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白薔薇の甘い蜜
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ジャンヌ・ピレーシュが白薔薇の香る庭園で、優雅に珈琲を啜っていると「マドモワゼル、よろしいですか?」と女中のリーザが困惑したような表情を浮かべてやってきた。
「どうかしたの?」
ジャンヌはカップをソーサーに置いて訊ねる。
「はい、あの・・・マティルデ様がお見えです」
その名前を聞いて、ジャンヌは眉を顰めた。
(またマティルデね・・・熱心だこと。どうしたものかしら)
マティルデは、ジャンヌがセコンダ・ドンナを務める劇団の新人女優ヴィヴィアナの姉だが、よりにもよって姉妹両方からジャンヌは慕われているのだ―無論『そう言う意味で』である。
残念ながらジャンヌにはそのような趣味はなかったが、今まで恋人と呼べる男性のひとりもいない彼女にとって、姉妹の恋慕の情はどこか心を落ち着かなくさせるのだった。
特にマティルデは熱心で、いつもジャンヌの邸に来ては珍しいお土産を持ってくる。彼女らの家は貴族の家柄なので、上品で洗練されたものばかりだ。しかし、実家が豪商のジャンヌにとってはあまり興味を惹かれるものはなかったが。
「仕方ないわね、断るのもあとあと禍根を残しそうだから通してちょうだい」
ため息とともにジャンヌはリーザに命ずる。
「畏まりました」
リーザが消えてからほどなくして、マティルデがリーザに大きめのハンドバッグを持たせて、庭園までやってきた。
「ジャンヌ嬢! お会いしたかったわ!」
マティルデは満面の笑みでリーザからハンドバッグを受け取り、ジャンヌの対面に勝手に腰を下ろす。
「久しぶりですこと。今日はどんなご用件かしら?」
ジャンヌも女優である。にこやかに微笑んでマティルデを見る。
「今日はぜひこの素敵な庭園を、ジャンヌ嬢に案内していただこうと思って」
「そうですの。まあ、構いませんわよ。それじゃ、うちの園丁にも声をかけて詳しく説明させるわ」
二人きりではどうも気まずいので、ジャンヌはそう提案した。
「いいえ、ジャンヌ嬢」
マティルデがどこか妖しげな眼差しで「二人で散策したいのですが、駄目かしら?」と熱っぽくジャンヌの目を覗きこむ。
(はあ、すぐにこれだわ。でも断る理由もないし・・・)
仕方なく「ではご案内するわ」と立ち上がる。そこへちょうどリーザがマティルデ用の珈琲を持ってきたのだが「そこに置いておいてくださる?」とマティルデはそっけなく突き放す。
「ああ、それから貴女。この庭園には誰も立ち入らせないようにして頂戴」
マティルデの言葉にいささか鼻白んだジャンヌだが、それでは参りましょうという声をきっかけに、広い庭園を二人でそぞろ歩き始めるのだった。
「これは実に見事な白薔薇の花・・・まるでジャンヌ嬢そのものですわ。清らかで美しく誇り高く、下賤な者が手を伸ばそうとすると棘をさす―」
一人、酔った様な口調のマティルデの言葉を適当に聞き流しながら「ここが庭園の中央なのよ。四阿でひと息入れられますわ」と、ジャンヌは白い四阿を指差した。
「まあ! あそこからなら庭園中の薔薇を見渡せるのではなくって? ジャンヌ嬢、行きましょう」
勝手にマティルデは四阿の中に入ると、ジャンヌに隣に座るように促した。
「なんて素晴らしいのでしょう・・・私はジャンヌ嬢こそプリマに相応しいと思いますのよ。これほど美しいものに囲まれていれば、ジャンヌ嬢が美の女神そのものではないかと噂されるのも肯けますわ」
(大袈裟な賛辞だこと)
しかし、それを不快に思っていない自分がいるのもまた確かだった。
「ああ、私はもう我慢できません―美の女神をこの腕に抱きたいのです」
(えっ?!)
