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semper crescis aut decrescis;(汝は常に満ち欠けを繰り返す)
シリウスの騎士
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4:月琴御殿の宴にて
「マダム、お手紙でございます。差出人はジョセフ・ベルトラン元帥です」
ここはアドリエンヌの屋敷。ローズピンクを基調とした、アラベスク模様の上品な調度品に囲まれてはいるものの、至って慎ましく人気女優に相応しい豪邸とは言い難い。少なくとも豪商の娘で、宏大な白薔薇の庭園つきの屋敷を持つジャンヌとは比ぶべくもない。ジャンヌの薔薇庭園は、この国の男女を問わずの関心事のひとつだった。無論、一般庶民が拝謁することは叶わず、庭師も住み込みなので秘密の花園は沈黙を守っている。唯一、ジャンヌの熱烈な信奉者である貴族令嬢だけは出入りを許されているようだが、令嬢がはしたなく下賎なお喋りに興じるはずもない。人々の関心の的でありながら、姿を見せない白薔薇庭園─それはジャンヌの神秘性を際立たせていた。
一方のアディは、元はと言えば孤児である。美貌や能力は勿論のこと、どのような身分の相手であれ気さくに接し、詩を朗じて安らぎを齎すことを自分の使命と考えているのだ。その献身的とも言える情熱が、彼女をプリマドンナの地位に押し上げたと言って差し支えないだろう。
美しくも慈愛に満ちた情熱的な紅薔薇。
美しくも凛とした唯美主義の白薔薇。
─劇団「コメディ・ラ・ロズレ」の二枚看板の女優が揃う。そして、紅薔薇が身も心も捧げた眉目秀麗な騎士も。世間の噂にならない方がどうかしている。
女中から渡された招待状を一読し、彼女はふうっと嘆息する。無論、招待されるのは3人だけではない。他にも有力貴族や軍のお偉方が来るはずだ。愛するエクトールの為にも、ここは一番着飾らねばならない。
「エクトール…」
由緒ある貴族の家柄であれば、孤児上がりの女優が一門に加わるなど以ての外だ。エクトールはその為に、今後の戦いに於いて前線行きを切望していると言う。前線─戦死しても認識票が戻るだけだと言うのに。
アディは宴で、前線行きを止めるよう説得するつもりだった。2人で他の方法を考えようと。
だが、彼女は甘かった。
─宴の当日。
石畳に響くカラカラとした馬車の音。奇怪な異国風の屋敷に、次々と華やかなドレスの女やいくつもの勲章をつけた軍装の男たちがやってくる。
「変わった建物だな。これは元帥が?」
「いや、愛妾の月香が元々住んでいたそうだぞ」
「ほう…。歌妓になる前はどんな職についていたのやら」
口さがない下級軍人たちは元帥やエクトールのような騎士の護衛だ。アディはそんな軍人たちを横目に馬車から降りると、幾重にも深紅のシフォンが重なった、さながら薔薇の花弁に覆われたようなコルセットドレスの裾を優雅に引き摺り寵姫の館─月琴御殿へと歩を進める。
その時、彼女のすぐ傍に一台の馬車が止まった。そこから顔を出した人物を見ると、たちまちアディの表情が緩む。
「ジャンヌ! 貴女と2人で宴に参加だなんて嬉しいわ」
そう屈託のない笑いを浮かべ、ジャンヌが馬車から降りる手伝いをしようと、近づいて手を伸ばす。─そこで、ジャンヌが妙に頬を紅潮させているのに気づき、少し首を傾げる。ジャンヌは軽く「そうね」と言ったきり、先に行ってとアディのエスコートを断った。やや引っかかるものを感じながらも、月琴御殿の中に足を踏み入れる─そこはまるで御伽の国だった。絵画でしか見た事のない異国の調度品に、脳が甘く痺れるような香が強く匂う。そしてどこか哀愁を感じさせる弦楽器の旋律。まるで、異国に連れてこられて啜り泣く女のような─
月香が楽器の名手であることは耳にしていたので、てっきり彼女が弾いているのかと旋律の聞こえる方へ目を向けたアディは、その異様な光景に一瞬、死者に睨まれたような悪寒を覚えた。
そこには、1メートルほどの人型の傀儡が紫檀の椅子に腰掛け楽器を奏でていたのだった。衣服の類はなく顔はのっぺりしており、特に人に似せようと考えてはいないようだ。だが、その木製の手指は器用に動き、跳ね、詠嘆しているのだ。
