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第2章──少年期5~10歳──
056 ぴかぴかすっきり
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そうして戻ってきたグーリフの手に掴まれている茶色の毛玉。侵入者であるリスのタイだろう。ぐったりとしているが、辛うじてピクピク動いているので生きてはいる。──とても元気そうには見えないが。
けれども、連れてきた筈のグーリフがそれをフェリシアに差し出す事もせず、チラリと見せただけで解放すらしなかった。
「怪我してるの?」
「いや?……だが臭いし、汚い。とてもじゃねぇが、一度洗ってからでないとフェルに見せられねぇな」
「それはいけませんっ。シア様に病原菌がついては困りますから、早急に洗浄致しましょう。光に求める清涼なる瞬き」
「な……くっ?!」
グーリフの言葉に、すぐさまミアが両手を突き出す。するとキラキラ輝く光の粒子が、雨のようにグーリフの上から降り注いだ。
それにグーリフは一瞬驚いたように目を見開いたが、顔を歪めたまま大人しく魔法を受ける。
≪名前……光に求める清涼なる瞬き
種別……光魔法
用途……浄化・洗浄
特長……光の魔力が降り注ぎ穢れを落とす≫
フェリシアの視界に、スキル【神の眼】が開かれた。
その表記内容に、フェリシアは驚いて席を立つ。
「てめぇ!急に何しやがるっ」
「ちょっと、グー。大丈夫っ?」
キラキラの光が消えた後、グーリフがミアに向けて牙を剥く。
確かに『洗浄』とあるだけあって、駆け寄ったグーリフの馬耳や髪がいつもよりも艶やかに見えた。だがそれよりも『浄化』だ。
フェリシアはグーリフのあちらこちらをみやり、異常がないか確認する。
魔獣であるグーリフに、先程迷いなくミアが光魔法を使ったのだ。不死人ではないので傷を付ける効果がないだろうと思いつつも、自分の目で見て確認しなければ不安だった。
「……はぁああぁ、良かったぁ」
「どうしたんだ、フェル」
「グーに何かあったらと、怖かったんだもん」
「くくくっ、かぁわぃ。大丈夫だって、洗浄の魔法くらい。それに、俺は光に耐性があるからな」
「えっ、初耳っ」
「いや、俺も知らねぇけど。……そんな気がするんだ」
「何、それぇ」
駆け寄って安堵したフェリシアの頭部を撫でながら、柔らかい表情を浮かべるグーリフである。
実際に耐性があるか否かは別として、ミアの放った魔法が自身を傷付けるものではないと判断した上での行動だったようだ。いかに至近距離と言えども、回避する術はあったのだから。
それでもフェリシアは不安に思ったのだ。
それに今後も大丈夫であるか確実ではないのだから、フェリシア自身グーリフに対して光魔法を向ける事はないだろう。
「グーリフが大丈夫なように、シアが守る」
「はあ?フェルが俺を守るってぇ?おま……何、可愛い事言ってんだよ」
「だって。シアはグーがいないとダメだから」
小さな拳を二つ胸の前に掲げると、ふんすと鼻息荒く宣言したフェリシアだ。──が、すぐに顔色を悪くする。
グーリフが強い事は知っているけれど、不死ではないし怪我をしない訳でもない。当然ながら痛みを感じるし。それに今まで見た事はないが、病気にだってなるかもしれないじゃないかとフェリシアは思い至った。
「グーリフ、病気になる?」
「はあ?また何でだ。どうした、フェル。これが何かヤバいものでも付けてきたか?」
グーリフが困惑したようにそう言いながら、ぶら下げていた右手の毛玉を視界に映す。
「あ……」
そこで漸く、フェリシアはリスのタイを思い出した。
