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第二章
5.俺と一緒なら【5】
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「ど、どうしたのですか?」
ヴォルがある一つの方向を見て止まっています。あぁ、こういう時って嫌な感じがしますよね。
「数が多い」
小さく呟いたヴォル。ここは平原なので、身を隠す場所がありません。明らかに魔物ですよね。遭遇してしまったのですね。って言うか、見えるのですか?私の視界にはまだ入らない魔物を見付けたようです。どうするのかと思いきや、ヴォルはウマウマさんの手綱を引いて足を止めさせました。
「結界を張る」
あぁ、そう言う手がありましたね。ヴォルはウマウマさんから降り、魔法で周囲に壁を作ります。そうこうしているうちに、ヴォルが警戒していた方向から砂埃が近付いて来ました。
うわうわ、うわーっ?!すっごい数です!魔物の大行進ですよっ。頭に角を持つ大きな目と口をした紫の魔物が、それはそれは数え切れない程たくさんです。……気持ち悪いですね。何かこう、全身がベタベタしてそうで光っています。
「動くなよ」
「は、はい」
恐怖のあまり動ける訳もないのですが、とりあえず顔がひきつりながらも何とか答えました。
近付いて来るにつれ、魔物の大きさが明らかになります。いえ、知りたくはないのですけど。とにかく大きいです。見上げちゃいますね。二階建ての建物の屋根くらいの場所に、それのギョロギョロした目があります。
「っ!」
目が合ってしまいました。思わず自分の口を押さえます。悲鳴が漏れそうでした。ウマウマさんに乗ったまま、私は石像と化しました。本当に心臓まで石化しそうです。
そんな私の緊張などお構いなしに、大きな紫の魔物は通り過ぎていきます。巨大な目が、左右バラバラに動いています。四足歩行らしく、平原の低木草を薙ぎ倒しながら私達の真横を通っていくのです。
ヴォルは二本の剣に手を掛け、いつでも戦闘に入れるような状態です。辺りはピリピリした緊張に包まれていますが、ウマウマさんは我関せず。モクモクと足元の草を食んでいました。この子が一番図太いのではないでしょうか。
もう……苦しいです。フラフラしてきました。気持ちも悪いですね。長い間緊張に包まれ過ぎたのか、このまま死んでしまうのではないかと思いました。とその時、フワリとした温かさに身体が包まれます。
「…………?」
ボンヤリと見上げると、私を抱き留めるヴォルの顔。ふらついた私の身体を支えてくれたようです。私、またヴォルに迷惑をかけていますね。真っ直ぐ向けられるヴォルの青緑の瞳に、私の顔が映っています。ホッとしました。今まで感じていたプレッシャーが嘘のようです。思わず笑みが浮かびます。
「俺と一緒なら……笑えるのか」
私は小さく頷きます。まだ私達の周囲を魔物が通過中ですが、そんな事が気にならないくらい安心していたのです。
結局それらの魔物はたんに移動中だっただけで、ヴォルも私もウマウマさんも気にもされませんでした。
ヴォルがある一つの方向を見て止まっています。あぁ、こういう時って嫌な感じがしますよね。
「数が多い」
小さく呟いたヴォル。ここは平原なので、身を隠す場所がありません。明らかに魔物ですよね。遭遇してしまったのですね。って言うか、見えるのですか?私の視界にはまだ入らない魔物を見付けたようです。どうするのかと思いきや、ヴォルはウマウマさんの手綱を引いて足を止めさせました。
「結界を張る」
あぁ、そう言う手がありましたね。ヴォルはウマウマさんから降り、魔法で周囲に壁を作ります。そうこうしているうちに、ヴォルが警戒していた方向から砂埃が近付いて来ました。
うわうわ、うわーっ?!すっごい数です!魔物の大行進ですよっ。頭に角を持つ大きな目と口をした紫の魔物が、それはそれは数え切れない程たくさんです。……気持ち悪いですね。何かこう、全身がベタベタしてそうで光っています。
「動くなよ」
「は、はい」
恐怖のあまり動ける訳もないのですが、とりあえず顔がひきつりながらも何とか答えました。
近付いて来るにつれ、魔物の大きさが明らかになります。いえ、知りたくはないのですけど。とにかく大きいです。見上げちゃいますね。二階建ての建物の屋根くらいの場所に、それのギョロギョロした目があります。
「っ!」
目が合ってしまいました。思わず自分の口を押さえます。悲鳴が漏れそうでした。ウマウマさんに乗ったまま、私は石像と化しました。本当に心臓まで石化しそうです。
そんな私の緊張などお構いなしに、大きな紫の魔物は通り過ぎていきます。巨大な目が、左右バラバラに動いています。四足歩行らしく、平原の低木草を薙ぎ倒しながら私達の真横を通っていくのです。
ヴォルは二本の剣に手を掛け、いつでも戦闘に入れるような状態です。辺りはピリピリした緊張に包まれていますが、ウマウマさんは我関せず。モクモクと足元の草を食んでいました。この子が一番図太いのではないでしょうか。
もう……苦しいです。フラフラしてきました。気持ちも悪いですね。長い間緊張に包まれ過ぎたのか、このまま死んでしまうのではないかと思いました。とその時、フワリとした温かさに身体が包まれます。
「…………?」
ボンヤリと見上げると、私を抱き留めるヴォルの顔。ふらついた私の身体を支えてくれたようです。私、またヴォルに迷惑をかけていますね。真っ直ぐ向けられるヴォルの青緑の瞳に、私の顔が映っています。ホッとしました。今まで感じていたプレッシャーが嘘のようです。思わず笑みが浮かびます。
「俺と一緒なら……笑えるのか」
私は小さく頷きます。まだ私達の周囲を魔物が通過中ですが、そんな事が気にならないくらい安心していたのです。
結局それらの魔物はたんに移動中だっただけで、ヴォルも私もウマウマさんも気にもされませんでした。
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