「ようこそおいでくださいました。アドリエンヌ嬢。私は元帥のジョセフ・ベルトランです」
太く灼けた男の声に、びくりとしてそちらを見ると、堂々たる元帥の礼服に身を包んだ野卑な男が、好色さを隠さずに彼女を見つめていた。
「我が友、ベルトラン元帥閣下」アディは相手の舐めるような視線をものともせず、尊敬をもってカーテシーで応える。「今宵はお招きにあずかり、感謝致しますわ。私も及ばずながら元帥閣下のおん為、必要とあらば詩を皆様に届けに馳せ参じる心算でございます」
「ああ、貴女のお働きは我が軍の士気に大いに関わりますからな。皆、貴女の美貌と美声に酔いしれ、明日への希望と勇気を繋ぐ…ロアン伯の家名も上がる一方だ」
「嫌ですわ、閣下。エクトール様に私のような賎しい出自の者は相応しくありません。彼のような高潔な騎士は、常に閣下のお側にあり御身をお守りすることが、最高の栄誉でありましょう」
すると、ジョセフの表情がだらしなく脂下がる。元々精悍さとは無縁の、野卑と好色さを宿した顔が女優の社交辞令を真に受け、今や涎を垂らさんばかりだ。その前で上品で柔らかな微笑みを崩さないのは、女優とはいえなかなかの苦行だった。
「騎士、シリウス殿のご到着です!」
その時、屋敷の使者が新たな客の到来を告げ、ジョセフとの会話を最小限にしたかったアディはほっと胸を撫で下ろした。騎士シリウス…エクトールの同僚だろうか? それならば挨拶をしなければならぬだろう。
「シリウス様、ですの? 私は初めて聞くお名前ですが…」ちらとジョセフを見遣り訊ねるものの、彼も首を横に振っている。今回の争乱には、他国の義勇兵も少数ながら参加していることは知っている。ジョセフが知らないのなら、恐らく外国人だろう。だが、せっかくジョセフから離れる口実が出来たのだ。この好機を生かさぬ手はない、とばかりに騎士様にもご挨拶を、と丁重に言いおいて素早くその場から離れた。
「おや、貴女はもしや…女優のアドリエンヌ嬢ではありませんか?」
アディのかなり上の方から、重々しくも艶のあるバリトンが投げかけられ、はっと視線を上げると、30代半ばだろうか、白い礼服に深紅のベルトを肩から掛けた、やや灼けた肌に冷徹さと精悍さを湛えた灰褐色の目が印象的な長身の男が彼女を見下ろしていた。
「ええ、そうですわ。私はアドリエンヌ・クレール。ところで、あなたのお名前も教えてくださるかしら?」
「これは失礼を」
男は一瞬だけ目元を赤らめた。自分から名乗らなかった非礼を恥じたのだろう。声音を和らげると改めて、アディに敬礼し片膝をつく。
「騎士シリウスと申します。貴国の救援に及ばずながら手を尽くす次第です。どうぞ、我らにも女神の祝福を」
この人がシリウス…思った通り、外国の軍人のようだ。押し出しはジョセフより遥かに立派だから、さぞや名のある騎士なのだろう。
「ええ、騎士シリウス様。あなたに全能の神の祝福があらんことを」
女神と称されようが、アディの神はあくまでも全能の神ただ一人だ。その神の下僕として、アディは片膝をついた逞しい男に白い手を与え接吻を許す。それを見た周囲の男女が「絵になるな」「そうね、一体どこの騎士かしら…」「あら、エクトール様の方が好男子よ」と囁き合うのを尻目に、アディは「それではご機嫌よう」と愛するエクトールを探すため、宴の雑踏へと消えていく。─シリウスの鋭い目が自分の背をずっと凝視していることなど露知らずに。
「シリウス? 天狼星よね。あれはとんだ疫病神」
宴の女主人、月香はまだ自室にいた。招待した全員が集まるまで、姿は見せない。女神たるもの当然のことであった。
「天狼星」…古くから病気や災害を引き起こす凶星だ。その凶星を名乗る男が宴にいると小間使いから知らせを受け、彼女は考え込んだ。
(勿論、シリウスなんて名前の騎士を招いた覚えはない。どうもきな臭いわ…「彼女」に相談する必要がありそうね)
そう結論付けると、彼女は鏡に向かい赤すぎる紅を唇に引く。
そろそろ、エクトールがやって来る。女主人自ら歓待しなくてはならないだろう。彼は「大切な人」なのだから─