グーリフの手に尻尾を掴まれ、ぶらぶらと不安定に身体を揺すられる茶色の獣。ミアの放った洗浄魔法のおかげだろうが、艶やかなふんわりになっている。
≪名前……タイ・ミバル
年齢……15歳
種別……ヒト科獣属リス種
体力…… D
魔力…… D【水】
称号……【脱走者】【影使い】【矯正】【誓約】≫
反射的にスキル【神の眼】で確認すると、何やら初見の時より気になる点が増えていた。
「忘れてた。タイ、ガウ兄から言われて来たの?」
「頷いてるな。お前、人化出来るんだろ?話が出来ねぇんじゃ、どう対処するか考えるのが面倒だろうが。殺すぞ」
フェリシアの問い掛けに小さな頭を縦に動かしていたリスだが、続けられたグーリフの言葉にかぱりと口を開ける。リスなので顔色は伺い知る事が出来ないものの、言い表すならば『ガーン』だろうか。
その後で必死に両手を振り、身振り手振りで何かを伝えようとしている。
「ダメだよ、グーリフ。ガウ兄から何かをお願いされてるかもしれないでしょ?」
<それに称号に【脱走者】【影使い】の他、【矯正】と【誓約】って追加されてる>
<何?ふむ……なるほどなぁ。首に光魔法の首輪がつけられてるぜ。これがチビ銀のニオイの素だな>
「首輪っ?!」
「あぁ……。これは『誓約の首輪』といって、魔力による隷属魔法の一種ですね」
グーリフとのスキル【以心伝心】での会話で驚きの声をあげると、フェリシアの背後からミアが静かに教えてくれた。
≪名前……誓約の首輪
種別……隷属魔法
用途……魔力による誓約
特長……魔力所持者により異なる。対象者の承諾が必要≫
隷属というからには、奴隷のように対象の自由意思を奪うものである。首輪をつけるにあたって承諾が必要とはあるが、『はい』しか言えない場合の『はい』は『はい』とは言えない。
本当ならば許可されたとみなせないのだが、それはそれ。『死』か『隷従』の二択を、自らが選ばざるを得ない状況は幾らでも作れるのだ。
フェリシアは自らの長兄であるガウリイルに思うところがなくはないが、実際に侵入者であった彼は目的を失敗した時点で強者に跪くしか生きる術は残されていなかった。
ガウリイルは【真心】というスキル持ちなので、全てが彼の偽りや飾りのない真実の心故の言動である。フェリシア馬鹿な兄だが、だからこそ不利益になる事はしないと思いたかった。
「ガウ兄、これが言いたかったのかな」
「何だ、チビ銀は通信で何も言ってなかったのか」
「うん。相変わらずのイミフな会話。何かを送った的発言はあったけど、内容まで伝わって来なかったんだよね」
「ったく、本当に使えねぇな。フェルを悩ませんじゃねぇっての、アホどもが。おい、鳥。チビ銀に通信繋げろ」
「ごめんね、ミア。さっき切れたばかりだけど、通信魔法石使える?」
「はい、シア様。お繋ぎ致します」
充填された魔力が絶えた事で先程のガウリイルとの通信が切れたのだが、ミアの魔力であればすぐに加工魔法石を充たす事が可能である。そしてミアは言われるまでもなく、既に魔力を充填していた。
グーリフの言葉には動かないが、フェリシアが申し訳なさそうに問い掛ければすぐさま通信魔法石を取り出す。先程繋がっていたばかりのガウリイルに通信する事は簡単なようで、さして間を置く事なく魔法石が青く輝き始めた。
『シア?!』
「うん、ガウ兄。聞きたい事があるんだけど」
『何ですか、何でも聞いて下さい。あぁ幸せだ先程通信が切れた時にはもうこの世の終わりかと思ってたいたのにまたシアの可愛い可憐で愛らしい声が聞けるなんて』
「煩い、チビ銀。こちらの用件を聞け」
『……何ですか』