気が付けば、ジャンヌはマティルデに抱擁されていた。上品な香水の匂いが鼻孔をくすぐる。
「ま、待ってくださらない・・・!」
だが、ジャンヌの唇はマティルデのそれによって塞がれてしまう。
同時に胸元にマティルデの手が伸びてきて、ドレスの上から乳房を揉む。
「・・・んんっ・・・」
手練れのマティルデの愛撫に、ジャンヌは身体の中心が火照るような感じがした。
(い、いやだ・・・私ったら。相手は同性なのに)
「とても可愛らしいわ・・・もっと私に見せて・・・」
そう言うなり、マティルデはジャンヌのドレスを捲り上げ無防備な部分をさらけ出した。
「きゃっ・・・」
小さく悲鳴を上げるジャンヌ。こんなところ、今まで誰にも見せたことがない。
「予想通りでしたわ。ここも薄い薔薇色でなんて美しいのかしら・・・」
「や、やめて―なにをなさるの? いやよっ! こんなこと、許されないわ」
弱々しく反論するも、言葉に反比例してその部分が疼いてくるのがわかった。
マティルデの指がすうっとそこを撫で、ジャンヌの身体がびくりと反応する。
「ジャンヌ嬢、いやだなんて嘘はいけません。ふふ、こんなことされるのは初めてでいらっしゃるのね・・・嬉しいですわ。私が女の悦びというものを教えて差し上げます」
「い、いや・・・」
しかしジャンヌの身体は薔薇の棘にでも巻きつかれたように動かない。
彼女の指はゆっくりとその部分を何度も往復していく。ジャンヌの意思とは無関係に、そこから何かが溢れだしていく。
「どうかしら? 気持ちいい?」
マティルデの問いに「そんなことは―」と否定しようとするも、呼吸が上がっていることに気付いた。
「素直じゃないですわね。こんなに蜜が溢れているのに」
そう言いながら彼女はそこをかき回す。
「ああっ! や、やめてっ」
「どうして? ジャンヌ嬢のお身体はこんなに『気持ちいい』って言ってるのに・・・ふふ、美味しそうだわ。舐めさせてくださる?」
「えっ?!」
ジャンヌの驚きを一顧だにせず、彼女の下半身にマティルデが顔を埋め、舌を使いだす。チロチロと焦らすようにつついたかと思うと、舌先を鋭くさせて中に潜り込もうとする。その度にマティルデの荒い呼気が秘部に吹き付けられ、狂瀾の熱が伝染するのだ。
「あ・・・っ! だ、駄目っ・・・あンッ」
だが、その言葉とは裏腹にジャンヌは喘ぎ声を出す。
「ん・・・はあ・・・んっ・・・だ、駄目だわ、女同士でこんなことするなんて―」
するとくすりとマティルデが笑い、顔をあげた。
「でも、気持ちいいでしょう? 相手が殿方だろうが婦人だろうが、気持ちよくなっちゃいけないの?」
その間は指先でジャンヌのそこを探っている。
「あん・・・で、でも・・・」
わずかに抵抗していたジャンヌだが、マティルデの手馴れた愛撫によがり声を出すしかなかった。
「はあっ・・・うんっ・・・ああ・・・」
「ジャンヌ嬢だけが気持ちがいいだなんて狡いわ。私も気持ちよくして」
(でも、どうすれば?)とジャンヌが思った時、マティルデもドレスのスカートを捲り上げて、秘部を露わにする。既にそこは蜜が溢れだし太ももを伝っていた。
「ふふ、こうするのよ」
マティルデはジャンヌの両脚を広げ、その間へ自らのものを密着させた。重なり合う濡れた花弁―
マティルデが妖しく腰を動かすと、花弁同士が擦れ合って淫靡な音を立てる。
「んああっ!」
思わず悲鳴にも似た声をあげるジャンヌ。今まで感じたことのない快感が襲う。
「あんっ・・・いいっ!」
気がつけばジャンヌも同じように腰を動かしていた。マティルデも呼吸があがり「凄くいいわ・・・素敵よ」とさらに花弁を押し付け、擦りつけてくる。