階下のざわめきに乗せて「ロアン伯エクトール様がご到着です!」の声が聞こえると、月香の血塗られたように赤い唇から、異様に長い舌が現れる。まるで、食餌を待つ蛇のように。いや、生贄を待ち構える女神のように。
「マダム、お手紙でございます。差出人はジョセフ・ベルトラン元帥です」
ここはアドリエンヌの屋敷。ローズピンクを基調とした、アラベスク模様の上品な調度品に囲まれてはいるものの、至って慎ましく人気女優に相応しい豪邸とは言い難い。少なくとも豪商の娘で、宏大な白薔薇の庭園つきの屋敷を持つジャンヌとは比ぶべくもない。ジャンヌの薔薇庭園は、この国の男女を問わずの関心事のひとつだった。無論、一般庶民が拝謁することは叶わず、庭師も住み込みなので秘密の花園は沈黙を守っている。唯一、ジャンヌの熱烈な信奉者である貴族令嬢だけは出入りを許されているようだが、令嬢がはしたなく下賎なお喋りに興じるはずもない。人々の関心の的でありながら、姿を見せない白薔薇庭園─それはジャンヌの神秘性を際立たせていた。
一方のアディは、元はと言えば孤児である。美貌や能力は勿論のこと、どのような身分の相手であれ気さくに接し、詩を朗じて安らぎを齎すことを自分の使命と考えているのだ。その献身的とも言える情熱が、彼女をプリマドンナの地位に押し上げたと言って差し支えないだろう。
美しくも慈愛に満ちた情熱的な紅薔薇。
美しくも凛とした唯美主義の白薔薇。
─劇団「コメディ・ラ・ロズレ」の二枚看板の女優が揃う。そして、紅薔薇が身も心も捧げた眉目秀麗な騎士も。世間の噂にならない方がどうかしている。
女中から渡された招待状を一読し、彼女はふうっと嘆息する。無論、招待されるのは3人だけではない。他にも有力貴族や軍のお偉方が来るはずだ。愛するエクトールの為にも、ここは一番着飾らねばならない。
「エクトール…」
由緒ある貴族の家柄であれば、孤児上がりの女優が一門に加わるなど以ての外だ。エクトールはその為に、今後の戦いに於いて前線行きを切望していると言う。前線─戦死しても認識票が戻るだけだと言うのに。
アディは宴で、前線行きを止めるよう説得するつもりだった。2人で他の方法を考えようと。
だが、彼女は甘かった。
─宴の当日。
石畳に響くカラカラとした馬車の音。奇怪な異国風の屋敷に、次々と華やかなドレスの女やいくつもの勲章をつけた軍装の男たちがやってくる。
「変わった建物だな。これは元帥が?」
「いや、愛妾の月香が元々住んでいたそうだぞ」
「ほう…。歌妓になる前はどんな職についていたのやら」
口さがない下級軍人たちは元帥やエクトールのような騎士の護衛だ。アディはそんな軍人たちを横目に馬車から降りると、幾重にも深紅のシフォンが重なった、さながら薔薇の花弁に覆われたようなコルセットドレスの裾を優雅に引き摺り寵姫の館─月琴御殿へと歩を進める。
その時、彼女のすぐ傍に一台の馬車が止まった。そこから顔を出した人物を見ると、たちまちアディの表情が緩む。
「ジャンヌ! 貴女と2人で宴に参加だなんて嬉しいわ」
そう屈託のない笑いを浮かべ、ジャンヌが馬車から降りる手伝いをしようと、近づいて手を伸ばす。─そこで、ジャンヌが妙に頬を紅潮させているのに気づき、少し首を傾げる。ジャンヌは軽く「そうね」と言ったきり、先に行ってとアディのエスコートを断った。やや引っかかるものを感じながらも、月琴御殿の中に足を踏み入れる─そこはまるで御伽の国だった。絵画でしか見た事のない異国の調度品に、脳が甘く痺れるような香が強く匂う。そしてどこか哀愁を感じさせる弦楽器の旋律。まるで、異国に連れてこられて啜り泣く女のような─
月香が楽器の名手であることは耳にしていたので、てっきり彼女が弾いているのかと旋律の聞こえる方へ目を向けたアディは、その異様な光景に一瞬、死者に睨まれたような悪寒を覚えた。
そこには、1メートルほどの人型の傀儡が紫檀の椅子に腰掛け楽器を奏でていたのだった。衣服の類はなく顔はのっぺりしており、特に人に似せようと考えてはいないようだ。だが、その木製の手指は器用に動き、跳ね、詠嘆しているのだ。
「ようこそおいでくださいました。アドリエンヌ嬢。私は元帥のジョセフ・ベルトランです」
太く灼けた男の声に、びくりとしてそちらを見ると、堂々たる元帥の礼服に身を包んだ野卑な男が、好色さを隠さずに彼女を見つめていた。