弾けるようなガウリイルの音声が聞こえて来たので、フェリシアはタイの事を聞こうと口を開いた。だがしかし、ガウリイルは問い掛けに答えようとしながらもいつもの暴走が始まってしまう。
それを苛立ち紛れに一蹴するグーリフ。通信時間が限られている為、少しの無駄も許さない構えのようだ。
「こっちにリスのタイが来たんだけど……」
『あぁ、シア。やっと着いたのですね。やはり想定通りでした』
「それを送ったのはお前だな。何のつもりだ」
『……シアに仕えさせる為です』
「はあ?不要だ。引き取れ」
『……お断りします。彼は学園を卒業したので、ここにいる理由がありませんから』
フェリシアの言葉にすぐ喜色の乗った声で応じてくれるガウリイルだったが、話が脱線する前にとグーリフが話を続ける。これには不満をありありと声に乗せたガウリイルだったが、問い掛けには答えてくれた。
グーリフの刺々しい応酬にも淡々とながら答えてくれたので、フェリシアは漸く話の筋が通った感覚である。
つまりタイは現在、ラングロフに所属しているようだ。首に誓約の首輪があるものの、だからこそガウリイルのものだと視覚的にも分かる。
隷従はあまり対外的印象が良くないものの、領地不法侵入者であるので犯罪奴隷扱いが可能だからだ。
シュペンネル自体実力主義で能力重視なので、所属登録がない者は名乗り出た者の好きに出来る。家族にしようが奴隷にしようが、己の強さを証明する能力がない者が弱者と判断されるからだ。
弱肉強食の理論はそこまで対象。
仮に親に捨てられた子供で所属登録すらなければ、拾って喰われようが責任の是非は問われない。生き延びて自身の力と存在を示さなくては、己の生きる道すら選べないのだ。
だからこそ、ウゲイン・ワカーのような輩が堂々と出来る。善悪の判定はあくまで他者の判断であり、一般的基準ではないからだ。
略奪や侵略を好む者が強者なら。
それが国の中枢を担う者ならば。
シュペンネルは、ことごとく世界を喰い尽くす存在になるだろう。
なれど、力とは腕力にあらず。
現時点で国家間の安寧がある事実は、結果論でしかないが『そう望む者が強者だから』なのだ。
けれども、連れてきた筈のグーリフがそれをフェリシアに差し出す事もせず、チラリと見せただけで解放すらしなかった。
「怪我してるの?」
「いや?……だが臭いし、汚い。とてもじゃねぇが、一度洗ってからでないとフェルに見せられねぇな」
「それはいけませんっ。シア様に病原菌がついては困りますから、早急に洗浄致しましょう。光に求める清涼なる瞬き」
「な……くっ?!」
グーリフの言葉に、すぐさまミアが両手を突き出す。するとキラキラ輝く光の粒子が、雨のようにグーリフの上から降り注いだ。
それにグーリフは一瞬驚いたように目を見開いたが、顔を歪めたまま大人しく魔法を受ける。
≪名前……光に求める清涼なる瞬き
種別……光魔法
用途……浄化・洗浄
特長……光の魔力が降り注ぎ穢れを落とす≫
フェリシアの視界に、スキル【神の眼】が開かれた。
その表記内容に、フェリシアは驚いて席を立つ。
「てめぇ!急に何しやがるっ」
「ちょっと、グー。大丈夫っ?」
キラキラの光が消えた後、グーリフがミアに向けて牙を剥く。
確かに『洗浄』とあるだけあって、駆け寄ったグーリフの馬耳や髪がいつもよりも艶やかに見えた。だがそれよりも『浄化』だ。
フェリシアはグーリフのあちらこちらをみやり、異常がないか確認する。
魔獣であるグーリフに、先程迷いなくミアが光魔法を使ったのだ。不死人ではないので傷を付ける効果がないだろうと思いつつも、自分の目で見て確認しなければ不安だった。
「……はぁああぁ、良かったぁ」
「どうしたんだ、フェル」
「グーに何かあったらと、怖かったんだもん」