「あ・・・ああっ!! いいっ・・・死んじゃう・・・」
ふたつの花弁が重なるたび、花芯から蜜が溢れる。くちゅくちゅと音を立てて美しい二人の貴婦人は何度も花弁で接吻し、互いに甘い快楽を与え合う。
「はあんっ・・・もっと強く・・・」
マティルデは恍惚の表情で、自らの豊満な乳房をドレスの上から揉みしだく。
「んっ・・・ああ・・・」
ジャンヌは激しく喘いだ。まだ、彼女は男性との経験がない。でも、女同士でこれほどの快感が得られるのなら男など必要ないではないか。
「ねえ、ジャンヌ嬢・・・私は今までいろんな人と経験したけど、こんなに気が狂いそうになるほど気持ちがいいのは初めて。きっと、ここに咲き乱れる白薔薇の妖精が嫉妬して、私たちを淫らな娼婦に堕としたんだわー」
既にマティルデはドレスをほとんど脱いでいた。下半身はジャンヌと擦りあったまま、真っ白で大きな乳房をすくい上げ、薔薇色の乳首を自分の唇に含む。その唇からも淫靡で切なげな音が漏れていて、それを見たジャンヌの欲望の炎はさらに激しくなった。
「ああ・・・来て、マティルデ」
「そうね、私も貴女もこんなにびしょびしょに濡らしてしまって・・・ジャンヌ嬢、このドレスはもう諦めたほうがよくってよ?」
マティルデはそういうと、体勢を変えジャンヌの顔の上に跨った。小水でも漏らしたのではないかと思うほど、マティルデのそこは濡れていた。
そして、マティルデはジャンヌの秘部に舌を這わせる。先ほどからの行為で、ジャンヌの肉芽はぷくりと大きく膨れ、マティルデの舌が容赦なくその部分を舐めて責める。
「あッ、あふっ・・・駄目・・・い、いいっ!」
ジャンヌも同じようにマティルデのそこを夢中で舐める。留まることを知らないとても甘い蜜。マティルデこそ白薔薇の妖精ではないのかと思った。
「ああっ!! 私・・・っ!」
ジャンヌは手練れのマティルデの愛撫にすぐに降参してしまった。ぐったりと身体を横たえ、快楽の余韻でジャンヌのそこはひくついている。
息も絶え絶えのジャンヌを見て、マティルデはくすくす笑うと「せっかくいいものを用意したのだけれど、貴女にはまだ早そうですわね」と意味深長なことを口にした。
「え・・・?」
ジャンヌがぼんやりした声で問うと「そうね、では今日は見てるだけにしましょう」とマティルデは傍らのハンドバッグから何かを取り出す。
―その途端、ジャンヌの顔が真っ赤になった。
(あれは殿方のものを模した・・・)
「貴女も、じきに中に入れられる気持ち良さがわかりますわ・・・よく見て、こうするのです」
妖艶な雌と化したマティルデは、動けずにいるジャンヌの顔のすぐ前に座り込み、両脚を開いた。無論、秘部と両の白い太腿は妖しく濡れ、時折思い出したように、ひくりひくりと痙攣する。そうすると濃厚な雌の匂いがジャンヌの鼻腔を擽り、再び腰が熱くなり始めるのだった。・・・『それ』はひどく大きくて長くて太い・・・あんなものが果たして入るのかと不思議だったが、愛液に塗れたマティルデのその部分は『それ』の先端を宛がった途端、つるりと飲みこんでしまった。
「はあ・・・ん・・・女というのは、こういうものも使って楽しむこともあるのですよ・・・あ、あんッ!」
マティルデは『それ』を激しく動かす。次第に彼女の声が悲鳴に近い嬌声になっていく。
「あんっ! ああっ! いいわっ!! もっと犯して!」
彼女自身の腰も激しく動く。ジャンヌはマティルデの痴態を見せつけられて、下半身が疼き出し秘部からトロリとした蜜が漏れるのを感じていた。