「我が友、ベルトラン元帥閣下」アディは相手の舐めるような視線をものともせず、尊敬をもってカーテシーで応える。「今宵はお招きにあずかり、感謝致しますわ。私も及ばずながら元帥閣下のおん為、必要とあらば詩を皆様に届けに馳せ参じる心算でございます」
「ああ、貴女のお働きは我が軍の士気に大いに関わりますからな。皆、貴女の美貌と美声に酔いしれ、明日への希望と勇気を繋ぐ…ロアン伯の家名も上がる一方だ」
「嫌ですわ、閣下。エクトール様に私のような賎しい出自の者は相応しくありません。彼のような高潔な騎士は、常に閣下のお側にあり御身をお守りすることが、最高の栄誉でありましょう」
すると、ジョセフの表情がだらしなく脂下がる。元々精悍さとは無縁の、野卑と好色さを宿した顔が女優の社交辞令を真に受け、今や涎を垂らさんばかりだ。その前で上品で柔らかな微笑みを崩さないのは、女優とはいえなかなかの苦行だった。
「騎士、シリウス殿のご到着です!」
その時、屋敷の使者が新たな客の到来を告げ、ジョセフとの会話を最小限にしたかったアディはほっと胸を撫で下ろした。騎士シリウス…エクトールの同僚だろうか? それならば挨拶をしなければならぬだろう。
「シリウス様、ですの? 私は初めて聞くお名前ですが…」ちらとジョセフを見遣り訊ねるものの、彼も首を横に振っている。今回の争乱には、他国の義勇兵も少数ながら参加していることは知っている。ジョセフが知らないのなら、恐らく外国人だろう。だが、せっかくジョセフから離れる口実が出来たのだ。この好機を生かさぬ手はない、とばかりに騎士様にもご挨拶を、と丁重に言いおいて素早くその場から離れた。
「おや、貴女はもしや…女優のアドリエンヌ嬢ではありませんか?」
アディのかなり上の方から、重々しくも艶のあるバリトンが投げかけられ、はっと視線を上げると、30代半ばだろうか、白い礼服に深紅のベルトを肩から掛けた、やや灼けた肌に冷徹さと精悍さを湛えた灰褐色の目が印象的な長身の男が彼女を見下ろしていた。
「ええ、そうですわ。私はアドリエンヌ・クレール。ところで、あなたのお名前も教えてくださるかしら?」
「これは失礼を」
男は一瞬だけ目元を赤らめた。自分から名乗らなかった非礼を恥じたのだろう。声音を和らげると改めて、アディに敬礼し片膝をつく。
「騎士シリウスと申します。貴国の救援に及ばずながら手を尽くす次第です。どうぞ、我らにも女神の祝福を」
この人がシリウス…思った通り、外国の軍人のようだ。押し出しはジョセフより遥かに立派だから、さぞや名のある騎士なのだろう。
「ええ、騎士シリウス様。あなたに全能の神の祝福があらんことを」
女神と称されようが、アディの神はあくまでも全能の神ただ一人だ。その神の下僕として、アディは片膝をついた逞しい男に白い手を与え接吻を許す。それを見た周囲の男女が「絵になるな」「そうね、一体どこの騎士かしら…」「あら、エクトール様の方が好男子よ」と囁き合うのを尻目に、アディは「それではご機嫌よう」と愛するエクトールを探すため、宴の雑踏へと消えていく。─シリウスの鋭い目が自分の背をずっと凝視していることなど露知らずに。
「シリウス? 天狼星よね。あれはとんだ疫病神」
宴の女主人、月香はまだ自室にいた。招待した全員が集まるまで、姿は見せない。女神たるもの当然のことであった。
「天狼星」…古くから病気や災害を引き起こす凶星だ。その凶星を名乗る男が宴にいると小間使いから知らせを受け、彼女は考え込んだ。
(勿論、シリウスなんて名前の騎士を招いた覚えはない。どうもきな臭いわ…「彼女」に相談する必要がありそうね)
そう結論付けると、彼女は鏡に向かい赤すぎる紅を唇に引く。
そろそろ、エクトールがやって来る。女主人自ら歓待しなくてはならないだろう。彼は「大切な人」なのだから─
階下のざわめきに乗せて「ロアン伯エクトール様がご到着です!」の声が聞こえると、月香の血塗られたように赤い唇から、異様に長い舌が現れる。まるで、食餌を待つ蛇のように。いや、生贄を待ち構える女神のように。
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