ。
全身をボディソープで洗ってから、冷たいシャワーを頭から浴び、一気に流す。
頭が冷えたおかげだろう。やっと俺は落ち着きを取り戻すことができた。いやいや、ホントに心臓に悪い。滅茶苦茶、眼福ではあったけどさ。
シャンプーを泡立てて髪を洗っていると風呂場からドライヤーの音がしてきた。
……今、向こうにダンが居るんだ。
またしても、顔がぼぼぼっと火照ってしまう。この扉一枚隔てた先に、推しが居ることを意識してしまったせいだ。
……もう一回、冷静になるか……
再び、冷水で頭を冷やしているとドライヤーの音が止む。しばらくしてから扉の閉まる音がした。
ホッと胸を撫で下ろし、シャワーを止め浴槽へと身体を沈める。少し冷たくなった身体に温かいお湯が気持ち良い。
……それにしても、ダンは無防備過ぎるな。いくら幼なじみだからといって、気を許しすぎじゃないか? 時々距離感おかしいし。
……そう言えば、先輩や先生の態度もなんかおかしかった気がするな。まるで、最初から俺への好感度が高めに設定されているみたいな……いやいや、そんなまさかな。
……これ以上浸かってると、また変なことを考えだしそうだ。逆上せない内にさっさと上がろう。
浴室から出てバスタオルで身体を拭く。下着を身に付けパジャマ替わりのTシャツを着てから、ハーフパンツを履いた。
なんか疲れたな……髪の毛乾かすの、面倒だな……まぁ、短いし。ほっとけば乾くだろ。
風呂場を出て部屋に入ると、いつものツンツン髪に戻ったダンから、ほいっ、と冷たい麦茶を手渡される。お礼を言ってからそれを受け取り、一気に飲み干した。
「あー……生き返った。風呂上がりの麦茶美味いわ」
「だな! それはそうと相棒……髪、まだ濡れてんぞ。風邪引いたらどうすんだ」
「あー……これは、その……」
呆れたような顔をしたダンが、自分の首にかけていたタオルで俺の髪をわしゃわしゃと拭き始める。
「どーせすぐ乾くからいいや、とか考えてんだろ? ホントしょーがねぇなあ、シュンは」
ズバリ言い当てられてぐうの音も出ない。抵抗しても仕方がないので、大人しくご厚意に甘えてしまおう。
「……ごめんなさい、ありがとうございます……」
「おう」
結局、ドライヤーまでしっかりかけてもらってしまった。その後、俺達は一緒に歯を磨いてから明日の準備を済ませた。
全身が心臓になったみたいだ。バクバクと脈打っている。顔から火が出そうだ。
こ、こういう時は深呼吸だ。落ち着け、落ち着け……俺。
「おいおい、別に今さら気にすんなよ……って大丈夫か? 顔、真っ赤だぞ?」
扉の側でひーふー呼吸を繰り返していた俺の背中を、ダンが優しく撫でてくれる。嬉しさのあまり顔を向けたのは、間違いだった。
「だ、大丈夫です……」
全っ然、大丈夫じゃない。
何で上、黒のタンクトップだけなんだよ! 汗で張り付いて浮き出ちゃってるだろうが! 雄っぱいが!
くそっ……何かさっきより色っぽいな! ありがとうございます!
「じゃ、じゃあ、次、俺入るよ。ドライヤーそこにあるからさ、後で使ってくれ」
「おう……分かったぜ」
ダンは釈然としない表情をしていたが、それに構っている余裕は俺にはない。ドアを閉め、脱いだ服をかごに向かって投げ捨てる。逃げるみたいに俺は浴室に飛び込んだ。
全身をボディソープで洗ってから、冷たいシャワーを頭から浴び、一気に流す。
頭が冷えたおかげだろう。やっと俺は落ち着きを取り戻すことができた。いやいや、ホントに心臓に悪い。滅茶苦茶、眼福ではあったけどさ。
シャンプーを泡立てて髪を洗っていると風呂場からドライヤーの音がしてきた。
……今、向こうにダンが居るんだ。
またしても、顔がぼぼぼっと火照ってしまう。この扉一枚隔てた先に、推しが居ることを意識してしまったせいだ。
……もう一回、冷静になるか……
再び、冷水で頭を冷やしているとドライヤーの音が止む。しばらくしてから扉の閉まる音がした。
ホッと胸を撫で下ろし、シャワーを止め浴槽へと身体を沈める。少し冷たくなった身体に温かいお湯が気持ち良い。
……それにしても、ダンは無防備過ぎるな。いくら幼なじみだからといって、気を許しすぎじゃないか? 時々距離感おかしいし。
……そう言えば、先輩や先生の態度もなんかおかしかった気がするな。まるで、最初から俺への好感度が高めに設定されているみたいな……いやいや、そんなまさかな。
……これ以上浸かってると、また変なことを考えだしそうだ。逆上せない内にさっさと上がろう。
浴室から出てバスタオルで身体を拭く。下着を身に付けパジャマ替わりのTシャツを着てから、ハーフパンツを履いた。
なんか疲れたな……髪の毛乾かすの、面倒だな……まぁ、短いし。ほっとけば乾くだろ。
風呂場を出て部屋に入ると、いつものツンツン髪に戻ったダンから、ほいっ、と冷たい麦茶を手渡される。お礼を言ってからそれを受け取り、一気に飲み干した。
「あー……生き返った。風呂上がりの麦茶美味いわ」
「だな! それはそうと相棒……髪、まだ濡れてんぞ。風邪引いたらどうすんだ」
「あー……これは、その……」
呆れたような顔をしたダンが、自分の首にかけていたタオルで俺の髪をわしゃわしゃと拭き始める。
「どーせすぐ乾くからいいや、とか考えてんだろ? ホントしょーがねぇなあ、シュンは」
ズバリ言い当てられてぐうの音も出ない。抵抗しても仕方がないので、大人しくご厚意に甘えてしまおう。
「……ごめんなさい、ありがとうございます……」
「おう」
結局、ドライヤーまでしっかりかけてもらってしまった。その後、俺達は一緒に歯を磨いてから明日の準備を済ませた。
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