そして、ひときわ高い声をあげたかと思うとマティルデは首を仰け反らせその場に仰向けに倒れた。『それ』は刺さったまま、全身汗まみれになっている。
「・・・はぁ、はぁ・・・どうかしら? ジャンヌ嬢も興味を持っていただけた?」
ジャンヌは黙ってこくりと肯いた。するとマティルデの腕が伸びてきて、彼女に接吻する。
「これは私たちの秘密よ。妹のヴィヴィアナが知ったら、怒るでしょうね。でも、こんな発情した獣のような行為を見たのは白薔薇だけ・・・」
そう言うとマティルデは『それ』を抜き、代わりに手近な白薔薇を一本摘み取ってジャンヌに手渡した。薔薇の香りとマティルデの雌の香りが渾然一体となる。
「そろそろ暗くなってきましたわね。戻りましょう、ジャンヌ嬢」
ドレス自体は破れていないものの、二人の女の汗と蜜でぐっしょりと湿ってしまっているのだ。
そして、ジャンヌは庭園の入り口でマティルデと別れ、自分は先ほどからの耐え難い疼きを鎮めるべく、すっかり暗くなった庭園でこっそりと自分を慰めはじめる。ドレスは全て脱ぎ捨て、思い切って四つん這いになると、白薔薇の噎せるような香りが襲う。指先で赤くなった乳首と肉芽を弄りながら、マティルデの痴態を思い浮かべ、まだ見ぬ男性や女性に背後から犯される妄想をするだけで、彼女は呆気なく達した。然し一度では満足出来ず、マティルデに『それ』を挿入されて自身が貴婦人の性具にされる妄想、信奉者たちに取り囲まれ女神のように傅かれ、代わる代わる狂熱を帯びた舌で、露を含んだ自らの花芯を奉仕される妄想に、庭園のその一画だけは女主人の零す蕩けた熱い蜜で乾きを癒し、淫らな爛熟を促すのだった。
─闇の中でも、薄ぼんやりと光る白薔薇たちがジャンヌの抑えた切なげな喘ぎ声を聞いているかのようであった。
―了―
「どうかしたの?」
ジャンヌはカップをソーサーに置いて訊ねる。
「はい、あの・・・マティルデ様がお見えです」
その名前を聞いて、ジャンヌは眉を顰めた。
(またマティルデね・・・熱心だこと。どうしたものかしら)
マティルデは、ジャンヌがセコンダ・ドンナを務める劇団の新人女優ヴィヴィアナの姉だが、よりにもよって姉妹両方からジャンヌは慕われているのだ―無論『そう言う意味で』である。
残念ながらジャンヌにはそのような趣味はなかったが、今まで恋人と呼べる男性のひとりもいない彼女にとって、姉妹の恋慕の情はどこか心を落ち着かなくさせるのだった。
特にマティルデは熱心で、いつもジャンヌの邸に来ては珍しいお土産を持ってくる。彼女らの家は貴族の家柄なので、上品で洗練されたものばかりだ。しかし、実家が豪商のジャンヌにとってはあまり興味を惹かれるものはなかったが。
「仕方ないわね、断るのもあとあと禍根を残しそうだから通してちょうだい」
ため息とともにジャンヌはリーザに命ずる。
「畏まりました」
リーザが消えてからほどなくして、マティルデがリーザに大きめのハンドバッグを持たせて、庭園までやってきた。
「ジャンヌ嬢! お会いしたかったわ!」
マティルデは満面の笑みでリーザからハンドバッグを受け取り、ジャンヌの対面に勝手に腰を下ろす。
「久しぶりですこと。今日はどんなご用件かしら?」
ジャンヌも女優である。にこやかに微笑んでマティルデを見る。
「今日はぜひこの素敵な庭園を、ジャンヌ嬢に案内していただこうと思って」
「そうですの。まあ、構いませんわよ。それじゃ、うちの園丁にも声をかけて詳しく説明させるわ」
二人きりではどうも気まずいので、ジャンヌはそう提案した。