「くくくっ、かぁわぃ。大丈夫だって、洗浄の魔法くらい。それに、俺は光に耐性があるからな」
「えっ、初耳っ」
「いや、俺も知らねぇけど。……そんな気がするんだ」
「何、それぇ」
駆け寄って安堵したフェリシアの頭部を撫でながら、柔らかい表情を浮かべるグーリフである。
実際に耐性があるか否かは別として、ミアの放った魔法が自身を傷付けるものではないと判断した上での行動だったようだ。いかに至近距離と言えども、回避する術はあったのだから。
それでもフェリシアは不安に思ったのだ。
それに今後も大丈夫であるか確実ではないのだから、フェリシア自身グーリフに対して光魔法を向ける事はないだろう。
「グーリフが大丈夫なように、シアが守る」
「はあ?フェルが俺を守るってぇ?おま……何、可愛い事言ってんだよ」
「だって。シアはグーがいないとダメだから」
小さな拳を二つ胸の前に掲げると、ふんすと鼻息荒く宣言したフェリシアだ。──が、すぐに顔色を悪くする。
グーリフが強い事は知っているけれど、不死ではないし怪我をしない訳でもない。当然ながら痛みを感じるし。それに今まで見た事はないが、病気にだってなるかもしれないじゃないかとフェリシアは思い至った。
「グーリフ、病気になる?」
「はあ?また何でだ。どうした、フェル。これが何かヤバいものでも付けてきたか?」
グーリフが困惑したようにそう言いながら、ぶら下げていた右手の毛玉を視界に映す。
「あ……」
そこで漸く、フェリシアはリスのタイを思い出した。
グーリフの手に尻尾を掴まれ、ぶらぶらと不安定に身体を揺すられる茶色の獣。ミアの放った洗浄魔法のおかげだろうが、艶やかなふんわりになっている。
≪名前……タイ・ミバル
年齢……15歳
種別……ヒト科獣属リス種
体力…… D
魔力…… D【水】
称号……【脱走者】【影使い】【矯正】【誓約】≫
反射的にスキル【神の眼】で確認すると、何やら初見の時より気になる点が増えていた。
「忘れてた。タイ、ガウ兄から言われて来たの?」
「頷いてるな。お前、人化出来るんだろ?話が出来ねぇんじゃ、どう対処するか考えるのが面倒だろうが。殺すぞ」
フェリシアの問い掛けに小さな頭を縦に動かしていたリスだが、続けられたグーリフの言葉にかぱりと口を開ける。リスなので顔色は伺い知る事が出来ないものの、言い表すならば『ガーン』だろうか。
その後で必死に両手を振り、身振り手振りで何かを伝えようとしている。
「ダメだよ、グーリフ。ガウ兄から何かをお願いされてるかもしれないでしょ?」
<それに称号に【脱走者】【影使い】の他、【矯正】と【誓約】って追加されてる>
<何?ふむ……なるほどなぁ。首に光魔法の首輪がつけられてるぜ。これがチビ銀のニオイの素だな>
「首輪っ?!」
「あぁ……。これは『誓約の首輪』といって、魔力による隷属魔法の一種ですね」
グーリフとのスキル【以心伝心】での会話で驚きの声をあげると、フェリシアの背後からミアが静かに教えてくれた。
≪名前……誓約の首輪
種別……隷属魔法
用途……魔力による誓約
特長……魔力所持者により異なる。対象者の承諾が必要≫
隷属というからには、奴隷のように対象の自由意思を奪うものである。首輪をつけるにあたって承諾が必要とはあるが、『はい』しか言えない場合の『はい』は『はい』とは言えない。
本当ならば許可されたとみなせないのだが、それはそれ。『死』か『隷従』の二択を、自らが選ばざるを得ない状況は幾らでも作れるのだ。
フェリシアは自らの長兄であるガウリイルに思うところがなくはないが、実際に侵入者であった彼は目的を失敗した時点で強者に跪くしか生きる術は残されていなかった。