「いいえ、ジャンヌ嬢」
マティルデがどこか妖しげな眼差しで「二人で散策したいのですが、駄目かしら?」と熱っぽくジャンヌの目を覗きこむ。
(はあ、すぐにこれだわ。でも断る理由もないし・・・)
仕方なく「ではご案内するわ」と立ち上がる。そこへちょうどリーザがマティルデ用の珈琲を持ってきたのだが「そこに置いておいてくださる?」とマティルデはそっけなく突き放す。
「ああ、それから貴女。この庭園には誰も立ち入らせないようにして頂戴」
マティルデの言葉にいささか鼻白んだジャンヌだが、それでは参りましょうという声をきっかけに、広い庭園を二人でそぞろ歩き始めるのだった。
「これは実に見事な白薔薇の花・・・まるでジャンヌ嬢そのものですわ。清らかで美しく誇り高く、下賤な者が手を伸ばそうとすると棘をさす―」
一人、酔った様な口調のマティルデの言葉を適当に聞き流しながら「ここが庭園の中央なのよ。四阿でひと息入れられますわ」と、ジャンヌは白い四阿を指差した。
「まあ! あそこからなら庭園中の薔薇を見渡せるのではなくって? ジャンヌ嬢、行きましょう」
勝手にマティルデは四阿の中に入ると、ジャンヌに隣に座るように促した。
「なんて素晴らしいのでしょう・・・私はジャンヌ嬢こそプリマに相応しいと思いますのよ。これほど美しいものに囲まれていれば、ジャンヌ嬢が美の女神そのものではないかと噂されるのも肯けますわ」
(大袈裟な賛辞だこと)
しかし、それを不快に思っていない自分がいるのもまた確かだった。
「ああ、私はもう我慢できません―美の女神をこの腕に抱きたいのです」
(えっ?!)
気が付けば、ジャンヌはマティルデに抱擁されていた。上品な香水の匂いが鼻孔をくすぐる。
「ま、待ってくださらない・・・!」
だが、ジャンヌの唇はマティルデのそれによって塞がれてしまう。
同時に胸元にマティルデの手が伸びてきて、ドレスの上から乳房を揉む。
「・・・んんっ・・・」
手練れのマティルデの愛撫に、ジャンヌは身体の中心が火照るような感じがした。
(い、いやだ・・・私ったら。相手は同性なのに)
「とても可愛らしいわ・・・もっと私に見せて・・・」
そう言うなり、マティルデはジャンヌのドレスを捲り上げ無防備な部分をさらけ出した。
「きゃっ・・・」
小さく悲鳴を上げるジャンヌ。こんなところ、今まで誰にも見せたことがない。
「予想通りでしたわ。ここも薄い薔薇色でなんて美しいのかしら・・・」
「や、やめて―なにをなさるの? いやよっ! こんなこと、許されないわ」
弱々しく反論するも、言葉に反比例してその部分が疼いてくるのがわかった。
マティルデの指がすうっとそこを撫で、ジャンヌの身体がびくりと反応する。
「ジャンヌ嬢、いやだなんて嘘はいけません。ふふ、こんなことされるのは初めてでいらっしゃるのね・・・嬉しいですわ。私が女の悦びというものを教えて差し上げます」
「い、いや・・・」
しかしジャンヌの身体は薔薇の棘にでも巻きつかれたように動かない。
彼女の指はゆっくりとその部分を何度も往復していく。ジャンヌの意思とは無関係に、そこから何かが溢れだしていく。
「どうかしら? 気持ちいい?」
マティルデの問いに「そんなことは―」と否定しようとするも、呼吸が上がっていることに気付いた。
「素直じゃないですわね。こんなに蜜が溢れているのに」
そう言いながら彼女はそこをかき回す。
「ああっ! や、やめてっ」
「どうして? ジャンヌ嬢のお身体はこんなに『気持ちいい』って言ってるのに・・・ふふ、美味しそうだわ。舐めさせてくださる?」
「えっ?!」
ジャンヌの驚きを一顧だにせず、彼女の下半身にマティルデが顔を埋め、舌を使いだす。チロチロと焦らすようにつついたかと思うと、舌先を鋭くさせて中に潜り込もうとする。その度にマティルデの荒い呼気が秘部に吹き付けられ、狂瀾の熱が伝染するのだ。
「あ・・・っ! だ、駄目っ・・・あンッ」
だが、その言葉とは裏腹にジャンヌは喘ぎ声を出す。
「ん・・・はあ・・・んっ・・・だ、駄目だわ、女同士でこんなことするなんて―」
するとくすりとマティルデが笑い、顔をあげた。
「でも、気持ちいいでしょう? 相手が殿方だろうが婦人だろうが、気持ちよくなっちゃいけないの?」
その間は指先でジャンヌのそこを探っている。
「あん・・・で、でも・・・」
わずかに抵抗していたジャンヌだが、マティルデの手馴れた愛撫によがり声を出すしかなかった。
「はあっ・・・うんっ・・・ああ・・・」
「ジャンヌ嬢だけが気持ちがいいだなんて狡いわ。私も気持ちよくして」
(でも、どうすれば?)とジャンヌが思った時、マティルデもドレスのスカートを捲り上げて、秘部を露わにする。既にそこは蜜が溢れだし太ももを伝っていた。
「ふふ、こうするのよ」
マティルデはジャンヌの両脚を広げ、その間へ自らのものを密着させた。重なり合う濡れた花弁―
マティルデが妖しく腰を動かすと、花弁同士が擦れ合って淫靡な音を立てる。
「んああっ!」
思わず悲鳴にも似た声をあげるジャンヌ。今まで感じたことのない快感が襲う。
「あんっ・・・いいっ!」
気がつけばジャンヌも同じように腰を動かしていた。マティルデも呼吸があがり「凄くいいわ・・・素敵よ」とさらに花弁を押し付け、擦りつけてくる。
「あ・・・ああっ!! いいっ・・・死んじゃう・・・」
ふたつの花弁が重なるたび、花芯から蜜が溢れる。くちゅくちゅと音を立てて美しい二人の貴婦人は何度も花弁で接吻し、互いに甘い快楽を与え合う。
「はあんっ・・・もっと強く・・・」
マティルデは恍惚の表情で、自らの豊満な乳房をドレスの上から揉みしだく。
「んっ・・・ああ・・・」
ジャンヌは激しく喘いだ。まだ、彼女は男性との経験がない。でも、女同士でこれほどの快感が得られるのなら男など必要ないではないか。
「ねえ、ジャンヌ嬢・・・私は今までいろんな人と経験したけど、こんなに気が狂いそうになるほど気持ちがいいのは初めて。きっと、ここに咲き乱れる白薔薇の妖精が嫉妬して、私たちを淫らな娼婦に堕としたんだわー」
既にマティルデはドレスをほとんど脱いでいた。下半身はジャンヌと擦りあったまま、真っ白で大きな乳房をすくい上げ、薔薇色の乳首を自分の唇に含む。その唇からも淫靡で切なげな音が漏れていて、それを見たジャンヌの欲望の炎はさらに激しくなった。
「ああ・・・来て、マティルデ」
「そうね、私も貴女もこんなにびしょびしょに濡らしてしまって・・・ジャンヌ嬢、このドレスはもう諦めたほうがよくってよ?」
マティルデはそういうと、体勢を変えジャンヌの顔の上に跨った。小水でも漏らしたのではないかと思うほど、マティルデのそこは濡れていた。
そして、マティルデはジャンヌの秘部に舌を這わせる。先ほどからの行為で、ジャンヌの肉芽はぷくりと大きく膨れ、マティルデの舌が容赦なくその部分を舐めて責める。
「あッ、あふっ・・・駄目・・・い、いいっ!」
ジャンヌも同じようにマティルデのそこを夢中で舐める。留まることを知らないとても甘い蜜。マティルデこそ白薔薇の妖精ではないのかと思った。
「ああっ!! 私・・・っ!」