ガウリイルは【真心】というスキル持ちなので、全てが彼の偽りや飾りのない真実の心故の言動である。フェリシア馬鹿な兄だが、だからこそ不利益になる事はしないと思いたかった。
「ガウ兄、これが言いたかったのかな」
「何だ、チビ銀は通信で何も言ってなかったのか」
「うん。相変わらずのイミフな会話。何かを送った的発言はあったけど、内容まで伝わって来なかったんだよね」
「ったく、本当に使えねぇな。フェルを悩ませんじゃねぇっての、アホどもが。おい、鳥。チビ銀に通信繋げろ」
「ごめんね、ミア。さっき切れたばかりだけど、通信魔法石使える?」
「はい、シア様。お繋ぎ致します」
充填された魔力が絶えた事で先程のガウリイルとの通信が切れたのだが、ミアの魔力であればすぐに加工魔法石を充たす事が可能である。そしてミアは言われるまでもなく、既に魔力を充填していた。
グーリフの言葉には動かないが、フェリシアが申し訳なさそうに問い掛ければすぐさま通信魔法石を取り出す。先程繋がっていたばかりのガウリイルに通信する事は簡単なようで、さして間を置く事なく魔法石が青く輝き始めた。
『シア?!』
「うん、ガウ兄。聞きたい事があるんだけど」
『何ですか、何でも聞いて下さい。あぁ幸せだ先程通信が切れた時にはもうこの世の終わりかと思ってたいたのにまたシアの可愛い可憐で愛らしい声が聞けるなんて』
「煩い、チビ銀。こちらの用件を聞け」
『……何ですか』
弾けるようなガウリイルの音声が聞こえて来たので、フェリシアはタイの事を聞こうと口を開いた。だがしかし、ガウリイルは問い掛けに答えようとしながらもいつもの暴走が始まってしまう。
それを苛立ち紛れに一蹴するグーリフ。通信時間が限られている為、少しの無駄も許さない構えのようだ。
「こっちにリスのタイが来たんだけど……」
『あぁ、シア。やっと着いたのですね。やはり想定通りでした』
「それを送ったのはお前だな。何のつもりだ」
『……シアに仕えさせる為です』
「はあ?不要だ。引き取れ」
『……お断りします。彼は学園を卒業したので、ここにいる理由がありませんから』
フェリシアの言葉にすぐ喜色の乗った声で応じてくれるガウリイルだったが、話が脱線する前にとグーリフが話を続ける。これには不満をありありと声に乗せたガウリイルだったが、問い掛けには答えてくれた。
グーリフの刺々しい応酬にも淡々とながら答えてくれたので、フェリシアは漸く話の筋が通った感覚である。
つまりタイは現在、ラングロフに所属しているようだ。首に誓約の首輪があるものの、だからこそガウリイルのものだと視覚的にも分かる。
隷従はあまり対外的印象が良くないものの、領地不法侵入者であるので犯罪奴隷扱いが可能だからだ。
シュペンネル自体実力主義で能力重視なので、所属登録がない者は名乗り出た者の好きに出来る。家族にしようが奴隷にしようが、己の強さを証明する能力がない者が弱者と判断されるからだ。
弱肉強食の理論はそこまで対象。
仮に親に捨てられた子供で所属登録すらなければ、拾って喰われようが責任の是非は問われない。生き延びて自身の力と存在を示さなくては、己の生きる道すら選べないのだ。
だからこそ、ウゲイン・ワカーのような輩が堂々と出来る。善悪の判定はあくまで他者の判断であり、一般的基準ではないからだ。
略奪や侵略を好む者が強者なら。
それが国の中枢を担う者ならば。
シュペンネルは、ことごとく世界を喰い尽くす存在になるだろう。
なれど、力とは腕力にあらず。
現時点で国家間の安寧がある事実は、結果論でしかないが『そう望む者が強者だから』なのだ。
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