ジャンヌは手練れのマティルデの愛撫にすぐに降参してしまった。ぐったりと身体を横たえ、快楽の余韻でジャンヌのそこはひくついている。
息も絶え絶えのジャンヌを見て、マティルデはくすくす笑うと「せっかくいいものを用意したのだけれど、貴女にはまだ早そうですわね」と意味深長なことを口にした。
「え・・・?」
ジャンヌがぼんやりした声で問うと「そうね、では今日は見てるだけにしましょう」とマティルデは傍らのハンドバッグから何かを取り出す。
―その途端、ジャンヌの顔が真っ赤になった。
(あれは殿方のものを模した・・・)
「貴女も、じきに中に入れられる気持ち良さがわかりますわ・・・よく見て、こうするのです」
妖艶な雌と化したマティルデは、動けずにいるジャンヌの顔のすぐ前に座り込み、両脚を開いた。無論、秘部と両の白い太腿は妖しく濡れ、時折思い出したように、ひくりひくりと痙攣する。そうすると濃厚な雌の匂いがジャンヌの鼻腔を擽り、再び腰が熱くなり始めるのだった。・・・『それ』はひどく大きくて長くて太い・・・あんなものが果たして入るのかと不思議だったが、愛液に塗れたマティルデのその部分は『それ』の先端を宛がった途端、つるりと飲みこんでしまった。
「はあ・・・ん・・・女というのは、こういうものも使って楽しむこともあるのですよ・・・あ、あんッ!」
マティルデは『それ』を激しく動かす。次第に彼女の声が悲鳴に近い嬌声になっていく。
「あんっ! ああっ! いいわっ!! もっと犯して!」
彼女自身の腰も激しく動く。ジャンヌはマティルデの痴態を見せつけられて、下半身が疼き出し秘部からトロリとした蜜が漏れるのを感じていた。
そして、ひときわ高い声をあげたかと思うとマティルデは首を仰け反らせその場に仰向けに倒れた。『それ』は刺さったまま、全身汗まみれになっている。
「・・・はぁ、はぁ・・・どうかしら? ジャンヌ嬢も興味を持っていただけた?」
ジャンヌは黙ってこくりと肯いた。するとマティルデの腕が伸びてきて、彼女に接吻する。
「これは私たちの秘密よ。妹のヴィヴィアナが知ったら、怒るでしょうね。でも、こんな発情した獣のような行為を見たのは白薔薇だけ・・・」
そう言うとマティルデは『それ』を抜き、代わりに手近な白薔薇を一本摘み取ってジャンヌに手渡した。薔薇の香りとマティルデの雌の香りが渾然一体となる。
「そろそろ暗くなってきましたわね。戻りましょう、ジャンヌ嬢」
ドレス自体は破れていないものの、二人の女の汗と蜜でぐっしょりと湿ってしまっているのだ。
そして、ジャンヌは庭園の入り口でマティルデと別れ、自分は先ほどからの耐え難い疼きを鎮めるべく、すっかり暗くなった庭園でこっそりと自分を慰めはじめる。ドレスは全て脱ぎ捨て、思い切って四つん這いになると、白薔薇の噎せるような香りが襲う。指先で赤くなった乳首と肉芽を弄りながら、マティルデの痴態を思い浮かべ、まだ見ぬ男性や女性に背後から犯される妄想をするだけで、彼女は呆気なく達した。然し一度では満足出来ず、マティルデに『それ』を挿入されて自身が貴婦人の性具にされる妄想、信奉者たちに取り囲まれ女神のように傅かれ、代わる代わる狂熱を帯びた舌で、露を含んだ自らの花芯を奉仕される妄想に、庭園のその一画だけは女主人の零す蕩けた熱い蜜で乾きを癒し、淫らな爛熟を促すのだった。
─闇の中でも、薄ぼんやりと光る白薔薇たちがジャンヌの抑えた切なげな喘ぎ声を聞いているかのようであった。
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